森ビル株式会社は、「第3回キッズデザイン賞(主催:特定非営利法人キッズデザイン協議会、後援:経済産業省)」において、「コミュニケーションデザイン部門」および「商品デザイン部門(※)」の2部門で受賞いたしました。
※「商品デザイン部門」については、日本オーチス・エレベータ株式会社との共同受賞
自社施設を活用した「子ども体験学習プログラムの展開」
街づくりのミッションに掲げる「環境」「安全」「文化」をテーマに、自社施設を活用したビルの裏側探検などを通じて、未来を担う子どもたちが快適な都市生活について楽しみながら学ぶことを目的とした体験学習ツアー。
<審査委員コメント>
施設や建物を積極的に開放し、学習ツールとして活用する姿勢を評価した。今後、ミッションにさらなる独自性を持ち、中・長期の視点を持つプランニングを開発されるように期待したい。
(エレベーター扉、指引き込まれ防止装置)
エレベーターかご内で発生する、戸袋部分への手や指の引き込まれを防止する、主に小さなお子様を対象とした安全装置。当社と日本オーチス・エレベータ(株)が共同で開発を行い、六本木ヒルズ森タワーの展望台エレベータ全台に装備。
<審査委員コメント>
実際に起こったエレベータの指はさみ事故に学び、アナウンス、自動開閉などの安全対策を施すとともに、新商品には機械式タイプを標準装備した点を評価した。
キッズデザイン賞とは
「子どもたちの安全・安心に貢献するデザイン」「創造性と未来を拓くデザイン」そして「子どもたちを産み育てやすいデザイン」というキッズデザインの理念を実現し、普及するための顕彰制度です。 乳幼児用品や玩具などの子ども向けの製品・サービスに限らず、大人向けのものでありながら、子ども目線を持った、良質な商品や施設、プログラム、調査研究活動などを対象として幅広く募集するもので、受賞作品には「キッズデザインマーク」の使用が認められます。
コミュニケーションデザイン部門:自社施設を活用した「子ども体験学習プログラムの展開」
当プログラムは、当社が街づくりのミッションに掲げる「環境」「安全」「文化」をテーマに、アークヒルズや六本木ヒルズといった自社施設を活用して、未来を担う子供たちが、環境の大切さ、震災に対する心構えや対策、生活の質を高め、心の豊かさを育むためのアートの存在といった快適な都市生活について、楽しみながら学ぶことを目的した小学生向けの体験学習ツアーです。普段は入ることのできないビルの裏側を探検したり、五感を使って学べるような仕掛けを随所に盛り込むことで、特別感やわくわく感を持たせると同時に、書き込み式のオリジナルワークシートを用意するなど、積極的に学習に取り組むための工夫も行いました。
2008年には、小学生とその保護者を対象に、4種類計6回のツアーを開催し、合計165名(計79組)の方々にご参加いただいています。
【ツアーラインナップ】
5月4日の「みどりの日」に合わせ、子どもたちが都心の豊かな緑の中で、草花を観察し、花の蜜を吸うなど五感をつかって自然を楽しみながら都市環境について学んでもらうことを目的に、アークヒルズの平素非公開のガーデンを含めた複合庭園「アークガーデン」を見学。
8月1日の「水の日」に合わせ、子どもたちに水資源の大切さを楽しみながら学んでもらうことを目的とし、六本木ヒルズにおける水の有効活用の取り組みについて、施設の裏側である各設備を見学しながら説明。施設見学に加え、ペットボトルと砂・石3種類を使って、簡単なろ過装置作りのワークショップを実施。
「文化都心」をコンセプトとする六本木ヒルズを舞台に、子どもたちが実際に作品や展覧会を鑑賞しながら、街づくりにおけるアートの役割や、アートそのものについて楽しみながら学ぶことをも目的とし、施設内のパブリックアートや森美術館をスタッフと一緒に見学。見学後は、展覧会からインスピレーションを受けた親子のミニ創作体験も実施。
「逃げ出す街から逃げ込める街へ」を目指す六本木ヒルズの安全への取り組みについて伝えるとともに、震災に対する心構えや対策を考える機会となるよう、防災週間に先駆け、子どもたちが体験しながら防災について学べるよう企画。消火器操作訓練や煙ハウス、起震車といった体験を交えながら、防災対策について説明。
なお、今夏からはこれらの体験学習プログラムを、新たに「ヒルズ街育(まちいく)プロジェクト」として展開しています。創業から50年にわたり都市づくりを推進してきた当社が、その取り組みにより蓄積された豊富なノウハウや先進設備を社会に還元して、子どもたちだけでなく、地域住民の方々をはじめ、より多くの方々と共に学びながら快適な都市生活のあり方を考えていく機会として実施するプロジェクトの総称で、連休や長期休暇の期間に参加できる様々な体験企画を、さらに本格的に実施していく予定です。
商品デザイン部門:ハンドタッチセンサー(エレベーター扉、指引き込まれ防止装置)
エレベーター利用者の災害は、約半分が扉の開閉時に発生しており、そのさらに約半分が扉の隙間に指や手を引き込まれて発生しています。また、この引き込まれ事故の被害者の9割は、4歳以下の乳幼児と言われています。(平成19年度東京消防庁調べ)
「ハンドタッチセンサー」は、当社が、エレベーター・エスカレーターメーカーの日本オーチス株式会社と共同で、同様の事故発生を防止するために検討・開発した安全装置の名称です。人の手指がふれても痛みを感じないよう、ゴム製の部品を採用し、周囲の扉パネルと異なる色調にすることで、視認性も確保しました。実験、開発を経て、2005年11月より、六本木ヒルズ森タワーの展望台エレベーター全台に設置しています。

当社は、「安全・安心」を都市づくりにおけるミッションの1つに掲げ、「逃げ出す街から逃げ込める街へ」のコンセプトのもと、ハード、ソフトの両面にわたる様々な対策を講じています。今後も施設運営・管理者として、メーカー側とのさらなる情報共有を進め、お子様をはじめ、多くの方にとってより一層安全・安心な都市づくりを推進してまいります。