虎ノ門・六本木地区第一種市街地再開発事業は、建築物の環境性能で評価し格付けする手法であるCASBEEにおいて、最高評価となる「Sランク(★★★★★)」の公式認証を取得いたしました。

虎ノ門・六本木地区第一種市街地再開発事業は、国際性・文化性豊かな「大街区」における新たな複合機能拠点としての街づくりを進めています。当事業は、「緑の生活都心」をコンセプトに掲げ、土地の高度利用により新たに生み出される空地を広場や緑地として整備し、潤いある都市空間の創出を目指し、開発段階から環境に配慮した様々な取り組みを行っています。

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虎ノ門・六本木地区第一種市街地再開発事業
外観イメージ(2009年10月着工、2012年6月竣工予定)

■生物多様性の視点を取り入れた日本初の都市再開発
緑地計画作成にあたって、現況調査や文献調査をもとに設定した在来種や潜在自然植生に配慮し、地域の自然の再生を目指します。その結果、当計画が、過去30年間における緑地の価値を大きく上回るものとなり、JHEP(ハビタット評価認証)で、「AAA」(最高ランク)の認証取得を致しました。(2009年11月取得)
■CO2 削減にも寄与する省エネ機器の採用
初期照度補正機能付高効率照明や蓄熱式空調システムなどの採用により、国の示す基準値に比べ、約37%(※)のCO2削減を達成します。また、太陽光発電装置も設置しています。
※建物の省エネルギー性能を示すERR値
■複層ガラス、Low-e複層ガラスの採用
両タイプのガラスを採用することで、熱伝導を抑え、断熱性能がアップします。
■雨水と雑排水の再利用
雨水利用・雑排水再利用として、雨水を集め、ろ過処理および雑排水処理後、中水の補給水として利用します。また、中水は、トイレの洗浄水や外構の散水、非常時の災害用水に利用します。
■免震装置(住宅棟)、制振装置(複合棟)による高い耐震性能
大地震時や強風時の安全はもとより中小地震や風揺れによる不快感を低減し、居住性能を向上させます。
■バリアフリー法の認定取得
多目的トイレの設置や廊下幅に配慮し、さらに、敷地内の高低差は、エレベータ、エスカレータ、階段により解消するなど、バリアフリー化につとめます。

「CASBEE」(建築物総合環境性能評価システム)
省エネや省資源・リサイクル性能といった環境負荷削減の側面はもとより、室内の快適性や景観への配慮といった環境品質・性能の向上といった側面も含めた、建築物の環境性能を総合的に評価するシステム。建物の持つ品質(Quality)と環境負荷(Load)によってライフサイクルを通じた総合的な環境性能を判定し、五段階の評価付けが行なわれている。

虎ノ門・六本木地区第一種市街地再開発事業 JHEP(ハビタット評価認証)「AAA」取得について

(2009年11月取得)

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評価にあたっては、権利変換計画が行われた2009年を基準年とし、過去と将来50年を比較し、生物多様性への貢献度を「総ハビタット価値(※)」という値をもとに定量評価しています。
※総ハビタット価値:緑の質である「動物評価種の住みやすさ」と「みどりの地域らしさ」に対し、緑の量と時間を乗じた値として算出する

当事業において得られる総ハビタット価値は37.6(縦軸)であり、これを計画前の数値と比較するとその差(評価値)は26.6(横軸)となります。これらの数値から、当事業の実施前後で、生物多様性の観点から見た緑地の価値が大きく高まることがわかり、JHEP認証の手法を用いたランク付けにおいては、最高ランクであるAAAの認証を受けています。

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ハビタット評価認証(HEP: Habitat Evaluation Procedure)
1980年代に米国内務省により開発された、ハビタット(野生生物の生息地)の観点から自然環境を定量的に評価する手法。客観性や再現性、分かりやすさなど、合意形成ツールとしての優れた特長が評価され、現在、米国の環境アセスメントや自然再生事業において最も広く使われる手法となっている。
JHEPは、HEPの環境評価手法をもとに、(財)日本生態系協会が日本において企業等の取り組みを評価できるよう改良を加えて新たに構築したもの。生物多様性の保全や回復に資する取り組みを客観的に定量評価し、ランク付けした認証を行うことで、効果的な取り組みを普及させることを目的としている。

当事業に参加組合員として参加する森ビルは、「Vertical Garden City(立体緑園都市)」のコンセプトのもと、「環境と緑」を街づくりにおけるミッションの1つに掲げ、緑豊かで地球環境にやさしい好環境都市の形成に貢献しています。開発を通じて生まれたオープンスペースや建物の屋上を積極的に緑化するだけでなく、質の高い緑の実現を目指しています。生まれた緑はヒートアイランド現象の緩和に貢献し、都市環境を改善することはもちろん、コミュニティ形成の場としても機能しています。

生物多様性への取り組みにいち早く参画

2008年5月には、国連生物多様性条約第9回締約国会議(COP9)の「ビジネスと生物多様性イニシアチブ(Business and Biodiversity Initiative)」に参加し、「優良企業の生物多様性リーダーシップ宣言」に署名いたしました。
今年10月に、愛知・名古屋で開催される「生物多様性条約第10回締約国会議(COP10)」を控え、生物多様性に対する関心はますます高まりを見せています。森ビルは、当事業が今後の都市緑化におけるリーディング・プロジェクトとなるよう努めるとともに、都市域におけるエコロジカル・ネットワークを構築し、生物多様性に配慮した街のモデルづくりを進めてまいります。

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敷地内の緑地や、街路樹をつなぐ、広域な緑のネットワーク