当社の編集協力により、森ビルの仕事の軌跡・挑戦を、建築・設計技術の側面から記述した書籍「森ビル 建築から都市へ」(新建築7月別冊)が発刊しました。
ナンバービルから今のヒルズシリーズ、さらに2030年の都市ビジョンまで、約半世紀にわたって建築から都市へと発展してきた森ビルの仕事。それらはどのような意志、思考、実践の連鎖に基づき、かたち作られているのかを建築誌として詳細にひも解き、考察を加えています。
建築設計や都市計画等に関わる方はもちろんのこと、一人でも多くの皆様の手におとりいただき、本書が皆様の都市への興味を掻き立て、都市のあるべき姿について議論するきっかけとなることを願っています。

○概要
タイトル:「森ビル 建築から都市へ」(新建築2012年7月別冊)
仕 様 :A4変形版、カラー、268頁
発行日 :2012年6月29日(金)
販売価格:3,500円(税込)
出版社 :株式会社新建築社

○構成 
半世紀の変遷、事業の発展段階を以下の時代区分で整理し構成。

序 章 Mori Building ; City View
第1章 「ナンバービルの時代」 “合理的なオフィスビルの追求”
第2章 「アークヒルズの時代」 “複合化への模索”
第3章 「六本木ヒルズの時代」 “加速する複合化:グローバル化・IT化・スピード化の時代への対応”
第4章 「上海環球金融中心の時代」 “地上100階を超える”
第5章 「現代」 “東京のグランドデザインを見据える”
終 章 「2030年へのビジョン」 “世界一の都市であり続けるために”

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表紙:森稔が尊敬するフランスの建築家ル・コルビュジエのある書籍からインスピレーションを受け、現代風にデザイン

【編集序文より抜粋】
1955 年に、西新橋の小さなビルの建設・運営から出発し、「六本木ヒルズ」に代表される大規模複合都市再開発を実現し得たこのディベロッパーの軌跡は、不断の挑戦と成長の軌跡であったと、私たちは実感している。(中略)
この特集号をつくる過程で私たちは、この流れはもはやオルタナティブ建築史・都市史とさえ呼べるのではないかと考えるようになった。これまで、建築界では語られることが少なかったが、実際の建築や都市の大半を形成している建造物の成り立ちを支える論理の歴史。建物が成り立つ社会的経済的背景を踏まえつつも、時としてそれに抗ってでも実現しようと挑んだ意志の連鎖。日本の発展を支えてきたのは、こうした無数の努力の集積であったことは明らかである。森ビルもその中から、一貫したビジョンを持って立ち上がってきた。
事業性を重視する立場にありながら、自らが理想とする都市づくりへの野望を持って挑戦をし続ける森ビルというディベロッパーの思考の軌跡。ぜひご一読いただきたい。(編)

【当社元代表取締役会長 森稔(2012年3月逝去)寄稿文より抜粋】
森ビルの歴史は、既成概念への挑戦の歴史である。
われわれの原点は共同建築であり、ナンバービル時代から現在のヒルズの街づくりに至るまで、一貫して多くの人びとと協働してきた。資本も経験もない森ビルが、半世紀あまりで六本木ヒルズや上海環球金融中心などの21 世紀を代表する街づくりを手掛けるようになった理由の一端はここにある。
共同建築や再開発における最大の障害は既成概念であり、都市の成長や自由を縛るさまざまな規制だった。都市づくりに携わる多くの専門家や技術者が、時代遅れの規制や縦割行政の弊害を痛感してきたのではないだろうか。この壁を突破するには膨大な時間と複雑で困難な交渉や調整を必要とする。そのため、多くの有益なアイデアや技術が実現を見ずに終わっている。
われわれも既成概念にしたがって既存の規制の範囲内で仕事をしていれば、ひとつのプロジェクトを仕上げるのに十数年も要することはなかっただろう。しかし、この壁を乗り越えない限り、都市やその地区が抱える問題を根本的に解決することはできず、われわれが理想とする街づくりもできなかった。
傍目から見れば、われわれの挑戦は風車に突進するドン・キホーテのように見えるかもしれない。しかし、都市の成長や進化を阻む既成概念や規制の矛盾に挑戦し、突破口を開くことが森ビルの成長の原動力であり、存在意義である。これは、これからの都市づくりを考え、実現する上で欠かせないことであると思う。(中略)
既成概念の枠を取り外して考えれば、まだまだ多くの新たな仕組みやアイデア、提案が出てくるはずだ。それらを集め、真剣に検討し、試していただきたい。特区がイノベーションの宝庫となり、日本の都市づくりのターニングポイントになることを願ってやまない。
振り返れば、森ビルの最初のターニングポイントは都市再開発法だった。これによってアークヒルズの再開発に着手し、ビルづくりから街づくりへ踏み出した。都市再生特別措置法と総合特区法は、われわれにとっても次のターニングポイントかもしれない。これまでの街づくりのノウハウや経験を、より広域なエリアに活かすことで社会に貢献し、自らも成長したいと考えている。
(2012年2月寄稿)

 

内容:(例)西新橋2森ビル。当時の時代背景等を受け、建築設計の観点からどのような検討、判断を行ったのかを追うために、フロー図で事象を整理し、考察が加えられています。

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写真・図版等も豊富に用い、ビジュアルブックとしても森ビルの仕事を総括した初の書籍となります。

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森稔と都市計画家・伊藤滋氏による東京のグランドデザイン私案

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ニュースリリース:森ビルの不断の挑戦と成長の軌跡「森ビル 建築から都市へ」(新建築7月別冊)発刊
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