MAM プロジェクトは森美術館が世界各国の才能豊かな若手アーティストを応援するプロジェクト・シリーズです。

小泉明郎(1976 年生まれ)は映像作品を中心に制作する新進気鋭のアーティストです。初期作品は、70 年代のパフォーマンス・アートをも想起させる自作自演パフォーマンスの記録映像でした。しかし、近作の多くは、作家と登場人物の対話、あるいは物語を語る出演者に作家が演出を加える様子をビデオに収めたもので、題材も作品に登場する人物の実話に基づく幼少期の母親との思い出や、恋人と別れたトラウマなどを扱っています。時にコミカルに、また時に暴力的なまでに描かれるその物語は、激情や陶酔、怒りや悲しみなどを描写しながら、その裏に潜む人間心理の本質や感情について探求する試みで、「ユーモアと不条理のドラマ」とも呼ぶことができます。