森ビル株式会社(東京都港区 代表取締役社長 辻慎吾)は、オフィスマーケットの需要動向を把握することを目的に、「東京23区オフィスニーズ調査」を2003年より継続的に実施しています。当調査は、主に東京23区に本社が立地する企業で資本金上位の約1万社を対象として、今後の新規賃借予定等のオフィス需要に関するアンケートを行ったものです。この度2022年調査がまとまりましたので、結果をご報告します。

2022年10月に実施した今回の調査では、昨年から引き続き約4分の1の企業が「新規賃借予定あり」と回答。うち、「賃借面積拡大予定」の企業の割合は昨年より増加し、約5割が「拡大予定」と回答しました。

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さらに、新規賃借予定のある企業にその「理由」を尋ねたところ、「立地の良いビルに移りたい」「賃料の安いビルに移りたい」が同数で1位。「働き方の変化に応じたワークプレイスの変更のため」が3位となりました。また、新規賃借予定のある企業の「希望エリア」について、直近3年間(2020~2022年調査)の回答割合の平均値を見ると、「日本橋」(20%)、「丸の内」(15%)、「大手町」(15%)、「新橋」(13%)、「虎ノ門」(12%)など、大規模な再開発事業が集積するエリアが多く、駅や道路などのインフラ整備による交通利便性の向上や、職住遊が近接する高機能な複合開発による街の魅力向上への期待から、引き続きこれらのエリアへの注目度が高い様子が伺えます。

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従業員300人以上の企業におけるオフィス環境づくりに関する課題と期待

従業員300人以上の企業では、先述の新規貸借する理由の1位が「働き方の変化に応じたワークプレイスの変更のため」、次いで「立地の良いビルに移りたい」「設備グレードの高いビルに移りたい」と続き、前向きな理由によるオフィスニーズの増加がより顕著に表れました。また、「本社オフィスの存在意義や求められる機能・役割」を問う質問では、「従業員のエンゲージメント向上」「部門を越えた偶発的な出会いやコミュニケーション」「活発な議論やアイデア創出」が挙がり、次いで「チームビルディング」「従業員の創造性(クリエイティビティ)の誘発」となりました。オフィス環境づくりにおける課題としても「社内のコミュニケーションやコラボレーションの強化」、次いで「従業員のエンゲージメント向上」の回答割合が多く、一定規模以上の企業においては、特にワークプレイスの充実への関心が高く、オフィスに期待する役割も明確になっていると考えられます。社内外での活発なコミュニケーションから創造的なアイデアや議論が生まれ、かつ柔軟な働き方に対応できる魅力的なオフィスづくりがこれからますます求められていくでしょう。

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コロナ禍を経て働き方が変化・多様化する中にあって、新規賃借・賃借面積拡大の意向は引き続き根強く、大規模な再開発事業の進むエリアへの期待が高まっています。また、リモートワークでは困難な「社内外のコミュニケーション促進」「従業員のエンゲージメント強化」をオフィス環境づくりにおける課題と捉える企業が多く、一定規模以上の企業ではその傾向が特に顕著です。オフィス市場においては、これら新たなニーズを満たすことのできる、ハード・ソフト両面での商品力・提案力が求められていくことが予想されます。