森美術館は、2017年11月18日(土)から2018年4月1日(日)まで、「レアンドロ・エルリッヒ展:見ることのリアル」を開催しています。レアンドロ・エルリッヒは、国際的に活躍するアルゼンチン出身の現代アーティストで、日本では金沢21世紀美術館に恒久設置された《スイミング・プール》の作家としても知られています。

本展は、初期の作品から新作までを網羅的に紹介することで、エルリッヒの四半世紀にわたる活動の全容に迫る世界でも過去最大規模の個展です。44点の出展作品のうち、8割が日本初公開作品で構成されるため、今まで見たことのない、エルリッヒ作品の新たな魅力に出会うことが出来ます。

大型のインスタレーションから映像まで、エルリッヒの作品は視覚的な錯覚を用いて、わたしたちの常識に揺さぶりをかけます。一見どこにでもある見慣れた風景ですが、よく見ると、水がないのに舟が浮かんでいたり、人々がさまざまなポーズで壁に張り付いていたりと、その異様な光景に観客は驚きと違和感を覚えることでしょう。自分が見ていることは果たして現実なのか、という疑いを抱くとともに、いかに無意識のうちに習慣にとらわれて物事を見ているか、という事実に気付きます。
作品を通してわたしたちは、見るという行為の曖昧さを自覚し、惰性や習慣、既成概念や常識などを取り払い、曇りのない目で物事を「見る」ことで、新しい世界が立ち現われてくることを、身をもって体験することになるでしょう。

レアンドロ・エルリッヒからのメッセージ
今回の個展は、私のキャリアにとって最大の挑戦であり、また、常にさまざまなインスピレーションを与えてくれる、洗練と刺激に満ちたこの東京で開催できることを大変光栄に思います。私の作品を通して、みなさん一人一人が「日常においてわたしたちがいかに無意識のうちに惰性や習慣で行動しているか」、そして「いかに常識や既成概念にとらわれ凝り固まった見方をしているか」ということに気付き、現実を問い直すきっかけとなれば嬉しいです。現実は一つだけではない。それこそが現実なのではないでしょうか。

ニュースリリース:【森美術館】《開幕》レアンドロ・エルリッヒ展:見ることのリアル