明日に挑む日本のアート
森美術館は、2010年3月20日(土)から7月4日(日)まで、「六本木クロッシング2010展:芸術は可能か?」を開催します。
「六本木クロッシング」は、東京の中心、六本木ヒルズ最上層にある森美術館が、日本のアートシーンの“明日”を見渡すべく、多様なジャンルのアーティストやクリエイターを紹介する展覧会として2004年にスタートしました。3年に一度開催され、毎回異なるキュレーターが、複数の視点により独創的な作品を選出。まさに六本木で、その時代を代表する刺激的な作品が「交差(クロッシング)」する、定点観測的な展覧会です。

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照屋勇賢《告知―森》2005年 紙袋、糊 18cm×8cm×28cm
ソロモン・R・グッゲンハイム美術館、ニューヨーク

3回目を迎える本展には、長いキャリアを持つアーティストから若手注目株まで20組が参加し、写真、彫刻、インスタレーション、映像、グラフィティ・アー ト、パフォーマンスなどを紹介します。
金融危機を背景に世界的に将来が見えにくくなっている今日、日本のアートの動向もまた不明瞭ですが、そんな 時代にこそ、アートの本質や可能性について考える良いチャンスでもあります。
バブル経済崩壊直後に、アーティスト・グループ、ダムタイプの古橋悌 二は、同時代的な問題の立て方が困難な1990年代のアートを考え、「芸術は可能か?」という問いを投げかけました。アートがアートの枠の中に留まらず、 社会に影響を与えることにより成立する可能性を問う。この簡潔でいて重要な問いは、社会・経済が再び不安定となった今日、また意義深いものです。
「六 本木クロッシング2010展」は「芸術は可能か?」という古くて新しい問いを出発点に、社会・経済、文化・倫理、環境など現代社会のなかのさまざまな問題 を描くアート、閉ざされた個人の内面世界を描くのではなく、他者との協働やジャンルの横断により、新しい可能性を見せるプロジェクト、私たちの日常がある ストリートを舞台とする創作活動、そして新しい美学の誕生を予感させる新世代の表現などを通して、シャープでエネルギーに溢れ、力強く明日に挑む日本の アートの「今」を紹介します。