【Hills' Eyes on Business ヒルズビジネス新潮流】は、“アイディアが生まれる街”六本木ヒルズをはじめとするヒルズが発信するライフスタイル誌「ヒルズライフ」で連載中。日本を牽引する新鮮なアイディアを持つ企業がヒルズに集まり、ヒルズからビジネスのトレンドが生まれていることを紹介しています。
当web版では「ヒルズライフ」と連動し、【Hills' Eyes on Business ヒルズビジネス新潮流】のサイドストーリーとして皆様にお届けします。

「Winning Together」という思想に基づくオフィススペース

2010年3月、六本木ヒルズ森タワーに入居したバークレイズ・キャピタル証券。その企業文化の一つに「Winning Together」という指針が掲げられている。
外資系金融会社というイメージからは、際立って優秀な個人プレーヤーが活躍する印象があるが、あくまでバークレイズ・キャピタル証券でのビジネスの本質はチームプレイにあるという。社員に求められる資質は協調性。互いに一丸となってチームとして成果を挙げ、目標達成に向かう。こうした同社の組織力は、日頃からの緊密なコミュニケーションに支えられている。
非常にスピーディー且つ正確性の高いビジネスが展開される金融業において、密なコミュニケーションは生命線となる。
「例えば、私のことで言えば、社長室からいかに多くの人数を見ることができるかという勝負になる」と中居英治代表取締役社長兼CEOは話す。
実際に同社の六本木ヒルズ森タワーの新オフィスでは、各部のトップの席は厚い扉に隔たれた重厚な役員室ではなく、現場である事業部の中に設けられている。常にトップと社員が状況を共有することで、相互のコミュニケーション密度が高まり、互いの業務、情報のオンタイムでの共有が可能となり、組織としての判断、アクションのスピードアップにつながっている。

ビジネス環境の最適化

いかに社員を活性化させ、企業としての活力を高めるか。こうした命題に取り組むべく、同社には労働環境改善をミッションとした「ワーキング・エンバイロメント・コミッティー」という組織がある。マネージャークラスから若手社員にかけて部署横断で集められた約20名によるこのチームは、六本木ヒルズ森タワーへの移転後に中居社長自らの発案で生まれ、日々ビジネス環境の最適化に取り組んでいる。
自分たちにとって最大のパフォーマンスを発揮できる環境とは何か、常にその最適解を模索し続ける姿勢。同社の組織力の源泉はこのあたりにもありそうだ。
また、こうした同社の職場環境を、年に一回社員の家族達が訪れるユニークな機会が設けられていることも特徴だ。「Family Fun Day」と呼ばれるこのオフィス見学ツアーには、毎年300人近くの参加者が集まるというから驚く。
スナックタイム、マジックショーなども交えながら、オリエンテーションのように社内をスタンプラリーで巡ったり、自分たちのビジネスと家族との距離を近づけるという同社ならではの試みだ。

六本木ヒルズという ワークライフステージ

2010年4月8日、今回の六本木ヒルズ森タワーへのオフィス移転を記念し、アカデミーヒルズでオフィス移転祝賀イ ベントが行われた。
オフィス、住宅、商業施設のほかにも、美術館や映画館などの文化施設、会員制交流クラブ、病院、商業施設など、街としての機能 がすべて揃うこの六本木ヒルズにオフィス拠点を構えるという選択について、中居社長はワークライフバランスも考慮した総合的な判断に基づいたものだと語 る。
オフィスの周辺で生活がすべて完結してしまうというメリットは社員からの評価も高いという。
これに加えて、高機能なオフィススペック は労働環境として快適性が高く、広いフロアーによる一体感がコミュニケーションの活性化にもつながっているとのことだ。
ただし、六本木ヒルズなら ではの有機的に絡み合った動線にまだ慣れず、道に迷う社員がいるとの声も聞く。実際、六本木ヒルズではオフィスへの行き方にも、さまざまなアプローチ方法 があり、場所、状況によっていくつかの選択肢から選ぶことができる。
しかし、自らのビジネス環境も最適にカスタマイズしてしまう彼らなら、すぐに 他のヒルズワーカーと同様、自分ならではの最適なアプローチを発見し、六本木ヒルズというステージを使いこなしてしまうことだろう。

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2009年の「Family Fun Day」の様子

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オフィス移転祝賀イベントでスピーチをされる中居社長

バークレイズ・キャピタル:http://www.barclayscapital.co.jp/

ヒルズライフ2010年7月号(「この号を読む」をクリックし、p.19をご覧下さい)では、同社の代表取締役社長兼CEO 中居英治氏が、昨今の激動の金融環境のなかでも業容を拡大する同社の経営手法等について語られています。ぜひそちらもご覧下さい。