約770年の歴史を有する曹洞宗大本山永平寺と森ビル株式会社は、永平寺をめぐる環境の再構築を構想する「禅の里」事業に関する基本協定を締結いたしました。

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永平寺山門(有形文化財)

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数百年の樹齢を重ねる境内林

永平寺では、平成22年の強風による五代杉の倒木をきっかけとして、杉巨木の調査・対策と合わせて原因究明の環境調査を実施した結果、森林の管理運営や境内建物の総合的な防災に関する課題が明らかとなり、さらに、平成23年3月の東日本大震災を受け、境内だけではなく地域防災という観点での対応も検討課題となりました。また、開山道元禅師以来、長年にわたり永平寺とともに歩んできた門前においても、昭和の高度成長期から現在までの社会変化に伴う参拝者減少等の課題を抱えるなか、永平寺における境内環境事業および安全・安心事業、また、門前の再生を目的とした「禅の里」まちづくり事業を立ち上げ、永平寺を中心とした地域一体の環境、防災、景観、観光等の課題に取り組んできました。

修行道場・心の安寧の場としての将来像を描く「禅の里」事業を推進

永平寺はこのような経緯を踏まえ、永平寺が修行道場としての本来の在り様を保ちつつ、広く社会に寄与する存在であり続けるために、永平寺をめぐる環境の再構築を構想し、有為の人材を打ち出す修行道場として、また、多くの参拝者の心の安寧の場としての将来像を描くことを目的に「禅の里」事業を位置付け、推進することになりました。

森ビルに総合コンサルタント業務を委託

当事業の推進にあたり、都市部における伝統的・文化的な価値と共生するまちづくりの実績や、再開発事業における総合調整能力を高く評価し、杉巨木の調査・対策以来のパートナーでもある森ビルとの基本協定締結が実現しました。森ビルは平成28年3月を目途として、永平寺、門前、関係機関と調整を行いながら、基本計画を策定いたします。

[主な業務委託内容]
・「禅の里」事業に関する基本計画策定
・境内環境事業、安全・安心事業、門前の「禅の里」まちづくり事業の総合調整業務


森ビルを選定した理由(大本山永平寺のコメント)
杉巨木の倒木被害は、永平寺の象徴ともいえる存在への不安を引き起こしました。
この不安解消、安心安全のための各種の専門知識の結集は当然ながら困難が予想されましたが、慎重に内部での検討を重ねた結果、禅寺の特殊性を理解して実績があり、業界にとらわれずに実効性が高く、各種の専門知識・技術の結集に中間のスタンスがとれる森ビルにコンサルタント業務を依頼いたしました。
そして、その依頼に違わず、永平寺の立場に立って総合調整能力を発揮していただいたことからさらに永平寺の将来を見据えての事業へとすすめ、今般、森ビルと本事業に関する基本協定を締結することになりました。

永平寺とは
大本山永平寺は、今から約770年前の寛元2年(1244年)に、道元禅師によって坐禅修行の道場として越前の国(福井県)に開かれ、境内を三方の山に囲まれた深山幽谷に位置します。永平寺の敷地(約33ha)には、「七堂伽藍」(山門・仏殿・法堂・僧堂・大庫院・浴室・東司)など大小70余棟の建造物が並び、文化財として国宝の書物や重要文化財の梵鐘などを有しています。数百年の樹齢を重ねる樹高40~50mの杉が建物周囲に林立するという全国的にも珍しいお寺で、今も曹洞宗の大本山として僧侶の育成と檀信徒の信仰の源であり、日本全国から修行僧が集まっています。


ニュースリリース:大本山永平寺と森ビルが「禅の里」事業実現に向けた基本協定締結