地域・社会への貢献
基本的な考え方
森ビルグループは創業以来、「都市を創り、都市を育む」の理念のもと、地域の皆様とともに都市づくりを推進しています。
「ヴァーティカル・ガーデンシティ(立体緑園都市)」という多用途複合の都市開発をベースに、重視するテーマに「安全・安心」「環境・緑」「文化・芸術」を掲げ、災害へ備えながら環境に配慮した、社会の持続的な発展を可能にする都市再開発を通じて、地域・社会の貢献に努めています。また、「都市は完成した時が、始まり」という考えのもと、完成した街や周辺地域を舞台に、地域活性化のためのイベント運営やコミュニティ活動・ボランティア活動を推進しています。さらに当社従業員のボランティア活動参加促進などを行うことで、社会および地域との協調・共生を図るとともに、地域の価値向上に取り組んでいます。
「都市づくりは、そこに生きる方々の未来に責任を持つこと」との想いを大切に、「都市を育む」取り組みを通じて、企業価値の持続的な向上と、安全で豊かな社会および地域の発展などに寄与します。
森ビルグループ社会貢献活動基本方針
森ビルグループ コンプライアンス行動規範ガイドライン(抜粋)
II.社会との関係:2.社会への貢献・社会との協調・発信
(1)社会および地域における社員のボランティア活動参加促進等を通じ、社会および地域との協調・共生を図るとともに、安全で豊かな社会および地域の発展等に寄与します。
(2)文化・芸術の支援活動等を通じ、豊かな社会・都市生活の発展等に寄与します。
(3)時代環境の変化等により不合理となったり、事業活動の実態と乖離した法令等については、実務上の立場から問題点を社会に発信し、その改正等に向けた働きかけができるよう、積極的に議論します。
従業員ボランティアの支援
森ビルでは、従業員を対象としたボランティア休暇など、ボランティア活動に取り組みやすい環境づくりに努めています。
主な制度の概要
- 自己啓発休暇(ボランティア)
ボランティア活動を行う場合、積立有給休暇を1年間で最大20日利用可。
都市再開発プロジェクトの取り組み
森ビルグループの都市づくりは、その街に暮らす方々とともに、その街の未来について想いを馳せることからスタートします。何よりも大切なのは、一切妥協することなく、あるべき理想の都市像を追い求めること、そして、地元の方々との間に真の信頼関係を築くことです。どんなプロジェクトも「より良い未来に対する熱い想い」と「街を構成する人々の信頼関係」なしには実現することはできません。
ベースとなる都市づくりのモデルは、「ヴァーティカル・ガーデンシティ(立体緑園都市)」です。細分化された都市を取りまとめて大きな敷地を生み出し、建物を超高層化することで、足元に広い空地を生み出して緑地を増やします。また、オフィスや住宅などの単一用途ではなく、多様な都市機能を高度に複合させて徒歩圏内に集約したコンパクトシティとすることで、住む、働く、遊ぶ、学ぶ、憩うなど、様々な目的で多様な人々が街に集い、交流や協働、創発の機会が生み出されます。これは、従来の用途分化型の都市づくりとは全く逆の発想です。
加えて、建物の完成を「終わり」ではなく「始まり」と捉えて、手塩にかけて街を育んでいきます。「都市を創り、都市を育む」の理念のもと、当社にはディベロップメントとタウンマネジメントを一気通貫で行うための組織と経験とノウハウが蓄積されています。建物の鮮度は時間の経過とともに減衰しますが、人々との絆は時間とともに深まっていきます。都市の磁力を高めるには、こうしたディベロップメントとタウンマネジメントの両輪が不可欠だと考えています。
アークヒルズ(1986年竣工):森ビルの都市づくりの原点
アークヒルズは、オフィス、住宅、ホテル、コンサートホールなどからなる、民間による日本初の大規模再開発事業であり、17年の歳月をかけ、職住近接、文化の発信、都市と自然の共生などを具現化した「ヒルズ」の原点です。開業以来40年近くにわたり、ビジネス、住居、文化、緑、コミュニティなど多様なシーンにおいて、時代を牽引する価値を生み出し続けてきました。2019年には、サントリーホールの30余年にわたる建築文化と音楽文化への貢献が評価され、「BELCA賞」を受賞しました。
アークヒルズを核にしたこのエリアは、数々の大規模再開発事業や交通インフラの整備により発展を続けており、常に革新と挑戦を続けながら成熟度を高めています。
六本木ヒルズ(2003年竣工):文化都心
名実ともに日本を代表する大規模市街地再開発事業であり、森ビルの掲げる「ヴァーティカル・ガーデンシティ」(立体緑園都市)を具現化した世界の都市モデルでもあります。年間4,000万人を超えるグローバルプレーヤーや来街者の都市活動のステージとなるとともに、“文化都心”をコンセプトに常に最先端の文化や情報を創出・発信してきました。開業から約20年が経過した現在も、トップランナーとして成長を続けており、その強い磁力で世界を惹きつけ、東京の都市再生を強力に牽引しています。
虎ノ門ヒルズ(2014~24年竣工):国際新都心・グローバルビジネスセンター
環状二号線との一体的な開発によって2014年に誕生した「虎ノ門ヒルズ 森タワー」を起点に、「虎ノ門ヒルズ ビジネスタワー(2020年竣工)」「虎ノ門ヒルズ レジデンシャルタワー(2022年竣工)」と、異次元のスピードで拡大・進化を続けてきた虎ノ門ヒルズ。ここに、2023年10月、「虎ノ門ヒルズ ステーションタワー」が開業したことで、「国際新都心・グローバルビジネスセンター」がつい完成しました。区域面積約7.5ha、延床面積約80万m²、国際水準のオフィス、住宅、ホテル、商業施設、インキュベーションセンター、交通インフラ、緑地など様々な都市機能を徒歩圏内に備えた複合都市・虎ノ門ヒルズは、六本木ヒルズに匹敵するインパクトを与える真の国際新都心として、東京のさらなる磁力強化を牽引していきます。
麻布台ヒルズ(2023年開業):圧倒的なスケールとインパクトを誇る“ヒルズの未来形”
「麻布台ヒルズ」のコンセプトは「緑につつまれ、人と人がつながる『広場』のような街 “Modern Urban Village”」。このコンセプトを支える2つの柱が「Green」と「Wellness」です。約8.1haもの広大な計画区域は圧倒的な緑に包まれ、約6,000m²の中央広場を含む緑化面積は約2.4haに上ります。オフィス、住宅、ホテル、インターナショナルスクール、商業施設、文化施設など、多様な都市機能を高度に融合させ、自然と調和した環境のなかで、多様な人々が集い、人間らしく生きられる新たなコミュニティの形成を目指します。
本プロジェクトは、当社が理想とする「都市の中の都市(コンパクトシティ)」であり、当社がこれまでのヒルズで培ったすべてを注ぎ込んだ「ヒルズの未来形」でもあります。
安全・安心の街づくり
「安全・安心」は、地震や台風などの災害多発国である日本の最重要かつ喫緊なテーマです。首都・東京を襲う直下型地震の発生確率も高まっています。私たちの命と財産を守るうえでも、東京の磁力を高めるうえでも「災害に強い都市への再生」は欠かせません。森ビルでは「逃げ出す街から、逃げ込める街へ」をコンセプトに、大規模再開発の特性を活かして、災害に強い安全・安心の街、開発地域のみならず周辺地域への貢献も果たす防災拠点づくりを進めています。オープンスペースの創出や都市交通インフラの整備などのハード面に加えて、延べ約1.4万人の帰宅困難者を受け入れるための場所の確保、食材・資機材などの備蓄、情報提供などに積極的に取り組んでいます。
森ビルグループ コンプライアンス行動規範ガイドライン(抜粋)
II.社会との関係:4.安全な施設・サービスの創造(安全三ヶ条)
(1)安全・安心こそ都市のあらゆる魅力を支える基盤であり、全てに優先すべきものと位置付けます。
(2)安全・安心を守るため、あらゆる部門、あらゆる業務を通じて問題意識を持ち、真摯な態度でより確かな技術、運営を目指します。
(3)一人一人の自覚と責任において常に安全・安心の視点に立って自らの行動を確認し、改善していきます。
III.顧客・取引先・競争会社との関係:9.安全な施設・サービスの提供等
(1)施設・サービス等の提供、開発、管理、販売、運用等にあたっては、顧客(テナント、入居者その他施設・サービス利用者の全てを指します。以下同じ。)の満足、信頼の大前提として常に安全性に留意し、施設・サービス等に関する法律および様々な基準を十分理解し、これを遵守するとともに、より高度な安全性を目指します。
震災対策基本方針
- 当社が所有または管理・運営する建物、施設を利用するテナント・居住者・来訪者・近隣および当社社員の生命の安全を最優先とする。
- 震災に対し早期に対応し被害を最小限に抑える。
- テナントの執務継続、居住者の生活継続の為の支援機能を維持する。
- 近隣および東京都、港区、警察、消防をはじめ、関係行政機関等との協力を通し社会への貢献を行う。
建物を集約して広い空間を生む
過去の震災では、古い木造住宅が密集した地域での家屋の倒壊や、火災の延焼などにより甚大な被害が発生しており、大型の直下地震の発生が予想されている東京など、都市における木造住宅密集地域の整備は喫緊の課題となっています。
細分化した土地を統合し、分散していた建物を集約して超高層化する当社の再開発手法は、低層の木造密集(木密)地域の整備を含め、都市の高度防災化においても非常に有効です。木密地域を耐震性、不燃性に優れた超高層棟に集約するとともに、広域道路などのインフラと一体開発することで、足元に避難スペースを創出し、地域全体の防災性を向上します。限られた都市空間を有効に活用し、人々が憩えるゆとりあるスペースや緑地を創出しながら、人々にとって安全・安心な生活を実現しています。
ハードからソフトまで
当社では、建物には制振壁、制振ダンパーなど、現在考えうる最高レベルの耐震性能を持たせ、万が一に備え自家発電システムなども導入しています。また、災害用井戸や備蓄倉庫などの整備とともに、街全体での定期的な防災訓練を実施し、地域の防災拠点としての役割を担っています。
帰宅困難者受入
当社では、大規模施設で約1.4万人※の帰宅困難者受入に向けた体制を整備しています。また、六本木ヒルズ、虎ノ門ヒルズにおいては、東京都港区と「災害発生時における帰宅困難者の受入れ等に関する協力協定」を締結し、官民連携のもと、周辺地域の防災拠点としての貢献も果たす災害に強い安全・安心な街づくりに努めています。
なお、震災時には六本木駅周辺に帰宅困難者含めて多くの滞留者が発生し、救助活動への妨げや余震、群集事故などの二次災害が懸念されることから、港区、消防、警察、鉄道事業者、地元の企業などで構成される「六本木駅周辺滞留者対策推進協議会」に当社もメンバーとして参加し、エリアの防災向上に向けて連携して取り組んでいます。
- 六本木ヒルズ5,000名、虎ノ門ヒルズ5,200名、麻布台ヒルズ3,600名ほかアークヒルズ 仙石山森タワー、表参道ヒルズなど。
オフィスワーカー・店舗スタッフへの啓発活動
オフィステナント企業および店舗テナント企業に対し、有事に備えて対応していただきたい内容をまとめた「震災対策のしおり※」を作成・配布し、啓発活動に努めています。
- 震災対策のしおり記載内容:一斉帰宅の抑制、消防計画の徹底、従業員および家族の安否確認の実施、オフィス、店舗内の安全確保、備蓄品の準備など。
その他取り組み
- ニュースリリース:「災害時の状況可視化・情報連携システム」を独自開発(2022-05-13)
- ニュースリリース:IoT技術による「土地建物格付けシステム」を独自開発(2022-01-17)
- ニュースリリース:「ビルシステム向けサイバーセキュリティシステム」を独自開発(2021-09-09)
- ニュースリリース:「火災時初動訓練VRシミュレーター」を独自開発(2021-09-01)
- ニュースリリース:「東京都一斉帰宅抑制推進モデル企業」に認定(2019-02-25)
- ニュースリリース:独自開発した被災度推測システム「e-Daps」3月1日より中低層ビルにも導入開始(2018-02-28)
公共交通機関へのアクセスの配慮
森ビルは、大規模都市再開発事業を通じた地域インフラの整備と充実に努めています。
再開発によって細分化した土地を統合し、分散していた建物を集約・超高層化することで生み出されたスペースに、地区幹線道路を整備するほか、路線バス停留所やバスターミナルの設置、最寄り駅に通じる連絡通路の整備などを推進しています。また、敷地内に自動車専用動線を整備することで歩車分離を促進し、歩行者空間はバリアフリーにも配慮することで誰もが快適に移動できるよう取り組んでいます。
ステークホルダーとの協働
人口減少や少子・高齢化などによって、地域における人と人のつながりの希薄化や交流機会の減少が懸念されるなか、森ビルグループでは、「街」を挙げて様々な交流の機会を生み出し、住む人、働く人、訪れる人などをつないできました。
長年にわたる再開発事業を通じて蓄積された地元の方々との信頼関係のもと、森ビルが「街」の統一管理者となって、刻々と変わる地域の課題や利用者のニーズへの対応はもちろんのこと、異なる用途の施設や多様な街の構成員の利害を調整し、「一つの街」としての最適解を追い求め続けてきました。
また、地域活動の中核組織として、周辺エリアとも連携した街づくりを推進すべく、自治会を発足させています。自治会では、十数年におよぶ市街地再開発事業を主導してきた再開発組合の基盤を継承しながら、新たにこの街に暮らす住人、店舗や企業などで働く人々を迎えています。国籍も職業も年齢も多様な人々が地域活動に積極的に参加できる、複合都市ならではの開かれたコミュニティを形成することを目的に様々な活動に取り組んでいます。
六本木ヒルズの主な取り組み
六本木ヒルズ震災訓練
震災時に「逃げ込める街」を目指して、街にかかわる皆様とともに総合防災訓練を毎年3月に開催しています。ヒルズ内の震災井戸・防災用品・建物構造などを確認するとともに、応急手当などの体験訓練を行います。
六本木ヒルズの春まつり、盆踊り
「つくり、参加し、楽しむ」地域コミュニティイベントとして、年に2回、六本木ヒルズ自治会が主催となるお祭りを行っています。春まつりは、桜の開花の時期にあわせて実施し、毛利庭園の桜とさくら坂の並木がライトアップされるほか、毛利庭園にはヒルズ内の店舗やテレビ朝日の屋台が出店します。年齢、国籍、居住地問わず毎年多くの方で賑わう盆踊りは、六本木ヒルズアリーナにやぐらを組み、ヒルズ内の店舗やテレビ朝日の屋台が出店します。盆踊りは近隣の「麻布十番納涼まつり」と同時開催することで、地域連携に取り組んでいます。
六本木ヒルズ「GREEN UP」
六本木ヒルズのオフィスや住宅に入居する方々を中心に、花壇の草花の植替えやメンテナンスを通じて、六本木ヒルズへの愛着と、参加者同士のコミュニケーションを深めていただくことを目的に、2012年から活動しています。毎月1回朝に開催し、出勤やお出かけ前の時間を有意義に過ごせると好評をいただいています。
六本木ヒルズ「Hills Breakfast」
「Hills Breakfast」は毎月1回早朝の1時間、六本木ヒルズで開催しているトークイベントです。2010年の開始以降、約120回(2021年末までの実績)、延べ600人を超える方々が登壇し、2万人を超える皆様にご参加いただきました。オフィスで働く人同士の創発の場として定着し、今では参加者がボランティアで本イベントの運営に参加したり、スピーカーの話に共感した仲間同士で新しい活動を立ち上げるなど、参加者が枠を超えてつながる機会にもなっています。
六本木ヒルズ自治会
六本木ヒルズ自治会は、六本木ヒルズに住む人や働いている人同士のコミュニティを育み、さらに近隣町会とも連携し、文化的で国際性豊かな街づくりを推進していくことを目的に、2004年5月に設立されました。六本木ヒルズを安全で安心、快適な街にするために、毎月の清掃ボランティア「六本木クリーンアップ」や、春まつり、盆踊り、震災訓練などを積極的に行っています。
自治会活動3つの柱
- 安全・安心活動
自治会最大の目的は「自助・共助・公助」ができる安全・安心な街づくり。近隣町会とも連携し、震災時はもちろん、通常の生活においても助け合える街を目指し、防犯防災活動に取り組んでいます。
活動事例:震災訓練、交通課題への取り組みなど - コミュニティ活動
コミュニティ活動を通じて、ヒルズ内で多くの知り合い(ネットワーク)をつくっていただきたいとの考えから、年間を通して様々な活動を展開。コミュニティ活動を通して形成されたネットワークは、緊急時にも役立つ大切な絆となります。
活動事例:新年会、春まつり、お花見の会、朝の太極拳、盆踊り、秋の集い、異文化交流プログラムなど - 地域貢献活動
「六本木ヒルズに留まらず、六本木エリアを活性化しよう」を自治会の一つのテーマに掲げ、積極的に六本木の街に繰り出し活動しています。
活動事例:清掃活動、近隣地域での様々な役割
青少年の育成支援
ヒルズ街育プロジェクト
当社は創業から60年にわたり地域の方とともに街づくりを推進してきました。街づくりのノウハウや街の魅力を未来を担う子どもたちに伝え、楽しく学びながら次世代の都市のあり方を考える機会としてヒルズ街育プロジェクトを実施しています。六本木ヒルズ、アークヒルズなどの当社が開発・運営する実際の"街"を舞台に、当社が街づくりで大切にしている「安全・安心」「環境・緑」「文化・芸術」をテーマとした多様な体験型プログラムを展開しています。一般公募によるプログラムだけでなく、近隣小学校のカリキュラムの一環として当社施設への受入や小学校に出向いて行う出張授業の実施など、地域コミュニティにおける子どもの学習機会の提供にも貢献しています。なお、2007年の初回開催以降、延べ約570回、19,000人を超える方々にご参加いただいています。
キッズワークショップ
ヒルズを舞台に未来を担う子どもたちに本物の体験を提供する機会として、六本木ヒルズやアークヒルズ、虎ノ門ヒルズの入居企業や店舗などと連携した「キッズワークショップ」を2010年より毎夏開催しています。2023年は、47種・177講座を実施。ヒルズに集う各界のエキスパートを講師に迎え、多用途複合型の街を舞台にした特別な学習体験を届けています。
アークヒルズ「ARK HILLS KIDS COMMUNITY」
アークヒルズでは、「キッズ・ファミリーフレンドリーな街」をコンセプトに、自然や音楽、アート、最先端のテクノロジーなど、子どもたちの豊かな未来につながる原体験となるようなプログラムを年間を通して提供しています。その一つであるGREEN WORKSHOPは、アークヒルズならではの豊かな自然をフィールドに、子どもたちの伸びやかな五感・創造性・豊かな感性を育む月1回のプログラムとして実施しています。
インターンシッププログラムの実施
当社では、高専生・大学生・大学院生を対象に、専攻や職種ごとに複数回インターンシッププログラムを実施しています。2023年度は約150名の学生が参加しました。
環境コミュニティ
企業や行政、街の人々など様々なステークホルダーとともに
企業と環境展(主催:mecc)
「mecc」(みなと環境にやさしい事業者会議:Minato Eco-Conscious Consortium)は、企業と区民と区が連携し環境情報と知恵の受発信ができる場として2005年に港区により設立され、森ビルは2007年より賛同し参加しています。特に、環境に関する展示や発表会を行う「企業と環境展」では、2010年以降企画・運営・場の提供などに協力しています。
港区自転車シェアリング(実施主体:港区)
港区では、2014年から日常的な移動手段の利便性を向上させ、観光振興などの街の魅力を高める新しい交通手段として「港区自転車シェアリング」を開始しました。当社は、オフィスワーカーや居住者、来街者、地域の方々など多くの方が利用しやすいように虎ノ門ヒルズ、愛宕グリーンヒルズ、アークヒルズ、六本木ヒルズなどへのサイクルポート設置に協力し、放置自転車対策やCO2排出量削減にも貢献しています。
海の森プロジェクト(主催:東京都港湾局)
東京都港湾局が、美しい街・東京を実現するために2007年より開始したプロジェクトで、ゴミと建設発生土から生じた中央防波堤内側埋立地には、市民などからの募金で購入した苗木と、都内小学生などがドングリから育てた苗木48万本植えられています。当社は開始当初より募金に協力し、2010年以降は当社のオフィスで働く方々とともに植樹および育林活動に参加し、延べ500人の方が植樹を行いました。
森ビルの森 東京都水道局~企業の森(ネーミングライツ)
東京都水道局が、企業とともに水源の森づくりに取り組む活動で、参加企業は担当するエリアにネーミングライツを取得し、協働して水道水源林の保全育成などを行うものです。当社は、2021年に協定を締結して2haほどのエリアを「森ビルの森」と名付け、当社社員およびその家族を中心に活動を実施しています。
六本木クリーンアップ
六本木ヒルズ自治会の環境美化部会が中心になり毎月第3土曜日に活動を続けています。「六本木の街をきれいにしよう」との思いから始まったこの清掃ボランティアには、毎回約100人の参加者が集まり、熱心に、そして楽しく、清掃ボランティア活動を行っています。
参加者は、六本木ヒルズレジデンスの居住者を始め、六本木ヒルズ内のオフィス・店舗・施設で働く方、清掃スタッフなど、ヒルズの様々な施設から積極的に参加いただいており、その輪は近隣高校やロータリークラブなどヒルズ外にも広がっています。
屋上庭園での稲作体験
四季折々の樹木と水田・菜園とが融合した六本木ヒルズけやき坂コンプレックスの屋上庭園(地上45m、通常非公開)は、1年を通じて様々なコミュニティ活動の場として活用されています。なかでも、六本木ヒルズや近隣にお住まいのご家族、六本木ヒルズのオフィス、店舗で働く方、並びにそのご家族を対象に実施している田植え・稲刈り・もちつきなどの稲作体験は、都会の真ん中で日本の伝統文化に触れられる貴重な機会となるだけでなく、街にかかわる人のコミュニティ形成の機会にもなっています。2006年以降は、毎年異なる地域とコラボレーションしており、その地域の米栽培を通じた地方文化発信にも寄与しています。
ヒルズいきものDays
国際生物多様性の日(5月22日)にちなみ、来街者への啓発やお子様の学習を目的とした「親子でいきものテント」をファーマーズマーケット「アークヒルズマルシェ」に出展し、生物多様性について身近な関心をもってもらえるようなワークショップや、アークヒルズの緑やいきものを紹介するスタンプラリーを実施しています。
環境映画上映会
テナントのオフィスワーカー向けに行う環境啓発のイベントです。日常的な啓発に加えて、6月の環境月間に環境をテーマにした映画を上映して、テナントの方々とともに環境意識を深め、お互いに協働することの必要性を呼びかける機会としています。2022年はオフィステナントと店舗テナントをゲストに迎え、「身近なところから始める資源循環」についてのトークセッションを実施しました。
親子でエコっとプロジェクト
港区麻布地区総合支所と協働し、当社の敷地で地域のお子様と草を使ったレクリエーションや、いきものさがしを実施し生物多様性やバイオミミクリーの学習を行っています。緑地では実際にヤゴや鳥類、カエルなどが見つかっています。
文化・芸術支援
森ビルグループは「都市には経済活動を支えるだけではなく、豊かな都市生活を実現するための文化的魅力が不可欠である」との強い想いから、「文化」を最も重要な要素の一つとして位置づけて、都市づくりに取り組んでいます。「文化」は、社会における新たな価値を生み出し、世界を動かす原動力になります。
1986年のアークヒルズでは、オフィス、住宅、商業店舗に加えて、音楽ホール(サントリーホール)、社会人教育機関(アーク都市塾)、会員制クラブ(アークヒルズクラブ)、ホテル、屋上庭園などを高度に集積させたコンパクトシティを創出しました。2003年の六本木ヒルズでは「文化都心」のコンセプトのもと、森タワーの最上部に森美術館、社会人教育機関および会員制ライブラリー(アカデミーヒルズ/2024年6月閉館)、会員制クラブ(六本木ヒルズクラブ)などを創設するとともに、タウンマネジメントの手法によって六本木アートナイトを始めとする様々な文化・交流イベントを仕掛け、世界に向けて「文化」を発信してきました。さらに、2018年には東京・お台場に世界初のデジタルアートミュージアムを開業※し、世界に類のない、唯一無二の文化施設として、世界の人々から高い評価をいただいています。
- 2024年2月、東京・お台場から「麻布台ヒルズ」に移転オープン。
職住分離型から経済と文化を両立した街(アークヒルズ)
「経済活動を支えるだけでなく、文化的な魅力や豊かな環境を備えた都市をつくるにはどうしたらいいのだろうか」という模索から挑戦したのが、17年の歳月をかけた再開発「アークヒルズ」(1986年竣工)です。アークヒルズは、オフィス、住宅、音楽ホール(サントリーホール)、ホテル、レストラン、店舗、会員制クラブ、社会人教育などを組み合わせた超高層のコンパクトシティであり、経済活動と文化活動の両立を目指したものです。一流の音楽ホールや教育&交流施設があることによって、働く場だけの街とは違った人々がここに集まるようになり、街に潤いや活力、魅力をもたらしました。「世界一美しい響き」をコンセプトに掲げて誕生したサントリーホールは、今なお多くの人々を迎え続けています。
「文化都心」の創造(六本木ヒルズ)
「アークヒルズ」の実体験から生まれた「文化都心を創る」という構想は、「六本木ヒルズ」に受け継がれ、開花しました。
六本木ヒルズでは、コンパクトシティの中に、職・住・商・憩・遊・学・育・医といった多彩な都市機能や様々な文化装置を集約し、人々との出会い、交流、対話を育んでいます。文化都心の象徴として、森タワーの最上部にあえて美術館(森美術館)や会員制プライベートクラブ(六本木ヒルズクラブ)、社会人教育機関・会員制ライブラリー(アカデミーヒルズ/2024年6月閉館)などを集めました。
また、六本木ヒルズは、文化を育むだけでなく、それを国内外に発信する多彩な機能を備えています。テレビ局やラジオ局といった既存のメディアの存在はもちろん、街そのものをメディアとして捉え、ハード&ソフトの仕組みがあります。常に新しい何かが起きている場所、常に新しい知や創造や可能性が生まれている場所として、世界の人々がその魅力を求めて訪れる「デスティネーション」になっています。
世界初のデジタルアートミュージアム「MORI Building DIGITAL ART MUSEUM: EPSON teamLab Borderless」
森ビルとチームラボが共同で運営する世界初のデジタルアートミュージアムとして、2018年6月に東京・お台場にオープン。初年度の年間来館者数は、単独のアーティストのミュージアムとして世界最多規模となる約230万人を達成しました。来館者数に占める訪日外国人割合は約50%を占め、来館者の国籍は世界160以上の国・地域におよぶなど、国籍・年齢・性別などを問わず、広く世界の人々から愛される「東京の新たなデスティネーション」となりました。
2024年2月の麻布台ヒルズ移転オープン以降も国内外から多くの人々を惹きつけており、開館から8カ月で来館者100万人を記録。世界に類のない、全く新しいミュージアムとして、米国のニュース雑誌であるTIME誌の「World's Greatest Places 2024(世界で最も素晴らしい場所 2024年度版)」に選出されるなど、国内外において権威ある賞を多数受賞しています。
文化芸術支援における主な取り組み
六本木アートナイト
当社が主催者※として参画する六本木アートナイトは、六本木の街を舞台としたアートの祭典です。美術館をはじめとする文化施設、大型複合施設、商店街が集積する六本木の街全域にわたり、アート展示、音楽やパフォーマンス、トークなどの多様なコンテンツを展開し、社会におけるアートのさらなる可能性を発信していくフェスティバルで2009年より継続的に開催しています。
- 主催:東京都、公益財団法人東京都歴史文化財団 アーツカウンシル東京、港区、六本木アートナイト実行委員会(国立新美術館、サントリー美術館、東京ミッドタウン、21_21 DESIGN SIGHT、森美術館、森ビル、六本木商店街振興組合(五十音順))
ARK Hills Music Week(アークヒルズ)
「ARK Hills Music Week」は、都市文化を楽しむライフスタイルを提案するアークヒルズと、1986年の開館以来、世界の音楽芸術に触れる機会を提供し続けている世界的コンサートホールであるサントリーホールが、音楽をより身近に楽しんでいただくことを目的に、2011年にスタートした街の音楽祭です。サントリーホールで開催される「サントリーホール ARKクラシックス」をはじめ、アークヒルズおよび周辺エリアの美術館や飲食店、大使館などの施設で、数日間にわたり選りすぐりのプログラムを提供しています。
六本木アート・トライアングル(六本木ヒルズ)
当社が運営する森美術館は、国立新美術館、サントリー美術館とともに、地図上で三角形を描く「六本木アート・トライアングル(略称あとろ)」として、様々な連携に取り組んでいます。3館を中心とした六本木のアート関連スポットをご紹介する「六本木アート・トライアングル」マップの制作や、3館連動による割引施策を通じたエリアの回遊性向上などを推進し、六本木エリアがアートの拠点としてさらに発展することを目指しています。
パブリックアート
六本木を東京の文化の中心地にしようというアイデアの一環として、六本木ヒルズでは敷地内各所に、20人以上の世界的アーティストやデザイナーが特別に創作したパブリックアートやストリートファニチャーを設置しています。アートとデザインの境界を越えた、美しく、機能的な作品が、創造的な文化都心の景観を形づくっています。
このほかにも、アークヒルズや虎ノ門ヒルズ、麻布台ヒルズなど、当社が手掛ける街ではパブリックアートを積極的に取り入れ、街に住む人、働く人、遊びに訪れる人など、街に参加する人々が、現代アートやクリエイティブな体験を通してより充実した豊かな毎日を送れるような環境を整えています。
実績データ
取り組み別参加人数
2019年度 | 2020年度 | 2021年度 | 2022年度 | 2023年度 | |
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ヒルズ街育プロジェクト※1 | 1,736名 | 442名 | 975名 | 1,030名 | 1,276名 |
キッズワークショップ※1 | 3,706名 | 891名 | 1,110名 | 1,051名 | 2,040名 |
六本木ヒルズ屋上庭園での稲作体験※2 | 472名 | 64名 | 66名 | 245名 | 485名 |
- 1 2020年度および2021年度は、新型コロナウイルス感染症拡大にともない、オンラインプログラムとして開催
- 2 2020年度および2021年度は、新型コロナウイルス感染症拡大にともない、取り組みの一部を中止または縮小して開催