森ビル株式会社(東京都港区 代表取締役社長 辻 慎吾)は、オフィスマーケットの需要動向を把握することを目的に2003年より毎年「東京23区オフィスニーズに関する調査」を実施しております。
当調査は、主に東京23区に本社が立地する企業で資本金上位の約1万社を対象に、今後の新規賃借予定等のオフィス需要に関するアンケートを行ったものです。この度2020年調査がまとまりましたので結果をご報告します。

  • 本社オフィスの変更について、現在は多くの企業が情勢を注視しており、既に変更を決定している企業は11%、方針検討中の企業を含めても26%に留まる。
  • 新規賃借予定のある企業は24%とほぼ例年と変わらない水準。
  • 「在宅勤務」を導入している企業は73%で、その約3分の2の企業がコロナ禍を機に導入している。一方、回答した企業の約6割の企業がコロナ禍収束後の出社率は80%以上と予想している。

コロナ禍が始まって約半年が経過した2020年10月~11月にかけて行った今回のアンケート調査からは、コロナ禍の収束や景気動向が不透明な状況のもとで本社オフィス変更のような重要な経営方針を決定する企業はまだ一部であり、多くの企業が情勢を注視している段階にあると推察される。
コロナ禍を契機に、多くの企業で働き方に大きな変化が生じているが、収束後の出社率について50%未満と回答した企業は1割にとどまり、約6割の企業が80~100%と予想している。一方、在宅勤務を経てコミュニケーションやアイデア創出におけるオフィスの必要性を再認識する企業も多く、「オープンなミーティングスペース」や「リフレッシュスペース」「社外との協業スペース」など社内施設の導入・設置を進める割合が増加している。コロナ禍収束後の働き方やオフィスの使い方にどのような変革が生じるか、今後も注視が必要である。

【1.新規賃借予定の有無】

  • 新規賃借予定のある企業は24%。うち面積の「拡大予定」が33%、「変更なし」が25%、「縮小予定」が42%。
  • 新規賃借予定のある企業の約5割が1~2年以内に新規賃借を予定。

【2.新規賃借する理由】

  • 「賃料の安いビルに移りたい」が1位に。次いで「立地の良いビルに移りたい」が2位、「耐震性能の優れたビルに移りたい」が3位。昨年1位だった「新部署設置・業種・人員拡大」は8位へ。

【3.新規賃借する場合の希望エリア】

  • オフィス供給が続く日本橋エリアへの注目が高い他、新駅開業や大規模な再開発事業が続く虎ノ門・新橋の順位が上昇。

【4.2020年の賃料改定状況】

  • 過去1年間で賃料改定があった企業はほぼ例年通りの23%。
  • 直近の賃料改定で賃料増額と回答した企業の割合は約9割。

【5.コロナ禍における働き方やワークプレイスの変化について】

  • 今後の本社オフィス変更の方針を決定している企業は11%、方針検討中の企業を含めても26%に留まる。
  • 「在宅勤務」を導入している企業は73%。その約3分の2の企業がコロナ禍を機に在宅勤務を導入。
  • 「リフレッシュスペース」「社員食堂・カフェテリア」「社外との協業スペース」などの導入企業が昨年より増加。
  • 従業員数に対する個人デスク数は、約8割の企業がコロナ禍収束後で従業員の80%以上と予想。

【6.SDGsへの取組みについて】

  • SDGsへの取組みに対して前向きな姿勢を示す企業は昨年から増加し、全体の約4分の3に。
  • 就業者数300人以上の企業では約9割がSDGsへの取組みに対して前向きな姿勢を示す。