森ビル株式会社(東京都港区)前代表取締役会長 故 森稔が、自身の都市ヴィジョンをまとめた英語版著書『THE MAKING OF VERTICAL GARDEN CITIES』を英国・Penguin Books社より刊行いたしました。
本著は、森稔が2009年10月に発刊した自身初の書き下ろし本「ヒルズ 挑戦する都市」(朝日新聞出版)をもとに、本著出版準備中に発生した東日本大震災(2011年3月11日)において「逃げ込める街」の真価を発揮した六本木ヒルズ、さらにはその体験を経て得た自らの街づくり理念と手法への確信とともに、今後の50年に向けたヴィジョンを新たに書き加え、特別編集した内容となります。

タイトル:THE MAKING OF VERTICAL GARDEN CITIES
著者:森 稔 
出版社:Penguin Books(英)
ISBN:978-1-84614-366-3
発刊:2012年3月
ページ:200ページ
価格:£20
サイズ:234mm×156mm
販売:Amazon.co.uk(ハードカバー、Kindle)、Penguin.co.uk(ePub ebook)など

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■昨年の震災を受け、新たに書き下ろしたプロローグからの抜粋
「六本木ヒルズは、私がかねてより提唱してきた『ヴァーティカル・ガーデンシティ構想』を具現化したものである。この都市構想は、建物が建て詰まった都市を、空と地下を最大限に活用して都市空間を倍増し、地表や人工地盤面を緑と人に開放するというものだ。都市インフラも含めて耐震性や防災性を高め、自家発電を組み込むことにより、災害時に逃げ込める防災シェルターとして機能する。災害から逃げ出すのではなく、『逃げ込む街』である。
はからずも今回の震災はこうした都市モデルの安全性、優位性、有益性を証明する結果となった。震災以降、外資系企業から入居希望が相次いでいる。
今回の震災で日本が失ったものは大きい。しかし、一方で、多くのことを学んだ。我々にはこの教訓を活かしてより一層安全な街をつくり、あるいは既存の街の安全性を高めて、その経験や技術やノウハウを世界の人々に伝えていく義務がある。さらに進化したヴァーティカル・ガーデンシティを実現し、世界に向けて発信していきたい。それが世界の皆さんに対する、我々からの返礼である。」

■本書、および著者へのコメント
・リチャード・ベンダー(カリフォルニア大学バークレー校環境デザイン学部 名誉教授)
森稔は様々な顔がある。不動産オーナー、デベロッパー、経営の天才。しかし私にとって彼は明確なビジョンのある芸術家だと思う。都市、特に東京は彼のキャンバスだ。

・シーザー・ペリ(ペリ・クラーク・ペリ建築事務所 創設者)
様々なプロジェクトで森稔とコラボレーションしたことは非常に光栄であり喜びだった。彼と仕事をしていく中で、彼の建築や都市設計への深い理解に非常に感銘を受けた。我々の都市や建物に対する彼の考えは、非常に独創的で重要なものである。

・ユージーン・コーン(コーン・ペダーセン・フォックス建築事務所 会長)
森氏の都市の未来への関心は、不動産デベロッパー業界において彼を特別な存在にした。より大きな視点で物事をとらえ、開発のコミュニティに対する貢献も考えている。六本木ヒルズが体現したように、東京へ誇り、文化、そしてクオリティ・オブ・ライフをもたらす彼は、都市の真のヒーローだ。

・テレンス・コンラン卿
歴史を見てみると、我々の街の質や生活者に大きな影響のあった進歩は、巨大で、特異で、そしてしばしば議論の多い計画によることが多い。謙虚だが確固たる決意を持つ森稔は、過去50年の中で最も重要な都市開発に明確なビジョンを持って携わってきた。そして、彼はデザイナーにとって考えうる理想的な顧客である。

森稔について
1934年、京都府生まれ。東京大学教育学部卒。1959年森ビル株式会社設立と同時に取締役。1993年より同社代表取締役社長。2011年より同社代表取締役会長。1998年経済戦略会議委員、2001年総合規制改革会議委員等を歴任。日本経済団体連合会理事、東京商工会議所議員。首都大学東京客員教授。スウェーデン北極星勲章、名誉大英勲章、イタリア共和国連帯の星勲章等を受勲。
2012年3月8日、逝去。