労働慣行
基本的な考え方
森ビルグループは、「労働における基本的原則及び権利に関するILO宣言」において定められた労働における基本的権利を支持、尊重しています。宣言では、以下の労働原則が規定されています。
- 結社の自由および団体交渉権の承認
- 強制労働の禁止
- 児童労働の実効的な廃止
- 雇用及び職業における差別の禁止
なお、国際的に認められた人権と各国や地域の法令の間に矛盾がある場合、国際的な人権の原則を最大限尊重するための方法を追求していきます。
労働環境に関する取り組み
労働基準に関する方針の浸透
森ビルでは、入社時に就業規則や人事考課制度、福利厚生など、労働基準に関する会社の方針を全従業員に正しく理解してもらえるよう説明しています。
過度な労働時間の削減
当社では、時間外労働の削減に向けて以下のような取り組みを行っており、かつ執行役員会議で毎月時間外労働状況の報告し、改善に努めています。
- 長時間労働となりうる従業員の上長への注意喚起や面談の実施
- 長時間労働へのアラート発信
- 勤務管理システムのダッシュボード機能を用いた残業時間の可視化
- スーパーフレックスタイム制勤務、時差出勤などを用いた柔軟な働き方の促進
- 業務管理ツールを用いた業務効率化の促進やペーパーレス化
- 20時、22時での消灯
生活賃金の支援
当社では、各国における最低賃金の規定を遵守するだけでなく、それを上回る賃金を支払うことを方針としています。当社における2023年度の平均年間給与は9,556,000円です。
従業員の代表と会社の経営が対話できる仕組み
当社では、より良い労働環境・労働条件・健康経営の実現に向けて、従業員代表と会社経営が対話を行っています。従業員の健康増進と安全確保を重要課題と認識し、労使一体となって取り組みを進めています。
児童労働・強制労働の防止
当社では、これまで児童労働・強制労働は発生していません。取引先にも、調達ガイドラインで児童の雇用や就業・強制労働を禁止するとともに、健康や安全のリスクにさらされるおそれのある危険業務に若年労働者を従事させないよう要請しています。
万一、違反のおそれが発生した場合に通報可能な窓口を設置しています。
公正・公平な評価、ハラスメントの防止
当社では、公正・公平な評価を担保すべく、性別による報酬の差は設けていません。
また人権侵害を防止するため、採用面接を行う従業員に向けて、採用に関係しない項目である人種、国籍、宗教などに関する質問を行わない、といった人権に配慮したガイダンスを行っています。
さらに、セクシャルハラスメントやパワーハラスメントをはじめとする各種ハラスメントに関する研修を、新人研修や管理職向け研修のなかで行い、継続的に啓発活動を進めています。
福利厚生
当社では、様々な福利厚生制度を設けています。
福利厚生 | 概要 |
---|---|
企業年金 | ライフプランに合わせて受給開始年齢、受給期間を柔軟に選択することができます。また、勤続年数・等級・役職によるポイント制での退職金積立に加えて、長期勤続による定額加算を行っています。 |
選択型確定拠出年金 | 老後の資金形成のために、企業年金とは別に税制優遇のある選択型確定拠出年金制度を設けています。 |
財形貯蓄 | 住宅財形、年金財形、一般財形の3制度があります。 |
GLTD(団体長期障がい所得補償保険) | 病気やけがで長期間就業できなくなった場合に収入の一部を補償する保険を会社負担で付保しています。 |
特別弔慰金制度 | 従業員が高度障がいになった場合には高度障がい見舞金、死亡した場合には遺族へ特別弔慰金を支給する制度を設けています。 |
カフェテリアプラン(森ビルライフサポートプログラム) | 健康増進、育児・介護支援、自己啓発などの多種多様なメニューから、一定のポイントの範囲内で自由に選択し利用できる選択型福利厚生制度です。 |
都心居住家賃補助 | 都心での生活体験を通じて従業員のクリエイティビティや生産性、健康の向上を図るため、会社が指定する地域の賃貸住宅に居住する場合、家賃補助を行っています。 |
社宅制度 | 一定の条件を満たす従業員は当社社宅を利用することができます。 |
森ビル親睦会 | 会員の親睦促進のための親睦会費用補助、慶弔見舞金の支払、会員への貸付、社内クラブ活動の支援、各種イベントやチケットの特別料金で提供など行っています。 |
ダイバーシティ推進に向けた取り組み
女性活躍促進の取り組み
「えるぼし認定」取得

女性の職業生活における活躍の推進に関する法律(「女性活躍推進法」)に基づき、一定基準を満たし、女性の活躍促進に関する状況などが優良な企業は厚生労働大臣より「えるぼし認定」を受けることができます。
(1)採用(2)継続就業(3)労働時間等の働き方(4)管理職比率(5)多様なキャリアコースの5項目で評価が行われ、森ビルはこれら5つの基準のうち(1)採用(2)就業継続(3)労働時間等の働き方(5)多様なキャリアコースの4項目の基準を満たしたことから、2021年8月20日に二つ星のえるぼし認定を取得しました。
育児支援
「くるみん認定」取得

次世代育成支援対策推進法に基づき、一般事業主行動計画を策定した企業のうち、計画に定めた目標を達成し、一定の基準を満たした企業は「子育てサポート企業」として、厚生労働大臣より「くるみん認定」を受けることができます。
2016年4月1日策定の一般事業主行動計画に掲げた目標のうち、以下の達成状況が認められ、2021年8月20日にくるみん認定を取得しました。
- 育児休業取得中のスキルアップに向けた教育機会および情報の提供
- 育児休業からの早期復帰を促す経済的補助
- 育児・介護と仕事との両立を支援する制度の従業員への周知徹底
- 女性活躍および次世代育成に関する従業員の意識調査 等
今後も多様なライフスタイルに対応した職場環境の整備に努めていきます。
育児を支援する主な制度
産前産後休暇(給与支給あり)や、育児休業・育児支援制度などがあります。育児休業は、最長で子どもが3歳に達する前日まで取得可能です。また、男性の育児支援については、出生時育児休業として5日間の有給休暇付与や、積立休暇を利用した有給での育児休業も取得可能です。
育児休業からの復職支援については、1歳未満の子どもを認可外保育園に預けて早期復職する場合の保育園料補助制度があります。また、復職後の育児に関しても、子どもの看護休暇、フレックス型の短時間勤務および始業・終業時間の繰り上げ・繰り下げの適用(小学校6年生の年度末に達するまで適用が可能)、カフェテリアプラン(森ビルライフサポートプログラム)によるベビーシッター代、子どもの習い事費用などのサポートも行っています。
また、不妊治療を支援する積立休暇活用、休職制度もあります。
一般事業主行動計画(女性活躍推進・次世代育成)
- 計画期間 2021年4月1日~2026年3月31日(5年間)
- 目標
- 管理職に占める女性の割合を10%とする
- 男性社員の育児休業取得日数を平均20日とする
- 育児中社員の育児休業期間延長及び看護・介護休暇を拡充する
- 長時間労働を是正し、社員のワークライフバランスを改善する
- 取り組み内容
- 女性管理職増に向けた取り組み検討
- 育児中社員の育児休業期間延長及び看護・介護休暇制度拡充に向けた取り組み
- 社員への両立支援(育児・介護)制度に関する周知や理解
- 仕事と育児・介護の両立や性別による役割分担に対する意識改革のための啓蒙活動
- 長時間労働是正のための継続的なプログラムの実施
介護支援
当社では、介護と仕事の両立支援のため、以下取り組みを行っています。
介護を支援する主な制度
介護休業、介護休暇(有給)のほか、フレックス型の短時間勤務および始業・終業時間の繰り上げ、繰り下げの適用が可能です。介護休業については、法定の93日では対応しきれないケースを想定し、最長で1年間取得することができます。また、カフェテリアプランによる介護サービスや介護用品購入の補助など費用面でのサポートも行っています。
「トモニン」マーク取得

介護離職を未然に防止するため、仕事と介護を両立できる職場環境の整備促進に取り組む企業であることを示すシンボルマーク「トモニン」を厚生労働省より取得しました。今後も社員の仕事と介護の両立支援に取り組んでいきます。
シニアの活躍に向けた取り組み
当社では、シニア世代が豊富な経験やスキルを活かし活躍できるよう、50歳時点で、今後のライフプランやキャリアプランについて考えるセカンドキャリア研修を実施しています。
また、定年再雇用制度を設け、60歳で定年退職を迎えた従業員のうち、希望者に対し65歳まで雇用延長を実施しています。
障がい者雇用の拡大
2023年度時点で、当社の障がい者雇用率は2.24%です。障がいの状況に配慮したうえで、ひとりひとりが障がいの有無にかかわらずいきいきと働ける環境を目指して取り組んでいます。
LGBTQへの理解の促進
ダイバーシティの推進やハラスメントの防止をテーマに、管理職を対象にした研修を実施しています。また、LGBTQであることを公表している従業員の協力のもと、LGBTQへの理解の促進につながるような啓発記事を社内のイントラネットで掲載しています。
実績データ
人事関連データ(森ビル株式会社)
2019年度 | 2020年度 | 2021年度 | 2022年度 | 2023年度 | |||
---|---|---|---|---|---|---|---|
従業員数(人) | 男性 | 1,023 | 1,022 | 1,024 | 1,039 | 1,058 | |
女性 | 498 | 506 | 532 | 563 | 578 | ||
合計 | 1,521 | 1,528 | 1,556 | 1,602 | 1,636 | ||
うち正社員(人) | 男性 | 919 | 920 | 908 | 915 | 923 | |
女性 | 373 | 382 | 404 | 443 | 498 | ||
合計 | 1,292 | 1,302 | 1,312 | 1,358 | 1,421 | ||
うち非正規社員(人) | 男性 | 104 | 102 | 116 | 124 | 135 | |
女性 | 125 | 124 | 128 | 120 | 80 | ||
合計 | 229 | 226 | 244 | 244 | 215 | ||
管理職数(人)※1 | 男性 | 258 | 256 | 243 | 244 | 242 | |
女性 | 15 | 18 | 19 | 19 | 19 | ||
女性管理職比率 | 5.8 | 6.6 | 7.3 | 7.2 | 7.3 | ||
平均年間給与(万円) | 889 | 867 | 878 | 887 | 956 | ||
平均勤続勤務年数(年) | 男性 | 16.29 | 16.26 | 16.31 | 16.78 | 16.74 | |
女性 | 13.03 | 13.13 | 13.43 | 13.04 | 12.31 | ||
平均 | 15.37 | 15.35 | 15.46 | 15.56 | 15.18 | ||
平均年齢(歳) | 男性 | 44.1 | 44.2 | 45.0 | 45.3 | 45.4 | |
女性 | 39.5 | 39.8 | 40.3 | 40.2 | 40.0 | ||
平均 | 43.1 | 43.2 | 43.5 | 43.5 | 43.5 | ||
平均残業時間(時間)※2 | 26.5 | 22.7 | 26.9 | 27.2 | 28.3 | ||
新卒採用者数(人) | 男性 | 27 | 24 | 21 | 26 | 26 | |
女性 | 11 | 14 | 12 | 12 | 15 | ||
中途採用者数(人) | 男性 | 21 | 9 | 10 | 25 | 31 | |
女性 | 44 | 18 | 25 | 40 | 49 | ||
離職者数(人)(自己都合) | 19 | 14 | 22 | 27 | 30 | ||
自己都合離職者率(%) | 1.47 | 1.05 | 1.65 | 1.99 | 2.14 | ||
障がい者雇用率(%) | 1.99 | 2.19 | 2.05 | 2.04 | 2.24 | ||
有給休暇取得率(%) | 74.1 | 62.1 | 69.5 | 79.1 | 75.7 | ||
育児休業取得者数(人) | 男性 | 22 | 32 | 25 | 28 | 24 | |
女性 | 17 | 15 | 12 | 22 | 12 | ||
育児休業取得率(%) | 男性 | 78 | 76 | 80 | 90 | 92 | |
女性 | 100 | 100 | 100 | 100 | 100 | ||
育児休業復職率(%) | 100 | 100 | 100 | 100 | 93 | ||
短時間勤務利用者数(人) | 158 | 161 | 140 | 133 | 181 | ||
介護休暇取得者数(人) | 16 | 8 | 10 | 23 | 33 |
- 1 管理職の定義:監督または管理の業務に従事する者
- 2 平均残業時間:所定時間外労働時間で算出(健康と安全に同項目あり)
- 平均年間給与・平均年齢・平均残業時間・中途採用者数・障がい者雇用率・有給休暇取得率・育児休業取得者数・育児休業取得率・育児休業復職率・短時間勤務利用者数・介護休暇取得者数については正社員および契約社員が対象、平均勤続勤務年数・離職者数・自己都合離職者率については正社員が対象