森ビル株式会社

都市づくりのコミュニケーション

「日本特撮アーカイブ」事業は、特撮に関する中間制作物の保管・保全を第一の目的とする活動で、2015年度より文化庁メディア芸術アーカイブ推進支援事業の支援を受け実施しています。

中間制作物のなかでも、特にミニチュアなど一次資料は適切な環境で永続的に保存していかなければなりません。また、それらを展示・講演会・ワークショップ・上映会などに協力することで資料が一般の人々の目に触れる機会を増やし、特撮の魅力を後世に伝えることで、特撮文化の継承に繋げていくことが最大の目的です。

当事業では文化庁の委託を受けて、2012年度から「日本特撮に関する調査」を実施、特撮の文化的な側面を明らかにし、オーラルヒストリーの記録などを行いました。また、2015年度より文化庁からの補助金による支援を受け、資料の保管・修復のための活動に発展・継続してきました。さらに2020年度からは着ぐるみをはじめとする劣化の著しい立体物のデータアーカイブとして、ハンディスキャナーやフォトグラメトリの手法を用いた3Dスキャニングを実施、当社のVRなどの3DCG制作ノウハウも活かされています。また、2022年度からは特撮文化の研究を進めるうえでも非常に貴重な資料である、当時のスタッフが残した絵コンテ・写真などの現場資料の保存・デジタル修復にも取り組むなど、文化事業も多く手掛ける当社ならではの視点から事務局としてアーカイブ事業の運営をサポートしています。

日本特撮アーカイブ事業のこれまで

文化庁の支援を受けたアーカイブ事業の一環として、以下の取り組みを実施してきました。

  • 2012~2015年度:日本特撮に関する調査研究
    特撮の定義、作品史のとりまとめ、技術解説、文献調査、特撮の文化的な側面を明らかにするオーラルヒストリーの記録など
  • 2015~2018年度:ミニチュア類の保存に向けた修復・復元
    資料の保管において課題の1つとなっていた修復・復元。文化庁メディア芸術アーカイブ推進支援事業の助成のもと、テストケースを実施したのちに、状態調査や作業方法・復元方針を検討したうえで映画『日本海大海戦』(1969年)で使用した「戦艦三笠」ミニチュアを修復・復元
  • 2019年度:須賀川特撮アーカイブセンター開館に向けた収蔵品リスト整備
    アーカイブセンターで保管されるミニチュア・立体造形物・背景画などの収蔵品のリスト化作業
  • 2020~2021年度:劣化が避けられない造形物のデジタルデータ化
    着ぐるみをはじめとする劣化の激しい立体物を対象に、3D立体スキャニング技術を活用したデジタルアーカイブの試行
  • 2022~2023年度:特撮美術監督・特撮監督の現場資料のデジタルアーカイブ
    特撮作品のメイキング写真や美術スケッチ、絵コンテなどの貴重な平面資料の調査・整理と2Dスキャンによるデータ化

須賀川特撮アーカイブセンター
特撮に関連する貴重な資料などの収集・保存・修復・調査研究を通じて、特撮文化を顕彰・推進し、後世に伝えていくことを目的に、「特撮の神様」円谷英二の故郷でもある福島県須賀川市に2020年11月にオープン。2024年10月までの来館者は計10万人を記録している。