通過点であり、ひとつの節目としての20年。
森美術館のミッションを再訪し、過去・現在・未来の時間軸を往来する。

森美術館は2023年に開館20周年を迎えます。当館のミッションは、現代性と国際性を追求しながら、複雑かつ多様な世界との出会いの場となることです。この20年を振り返ると、私たちが生きる世界は政治的にも経済的にも大きく変化しました。また、大規模な自然災害も頻度を増し、感染症のパンデミック、内戦や戦争など予想を超えた事態も起こっています。現代アートはこうした世界のさまざまな様相を映し出しています。

2023年度の2本の展覧会およびラーニングプログラムでは、森美術館のミッションを再訪し、過去・現在・未来という時間軸を往来します。上期の「ワールド・クラスルーム:現代アートの国語・算数・理科・社会」展では、現代アートを学校の「美術」や「図画工作」という科目から解放し、「世界」について学ぶあらゆる科目に通底した領域として捉えます。そして、現代美術館はすべての人に開かれた「世界を学ぶ教室」となります。また、本展は企画展では初めて森美術館のコレクションが出展作品の半数以上を占めることとなり、これまでの当館の展覧会を振り返る機会にもなります。下期の「私たちのエコロジー」展では、今日グローバルに最も喫緊の課題のひとつ、気候変動問題を含め、地球全体のサステナブルな循環を、現代アートとの関わりの歴史も踏まえて考えます。

20年は通過点にすぎませんが、ひとつの節目です。次の20年を見据えながら、変化する時代のなかで森美術館が果たすべき役割をあらためて考える年にしたいと思います。

森美術館 館長 片岡真実

ワールド・クラスルーム:現代アートの国語・算数・理科・社会

会期:2023年4月19日[水]-9月24日[日]

私たちのエコロジー

会期:2023年10月18日[水]-2024年3月31日[日]

※「ヘザウィック・スタジオ展:共感する建築」の会期は、以下のとおり変更となりました。
【新会期】2023年3月17日[金]-6月4日[日]