森ビル株式会社(東京都港区 代表取締役社長 辻慎吾)では、東京23区内で1986年以降に竣工した事務所延床面積10,000m²以上のオフィスビル(以下「大規模オフィスビル」)を対象に、需給動向に関する調査を1986年から継続して行っております。この度、2023年版の調査結果がまとまりましたので、ご報告いたします。

今後5年の年平均供給量は過去平均を下回る一方、オフィスの「大規模化」「都心部への集積」が進展

東京23区の大規模オフィスビルの供給量は、2023年・2025年に一定の供給が見込まれるものの、今後5年間の年平均供給量は過去平均を下回る見込みです。一方、「事務所延床面積10万m²以上の物件」の供給割合は2023年が80%、2027年も75%と増加傾向にあり、引き続きオフィスの「大規模化」が見込まれます。

230525_1.jpg

また、都心3区への供給割合は今後5年間で71%と、過去10年平均(74%)をわずかに下回るものの、23区全体の今後5年間の総供給量(465万m²)に対して主要ビジネスエリアにおける供給量(330万m²)が71%を占めており、「都心部へのオフィス集積」が加速する傾向にあります。特に、「虎ノ門」「品川」「赤坂・六本木」エリアでの供給増加が顕著です。

230525_2.jpg

空室率の上昇ペースは鈍化、主要ビジネスエリアの大規模オフィス需要が回復傾向

2022年末の東京23区の空室率は、2021年末から0.3pt上昇して5.9%であり、上昇ペースが大幅に鈍化しました。また、都心の主要ビジネスエリアでは5.5%(+0.3pt)、同エリア内で事務所延床面積10万m²以上の物件では4.4%(-0.1pt)と、エリアや物件グレードによる空室率の差が明確となっています。吸収量を見ると、新築物件では供給(48万m²)の約8割(39万m²)が吸収され、既存物件でも前回調査時から大きく改善(‐54万m²→-2万m²)しており、主要ビジネスエリアを中心にオフィス需要の回復傾向がみられます。

230525_3.jpg

当社が昨年10月に実施した「東京23区オフィスニーズ調査」によると、賃借面積拡大意向は引き続き増加傾向にあることがわかっています。新規賃借の理由には「働き方の変化に応じたワークプレイスへの変更」や「立地が良く・設備グレードが整っているビルへの移転」などが挙げられており、コロナ禍を経て多様化するワークスタイルへの対応や、都市機能の拡充が進む主要ビジネスエリアやハイグレード物件へのニーズの高まりがみられます。今後ますますハード・ソフト両面での商品力を備えた物件に、企業のオフィス需要が集まる傾向が加速するものと思われます。