森ビル株式会社(東京都港区 代表取締役社長 森 稔)は、2003年11月より、アーク森ビル(東京都港区)のリニューアル工事に着手(2005年2月末 完了予定)しております。その内容につきまして、以下の通りお知らせいたします。

なお、アーク森ビルでは、2003年に大口テナントが六本木ヒルズ森タワーへ移転いたしましたが、今回のリニューアル工事と、そのリニューアル内容を打ち出した営業活動による新規テナント獲得や既存テナントの内部拡張需要により、リニューアル完了前ではありますが、稼働率は既に95%を達成し、今年度末には98%に達する見込みです。


■ リニューアルの目的
アーク森ビルは1986年の竣工以降、外資系金融機関が集積するビジネスセンターとして高稼動を維持してまいりましたが、築17年が経過した2003年、大口テナント数社が六本木ヒルズ森タワーへ移転した機会を捉え、オフィスビルとしての基本機能の維持・更新および競争力向上のためのスペックアップを図るために、2003年11月よりリニューアルを実施してまいりました。

■ リニューアルの概要
今回のリニューアル工事の主な対象エリアは、ビルの共用部全般および専用部(テナント貸室内)となります。専用部につきましては、既存テナントがご入居された状況での施工となるため、空きフロアを対象に実施いたしました。残りの部分につきましても、今後、テナントの入替時などに順次実施していく予定です。なお、リニューアルに係る費用は、100億円超を見込んでおります。

なお、今回のリニューアルの主なポイントは次頁の通りとなります。


<リニューアルの主なポイント>

1. 共用部
エントランスホール、エントランス階(1、2階)および基準階のエレベーターホール、エレベーター、基準階の共用廊下・トイレ・給湯室などのデザインを一新。エントランス階エレベーターホールの床をフローリングにするなど、全体的に木(木目調)を基調とした落ち着きと品格のあるデザインとしました。

2. 専用部(テナント貸室内)
OAフロアや電源容量、空調システム、天井システムなど、最新ビルと同等の水準までスペックアップいたしました。

参照1 アーク森ビル/リニューアル後の主要スペック表(PDFファイル)


なお、OAフロアの標準装備にあたっては、いかに天井高を保ちながら、有効な床配線スペースを実現するかが大きな課題となりましたが、当社が2000年に開発したグリッド型システム天井「フォレストシーリングシステム※注1」および、このたび新たに開発したOAフロアシステム「フォレストフロア※注2」を採用することにより、従来の天井高をほぼ確保したまま、高さ50mmのOAフロア(一般的な70mmのOAフロア相当の配線有効高さ36mmを確保)を設置することが可能となりました。

参照2(PDFファイル)


今後、IT対応に迫られる既存ビルのスペックアップにおいて、非常に有効な手段の1つと言えるでしょう。


3. その他

(1) セキュリティの強化
既にエントランス階(1、2階)に設置済みのセキュリティゲート、エレベーター呼び制御に加え、エレベーター内、基準階階段室扉、基準階非常用エレベーター附室扉、基準階貸室扉に非接触型ICカードリーダーを標準装備し、4段階で制御可能なセキュリティシステムといたしました。これによりフロア単位および貸室単位でのセキュリティ制御が行えるようになりました。

(2) 映像情報モニターの設置
テナント従業員や来街者の皆様に対する情報発信機能として、エレベーター内およびエントランス階(1、2階)に映像情報モニターを新設し、イベント情報の提供やニュース配信などが可能になりました。

(3)環境への配慮
フォレストシーリングシステムの採用を機に、天井材とカーペットを設置しない状態(クォータースケルトン仕様)での引渡し方法を採用いたしました(テナントが希望される場合に限り、標準仕様の天井材とカーペットを敷設)。これにより、テナントが入居時に別仕様のカーペットや天井を選択する場合でも、従来のように標準仕様の天井材とカーペットを未使用のまま解体・廃棄する必要がなく、省資源や産業廃棄物の削減が可能となります。
また、共用廊下にもフォレストシーリングシステムを採用し、天井を解体することなく、配管・配線などの天井内工事を行えるようにし、産業廃棄物の削減に配慮いたしました。


東京のオフィスマーケットにおいては、2003年の新築大規模オフィスビルの大量供給により、築年数の経過したオフィスビルへの影響が懸念されました。 築19年を迎えるアーク森ビルは、

・ エリア自体の魅力と将来性
・ イベント実施等のタウンマネジメントによる顧客満足度アップ
・ ブランドイメージの醸成
・ 従前の基本スペックの高さを活かした更なる機能向上
・ セキュリティ、デザイン、アメニティの向上

などにより、築年数の経過したオフィスビルであっても競争力を維持し続けることができるという一つの事例と考えております。

今後、都心中心部(東京セントラル・ビジネス・ディストリクト:東京CBD)に集中して競争力のある大規模オフィスビルが供給され、都心中心部であってもより厳しいオフィスビル間競争が展開されることが見込まれます。
当社といたしましては、そうした厳しいマーケット環境下における競争力維持のため、アーク森ビルと同様に、既存ビルの魅力度アップの施策を順次実施していく予定です。


【アーク森ビル 建築概要】

所在地東京都港区赤坂1-12-32
階 数地上37階 地下4階
構 造鉄骨造(一部鉄骨鉄筋コンクリート造)
延べ床面積181,833.01平米(55,004.4坪)
総貸室面積103,591.00平米(31,336.2坪)
竣 工1986年3月


リニューアル工事スケジュール

2003年11月~2005年2月末(予定)


リニューアル工事施工者

【建 築】(株)松村組、(株)ハタノ、ニチアス(株)、鐵矢工業(株)、(株)イトーキ、(株)びこう社、(株)日東紡マテリアル、(株)河野塗装店、(株)サンゲツ、文化シャッター(株)、(株)イシズエ、日本ビソー(株)
【昇降機】 三菱電機ビルテクノサービス(株)、(株)日立ビルシステム、東芝エレベータ(株)
【電 気】 (株)きんでん 【空 調】三機工業(株) 【衛 生】(株)西原衛生工業所


*注1 フォレストシーリングシステム
海外では一般的なグリッド型システム天井を日本のオフィスビルに採用するため、周辺機器・部材などを総合的に開発したシステム天井です。特徴は、フレキシビリティ・デザイン・コストパフォーマンス・エコロジーに優れている点であり、間仕切の新設・増設・移設及びそれに伴う付帯工事が容易に行えます。また、従来のシステム天井と比べて天井内の構造部材が少なく照明機器も薄いことなどから、天井の高さを上げるのに適したシステムといえます。

* 注2 フォレストフロア
リニューアル向けに開発したOAフロアです。OAフロア自身の重量、配線スペース、稼動ビルでの施工などのリニューアル特有の問題を解決し、かつ、歩行感、強度に優れた製品です。特に、支持脚に工夫をこらすことで、通常の窯業系OAフロアパネルと比べて板厚を10~15mm程度薄くし、有効配線高さを確保することを可能としました。


1階エントランスロビー

1、2階エレベーターホール

基準階エレベーターホール

廊下

トイレ

給湯室

貸室内