【Hills' Eyes on Business ヒルズビジネス新潮流】は、“アイディアが生まれる街”六本木ヒルズをはじめとするヒルズが発信するライフスタイル誌「ヒルズライフ」で連載中。日本を牽引する新鮮なアイディアを持つ企業がヒルズに集まり、ヒルズからビジネスのトレンドが生まれていることを紹介しています。
当web版では「ヒルズライフ」と連動し、【Hills' Eyes on Business ヒルズビジネス新潮流】のサイドストーリーとして皆様にお届けします。

Worldsourcingという働き方

世界で数々の賞の受賞に輝くパソコン「ThinkPad」、「ThinkCentre」などを生み出すレノボ・グループ。世界各国のオフィスと日本、中国、米国の3箇所に研究開発拠点を持ち、2万人以上の社員を擁するこのグローバル・テクノロジー・カンパニーには、どこか一箇所から命令を発するような本社は存在しない。本社機能は合理性や適性に基づいて世界中の適所に分散配置され、エグゼクティブクラスによる経営会議も世界中いろんな国で行われる。グローバルなネットワークに基づき、最高のパフォーマンスを引き出すこの働き方の概念をレノボでは「Worldsourcing(ワールドソーシング)」と呼んでいる。
世界中に機能を分散することによるメリットは大きい。特に主要な研究開発拠点として「イノベーション・トライアングル」と呼ばれる、神奈川県大和市、アメリカ・ノースカロライナ州、中国・北京では、それぞれの時差を利用することで、24時間体制での革新的な製品開発が可能となっている。止まることのないレノボの発展はこうしたグローバルな働き方に支えられているのだ。
そのレノボ・グループの日本オフィスであるレノボ・ジャパンが今年4月、六本木ヒルズ森タワーに入居することとなった。

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ThinkPadのイメージカラーであるブラック、レッドが
印象的なプレゼンテーションスペース
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ミーティングルームから臨む
東京タワー

 

社員が情熱を持ち楽しめる環境をデザインする

オフィスの入居に当たって同社が重視したのはオフィススペースのデザインである。特に来客用スペースと社員自身のワークスペースのあり方については、社員自らが積極的に参加して、真剣な検討が重ねられた。
同社の来客用スペースは眺望も考慮された窓側に確保され、製品や革新的な技術を最も効果的かつ魅力的にプレゼンテーションできるスペースとなっている。これには、社員が自信、誇りを持ってお客様をご案内できるようにという意図があり、同社のブランディング戦略にも基づいている。
一方の社員用のワークスペースについては、とにかく社員が楽しんで仕事ができるような環境づくりがなされている。エグゼクティブ用スペースをオフィスの内側に納め、窓側の眺めの良いスペースが社員用に開放されている点は大きな特徴だ。加えて、充実したリラクゼーションルームも用意され、社員のモチベーションを高めるために定期的に社員の表彰を貼り出すための壁も設けられた。
社員がワクワクし、情熱を持って楽しめる環境が、結果的に組織の生産性を高めることにつながるというレノボの哲学がここに具現化されている。

六本木ヒルズでの事務所開きに表れるレノボのDNA

仕事を積極的に楽しむという同社のDNAは、今回の六本木ヒルズでの事務所開きという機会でも非常にユニークな形で表れることとなった。
世界各国で行われるレノボ・グループの経営幹部による経営会議が、この4月のレノボ・ジャパン本社移転に合わせて東京で開催された際、日本の新オフィス開設を祝う盛大なセレモニー「Lenovo Night」を実施。六本木ヒルズのグランド ハイアット 東京のボールルームを貸し切り、レノボ・グループの会長、CEOをはじめとする経営幹部、社員だけでなく、取引先やビジネス・パートナーの経営層も招待された。当日は外国人の経営幹部が法被を着て酒樽の鏡抜きを行い、会場には和太鼓が鳴り響くなど、グローバル企業であるレノボによる、ローカライズされたこのセレモニーの趣向に会場も大いに沸いた。
また、今回の移転に当たって、同社は六本木ヒルズ森タワーの既存の入居テナントに対して、引越し蕎麦を持って挨拶に回るという非常にユニークなアプローチを展開している。伝統的なこの日本の慣習を、外資系企業も多く入居する六本木ヒルズ森タワーへの移転の際に用いる点に自社を印象付ける同社の巧みな戦略も窺える。
またひとつ、六本木ヒルズという、様々な人々が交流し、触発しあう場のポテンシャルを最大限活用し、活躍する刺激的なグローバルプレーヤーが現れたようだ。

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「Lenovo Night」
法被を着た経営幹部による酒樽の鏡抜き

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「Lenovo Night」
会場に鳴り響く和太鼓

レノボ・ジャパン株式会社:http://www.lenovo.com/jp

ヒルズライフ2010年5月号では、同社の代表取締役社長 ロードリック・ラピン社長が、日々めざましい進化を続けるパソコンが今後向かう方向性について語られています。ぜひそちらもご覧下さい。