森ビル株式会社

基本的な考え方

森ビルグループは「都市を創り、都市を育む」の理念のもと、ビジネスパートナーを含む様々なステークホルダーの皆様とともに推進する都市づくりを通じて、住む人、働く人、訪れる人が心身ともに健康でいきいきと過ごすことができる、持続可能な社会の実現に向けて取り組んでまいりました。

昨今、世界的に人権問題や環境問題などの社会的課題に直面しているなか、当社グループが事業活動を継続・拡大し、持続可能な社会の実現に向けてさらなる貢献をしていくためには、都市づくりにおいて開発から運営に至るまで協働関係にある多くのサプライヤーを含めた、サプライチェーン全体での取り組みがより重要になると考え「森ビルグループ サステナブル調達ガイドライン」を策定しています。なお、本ガイドラインの策定にあたっては、社会からの要請を正しく把握するために、外部の専門家の知見および助言を活用しています。

サプライヤーへの本ガイドラインの周知、適用を推進し、サプライヤーの取引先についても共有を励行することで、サプライチェーン全体でサステナブル調達を実施するよう努めていきます。

森ビルグループ サステナブル調達ガイドライン(2022年6月制定)

  1. 法令・社会規範の遵守
    • 事業を行う国や地域の法令並びに国際条約や社会規範を遵守する。
  2. 人権の尊重
    • 人権や労働に係る国際的な基準を支持するとともに、事業を行う国や地域の法令や伝統・慣習を尊重する。
      ※「国際人権章典」(世界人権宣言および国際人権規約)、国際労働機関(ILO)「労働における基本的原則及び権利に関するILO宣言」、国連「ビジネスと人権に関する指導原則」、「子どもの権利とビジネス原則」
    • 基本的人権を尊重し、人種、国籍、性別、性的指向、年齢、宗教、民族、障がいの有無、疾病の有無等を理由として、求人、採用、人材育成、昇進等における差別や個人の尊厳を傷つける行為を行わない。
    • 精神的・肉体的な攻撃、言動による中傷、ハラスメントなどの従業員に対する非人道的な扱いを行わない。
  3. 健全な労働条件および労働環境の確保
    • 人身売買や奴隷を一切容認せず、職業選択の自由を尊重し、強制労働を禁止する。
    • 事業を行う国や地域の法令に従い、最低就業年齢に満たない児童の雇用や就業を禁止する。
    • 若年労働者を健康や安全のリスクにさらされる恐れのある危険業務に従事させない。
    • 労働時間、休暇等に関する法令を遵守するとともに、長時間労働や過重労働を防止する。
    • 従業員の賃金は事業を行う国や地域で定められた最低賃金以上を合意された期日通りに支払う。また、従業員の安定した生活を確保するために、生活水準を考慮した賃金の支払いに努める。
    • 事業を行う国や地域の法令に従い、結社の自由および団体交渉の権利を尊重する。
    • 安全衛生上のリスクを特定・評価し、適切な対策を実施することで、労働災害の防止に努める。また、労働災害が発生した場合は、原因を究明し、再発防止策を講じる。
    • 従業員にとって身体的・精神的に安全で健全な労働環境を確保する。また、従業員に宿泊施設を提供する場合は、心身の健康に配慮した、安全で衛生的な生活環境を確保する。
  4. 公正な企業活動
    • 独占禁止法や下請法等企業活動に関する法令に則り、公平・公正な取引を行う。
    • 贈収賄やその疑いのある行為など不適切な利益の授受・供与を防止し、腐敗行為を行わない。
    • 反社会的勢力等からの一切の要求に応じず、関わりを持たない。
    • 取引全般において利益相反が生じる場合には適切に対応する。
    • 業務を遂行する過程で知ったインサイダー情報の不正な使用を禁止するとともに、内部情報の漏洩を防止する。
    • 自社の保有する特許権、商標権、著作権等の知的財産権を第三者に侵害されないよう保護し、適切に運用・管理するとともに、第三者が保有する知的財産権を侵害しない。
    • 法令違反・不正行為といった問題の未然防止や早期発見のための内部通報制度を整備し、問題があった場合は速やかな解決に努める。通報に際して秘密が厳守され、通報者および相談者が不利益を被らない体制を構築する。
    • 社会やステークホルダーからの求めに応じ、信頼性のある企業情報を適時適切に提供・開示する。
    • 事業活動の中で使用する製品や原材料等は、社会や環境に配慮して生産されたものを活用するよう努めるとともに、強制労働、違法伐採、紛争鉱物など不正な手段で生産されたものは利用しない。
  5. 環境保全への取り組み
    • 事業を行う国や地域における大気、水質、土壌等の汚染防止や化学物質の排出規制等を定める環境関連の法令を遵守する。
    • 環境保全に関する管理体制を整備し、PDCAサイクルを回すことで、継続的な改善活動を行う。
    • 継続的にエネルギーの有効活用や再生可能エネルギーの利用を推進することで、温室効果ガスの排出量削減に努める。
    • 水や原材料等の資源の持続可能で効率的な利用により、使用量の削減を図る。
    • 事業活動が生態系に与える直接的・間接的影響について検討を行い、生物多様性の保全に取り組む。
    • 事業活動の中で発生する汚染物質や廃棄物を適切に管理し削減することで、大気、水質、土壌等の汚染の防止に努める。
    • 環境に配慮した材料と工法の採用に努めるとともに、日常的な3R(リデュース、リユース、リサイクル)活動を通じて、資源の循環利用を推進する。
  6. 品質・安全性の確保・向上
    • 提供する商品やサービスの品質を確保するため、適切な品質管理・品質保証体制を構築するとともに、その維持・向上に努める。
    • 企画からアフターサービスまで、あらゆる場面において商品やサービスの安全性を確保するため、法令や規範を遵守する。万が一、品質事故等が発生した場合には、必要な情報の開示・報告など、迅速かつ適切な対応を行う。
  7. 情報セキュリティの確保
    • 情報管理体制を構築し、事業活動を通じて得た個人情報や機密情報を適切に管理・保護することで、不正利用や情報漏洩を防止する。
  8. 事業継続計画(BCP)の構築
    • 大規模な災害や重大な事故などが生じた場合においても継続的に自社の商品やサービスを提供することができるよう、事業継続計画(BCP)を整備する。
  9. 地域社会への貢献
    • 地域社会の文化や慣習を尊重し、地域社会との良好な関係の構築を図るとともに、社会貢献活動にも積極的に取り組む。
  10. サプライチェーン全体における遵守の推進
    • 自社のみならず、取引先に対しても本ガイドラインを共有し、サプライチェーン全体で本ガイドラインが遵守されるよう努める。

サプライヤーの皆様へお願い

サステナブル調達ガイドラインが皆様の会社に浸透するよう、社内周知にご協力をお願いいたします。

サステナブル調達ガイドラインへの取り組み状況を確認するためのアンケート調査や訪問調査を実施するべく、対応を進めています。実施の際はご協力をお願いいたします。なお、本ガイドラインおよび当社グループが表明する各種方針(「森ビルグループ人権方針」など)に沿った取り組みができていない場合は、是正措置を講じていただくようお願いいたします。継続的に協議や助言を行っても改善が見られない場合は、取引を継続できないこともあります。

当社グループでは各種イニシアティブを支持しています。各種イニシアティブへのコミットメント実現のために、サプライヤーの皆様におかれましても積極的なご協力をお願いいたします。

サステナブル調達の推進

森ビルは、サステナビリティに関する取り組みの推進は業務執行にかかわる重要事項と考えており、当社代表取締役社長が委員長を務める「サステナビリティ委員会」と、その下部委員会として「環境推進委員会」および「社会・人権推進委員会」を設置しています。「サステナビリティ委員会」は、気候変動や人権、サプライチェーンマネジメントなどサステナビリティに関する重要事項の審議および下部委員会の監督・モニタリングを行います。また、取締役会は定期的に「サステナビリティ委員会」から報告を受け、重要事項については取締役会で審議するなど、管理・監督を行っています。

サプライヤーとの窓口となる仕入部は、サプライチェーンマネジメントの推進部署として「環境推進委員会」および「社会・人権推進委員会」に参加、連携しながらサステナブル調達に関するサプライチェーンマネジメントの取り組みの推進・管理を行うとともに、両委員会を通じて、定期的に「サステナビリティ委員会」へ報告しています。

サプライヤーと相互理解を深めること、それによって築いた信頼関係のもと、人権や環境に配慮した健全なサプライチェーンの構築・維持に努めることが、持続可能な社会の実現につながると考えています。今後は、サプライヤーに向けたサステナブル調達ガイドラインの浸透策を継続的に推進していきます。

リスク評価

森ビルは、サステナブル調達ガイドラインを通して、「人権の尊重」や「環境保全への取り組み」、「事業継続計画(BCP)の構築」など、様々なリスクに備えた体制づくりをサプライヤーに要請しています。そのため、本ガイドライン周知の促進を目的として、2022年度は当社の主な取引先約1,400社に対して本ガイドラインを送付しました。なかでも、サプライチェーンに及ぼす影響が特に大きいと考えられる取引先に対しては、本ガイドラインに沿ったアンケート調査を実施するべく、対応を進めています。新規取引先への評価、工事関連の取引先への評価、ビル運営にかかわる協力会社への評価の取り組みなどとあわせ、定期的なリスクアセスメントを通じてリスクの未然防止並びに低減に向けた活動に取り組んでいきます。

取引先評価の取り組み

サプライヤーアンケート調査の実施

サプライチェーンに及ぼす影響が特に大きいと考えられる取引先に対して、サステナブル調達ガイドラインに沿った取り組み状況を確認するため、アンケート調査の実施を進めています。2022年度は当社のサプライチェーンにおいて、特に重要な役割を担い、発注ボリュームの多い新築工事を施工する総合ゼネコン5社を対象に調査を実施しましたが、著しい問題は発見されませんでした。調査結果は各社にフィードバックし、サステナビリティに関する取り組みのさらなる推進を求めています。

新規取引開始時における評価

当社では、新規に取引を開始するサプライヤーに対して、企業経営におけるコンプライアンスの遵守状況、健康経営への取り組み、反社会的勢力との関係性など各種項目を評価しています。また、取引に至るまでの経緯の確認を行い、手順に従った承認を経たうえで取引を開始しています。これらの過程を経ることで、サプライヤーに起因するリスクの軽減を図っています。

工事関連の取引先への評価

当社では、年に1度、取引実績の多い工事関連の取引先に対して、安全衛生、現場環境、工期、品質、コスト、現場での対応などについて、工事監理部門である設計部、内装工事部門である建物環境開発事業部、調達部門である仕入部による評価を行っています。評価の結果、是正が必要な取引先に対しては、是正措置を協議し、改善を促していきます。また、取引先から当社への要望事項の聞き取りなどを通して、相互理解の深化に努めています。

ビル運営にかかわる協力会社への評価

入居テナント、来訪者、居住者をはじめとするお客様に対して、安全安心で快適な環境を提供するためには、管理運営サービスの主体である協力会社との連携は欠かせません。当社では年に1度、協力会社に対して、ビル毎、業務毎に常時の業務品質や緊急時の対応、本社のバックアップ体制などについて、ビル管理部門である管理事業部による評価を行い、明らかになった問題点を改善することで、サービスレベルの維持・向上を図っています。
評価結果は協力会社への定期訪問などを通してフィードバックし、問題点の対応について意見交換を実施しています。

主な取り組み

社内調達部門への教育・研修等

持続可能な調達活動を推進するうえで、調達を担う従業員の育成も重要です。森ビルは、コンプライアンス行動規範および仕入業務規程に基づき公正で公平な取引を行っています。調達部門である仕入部に対しては、定期的にサステナブル調達ガイドライン策定の背景、目的、その内容についての説明会や下請法など発注者として遵守すべき法令についての勉強会を実施し、スキルアップに努めています。

サプライヤーへの周知・研修

当社では、サプライヤーへ見積を依頼する際に発行する見積要項書に、サステナブル調達ガイドラインを添付することで本ガイドラインの周知・理解を図るとともに、本ガイドラインの遵守を見積条件としています。新規取引先においては、本ガイドラインの遵守を取引開始条件にしています。
また、年に1度、ビル運営にかかわる協力会社のスタッフを対象に、ビル運営に関する専門セミナーや、各現場の当社従業員の推薦による優秀スタッフの表彰会を開催しています。このような機会も活用して、サステナブル調達ガイドラインの周知に努めていきます。

パートナーシップ構築宣言への参画

パートナーシップ構築宣言

当社は、内閣府などが開催する「未来を拓くパートナーシップ構築推進会議」において策定された「パートナーシップ構築宣言」に参画しています。「パートナーシップ構築宣言」は、サプライチェーン全体の共存共栄と規模・系列などを超えた新たな連携や、親事業者と下請事業者との望ましい取引慣行の遵守を宣言するものです。

パートナーシップ構築宣言については、「パートナーシップ構築宣言」ポータルサイトをご参照ください。