森美術館は、2014年9月20日(土)から2015年1月4日(日)まで、台湾出身、ニューヨーク在住のアーティスト、リー・ミンウェイ[李明維]の初の大規模個展「リー・ミンウェイとその関係展:参加するアート-見る、話す、贈る、書く、食べる、そして世界とつながる」を開催します。
1990年代後半以降、現代アートの世界では観客の参加によって成立する作品やプロジェクトが「リレーショナル・アート」「関係性の美学」として注目を浴び、大きな拡がりを見せてきました。この潮流のなか、リー・ミンウェイもさまざまな観客参加型のアートプロジェクトを展開し、国際的に活躍してきました。本展はリーの作品を網羅的に体験できるミッドキャリア・レトロスペクティブ※となります。
展示は、リー・ミンウェイの代表的な作品やプロジェクト15点(新作含む)に加え、これらを歴史的、文化的な文脈から読み解く試みとして、白隠、鈴木大拙、ジョン・ケージ、イヴ・クライン、李禹煥、アラン・カプロー、リクリット・ティラヴァニ、小沢剛、田中功起など、他のアーティスト、宗教家、思想家の作品や言葉も併せて紹介し、展覧会がより重層的で豊かな知的体験となるよう構成しています。
「開幕の時点では、展覧会の完成度はまだ40%」とリー・ミンウェイ自身が語るように、会期中、各プロジェクトは観客とのさまざまな関わりを通して活き活きとした生命を得、日々変化し、複雑で多彩なレイヤーへと拡がっていきます。私たちが自分を取り巻く人々、環境、そしてより大きな世界や歴史とどのようにつながっているのか。本展が関係性やつながりについて再考する機会となることを期待します。

※ミッドキャリア・レトロスペクティブ:アーティストのキャリアの晩年や没後に開催されるイメージが強い「回顧展」に対して、一定のスタイルを確立した中堅アーティストの数十年間の仕事を網羅的に見せる展覧会。

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《プロジェクト・繕つくろう》2009年
展示風景:ロンバード=フレイド・プロジェクツ、ニューヨーク、2009年
ルディ・ツェン氏蔵 撮影:Anita Kan