六本木ヒルズは、2005年4月25日(月)開業2周年を迎えます。

 2003年のオープン以降、初年度は東京の新名所として認知いただき、2年目にあたる2004年度は目指す街づくりの基盤を固めてきました。住居・商業・サービス・文化・オフィスなどの複合機能が徒歩圏内に高密度に集積した六本木ヒルズは、その集積の中から新たな交流が生まれ、そして最先端の文化・情報が発信される街として着実に形成されつつあるといえます。また、時代をリードする人々が六本木ヒルズに集まり、六本木ヒルズにオフィスを構える最先端企業とそこで活躍するグローバルプレイヤーが、新しい発想や価値観で新たなビジネスモデルを生み出しています。街が情報交流の場、また社交の場として機能し、活力ある人々と企業の集積が新たな活力を生むという相乗効果も六本木ヒルズの特徴のひとつといえます。   また、海外からも多数の要人が来街されるなど、国外での認知も徐々に高まっています。国際的なイベントの誘致開催にも力を入れ、2005年4月に実施された「日本におけるドイツ年2005/2006」のオープニングイベントには、ホルスト・ケーラー ドイツ連邦大統領および小泉純一郎内閣総理大臣に出席いただきました。  3年目となる2005年度においては、様々なステージでコミュニティを育成、発展させていくとともに、テレビ、ラジオ、インターネットなどを含めた、六本木ヒルズ地区内の各施設との連携を深め、「アーテリジェントシティ」として更なる文化・情報発信を推進してまいります。


  2004年度の六本木ヒルズの年間来街者数は約4,400万人、一日平均では平日約11万人、休日約14万人を数え、商業施設の売上においても約420億円と、いずれも堅調な結果となりました。アカデミーヒルズや六本木ヒルズクラブなどの会員制施設では、30代や40代の若い世代、あるいは女性といった新しい層を取り込み、会員数を伸ばしています。グランド ハイアット 東京では、平均稼働率94.5%と高い水準を維持しています。オフィス、住宅(サービスアパートメントを含む)についても、オフィスは100%稼働、住宅もほぼ満室稼動と、いずれも好調です。


 2004年度の実績のもう一つの柱として、六本木ヒルズでは、街を一体的に運営するシステム「タウンマネジメント」を本格的に機能させてまいりました。タウンマネジメントでは、街全体を使った大型イベントの演出、タウンサービスの提供、「六本木ヒルズ自治会」をはじめとする地域コミュニティ活動の立ち上げ・運営等に加えて、外部の団体や企業とパートナーシップを結ぶ「街のメデイア化」に取り組んでいます。
  ※本リリースに関する数値データは、2004年4/1から2005年3/31までのものです



■2004年度の活動 ~タウンマネジメントの取り組み~


(1) 地域コミュニティ活動
 

2004年5月には、居住者、オフィステナント、店舗や施設の従業員が中心となった「六本木ヒルズ自治会」を組織し、業種を超えた交流活動の基盤となっています。自治会では、毎月1回の六本木エリアの清掃(計13回、延べ1,039名が参加)や震災訓練、街のお祭りへの参加、近隣町会との連携など、その活動範囲を広げています。
2005年4月にはガーデニングクラブも立ち上げ、六本木ヒルズで働く方、周辺に住む方など52名の会員で活動をスタートさせました。その他、田植えや太極拳、朝市(毎土曜)など、地域のコミュニティ活動を積極的に推進しています。


(2) 安全、安心、快適な街づくりに向けたサービスの向上
 

タウンサービスについても拡充を図ってまいりました。 ヒューマンサービスでは、街で働く従業員に対して教育研修を実施し、これまで計341クラス開催し、5,878名が受講いたしました。この研修制度は、各従業員が街の理念を共有することにより、街全体のサービス基準の引き上げを目的とするもので、グランド ハイアット 東京やVIRGIN TOHO CINEMAS六本木ヒルズ、ショップやレストランのスタッフなどの従業員も対象としています。
施設面では、案内看板やガイドブックの見直しなど情報サービスを拡充し、安全面でも、街区内の安全点検・指摘箇所の改修、365日看護師が常駐する救護室の開設等を実施しています。
また、弱者・障害者や親子に向けたサービスの整備も進めています。親子向けサービスについては、無料の「おやこ休憩室」や、「おやこトイレ」などを2005年4月に開設いたしました。街区内にある託児所(一時預かりも可能)や、VIRGIN TOHO CINEMAS 六本木ヒルズが赤ちゃんを持つお母さんを対象として実施している「ママズ クラブ シアター」、森美術館での展覧会ごとの子供を対象としたワークショップなど、親子で楽しめる企画、子供と安心して出かけられる環境が充実してまいりました。


(3) 大型イベントの実施
 

冬の風物詩として広く浸透した、青色LEDを使った六本木ヒルズのクリスマスのイルミネーションをはじめ、オリンピックの聖火リレーイベントや東京国際映画祭といった国際的なイベントを開催したほか、新曲や新商品の発表など大型の持込イベントも多数実施いたしました。六本木ヒルズアリーナを中心に、街の様々なスペースを使ったイベント展開スタイルの認知が広まるに従い、大型の外部イベント数も増えています。


(4) "街のメディア化"への取り組み
 

2004年度には、メディアとしての六本木ヒルズの認知・需要を高めてまいりました。"街のメディア化"の好例と言える企業との提携では、"六本木ヒルズは企業の自由な活動フィールドとして街を提供し、企業は六本木ヒルズの街づくりを支援する"ことを意図として、現在13社の企業とパートナーシップ(コラボレーションパートナー)を結んでいます。各企業の活動は様々で、例えば、NTTドコモでは若手音楽家を支援するミニコンサートを毎月開催し、アディダスジャパンは2004年オリンピックの時期にあわせて、世界記録にちなんだオブジェを街に設置し、来街者が楽しめるキャンペーンを実施しました。日本ヒューレッド・パッカードでは、企業向けセミナーをグランドハイアット東京とアカデミーヒルズで大規模に行った他、アリーナでのコンサートや街中を広告で埋め尽くす街ジャックなど来街者に向けたイベントを複合的に展開しました。
多くの人が集まる街は、消費者との直接的な接点を提供しますが、六本木ヒルズではタウンマネジメントによる街の一元的運営で、より大規模な展開を可能にするとともに、施設を組み合わせることで展開のバリエーションも提示することができる点を評価いただき、2005年においても、現在の13社とのパートナーシップは継続する予定です。



■2004年度の活動 ~各施設の活動内容について~

 六本木ヒルズの文化発信の拠点となる森アーツセンターは、森タワーの最上層に美術館、展望台、スクール、会員制クラブなどの施設を有し、それぞれが自主企画を展開発信するとともに、様々な人が参加し、知的・文化的交流の場として機能してまいりました。

◆森アーツセンター

(1) 森美術館/東京シティビュー
 

森美術館では、『MoMA ニューヨーク近代美術館』展をはじめとする合計10の特別展を開催。国内だけでなく海外の若手アーティストを紹介する『MAMプロジェクト』や、オールナイト開館、チャリティオークションなど、多彩な自主企画を実施いたしました。 現代アートのみならず、建築・デザイン・ファッションなど、様々なジャンルの企画展や、バイリンガル対応や世界でも類を見ない夜間開館で、世界中から幅広い層のお客様にご来館いただいております。
また、展覧会ごとに、シンポジウム、ワークショップなど、アーティストとキュレーターが展覧会場で参加者と語るツアー、お子さんを対象としたこどもツアー等の「パブリックプログラム」を多数実施し、好評いただいております。 東京シティビュー(展望台)と森美術館のチケットを共通としたことで、美術鑑賞を目的に森美術館にいらっしゃるお客様には「空の中の美術館」を楽しんでいただき、一方で、六本木ヒルズに観光にいらした方で、現代アートとの関わりの少ない方にも気軽に展覧会を楽しんでいただくなど、アートのファンの裾野を広げています。


(2) 森アーツセンターギャラリー
 

2004年7月からスタートした森アーツセンターギャラリーでは、「KITTY EX.」「ペ・ヨンジュン写真展2004『像 THE IMAGE VOL.ONE』」「Universal Symbol of the Brand ルイ・ヴィトン 時空を超える意匠の旅」展等の、時代を反映する、発信力のある展覧会を誘致しており、現在開催中の「ジョルジオ・アルマーニ展」も好評を博しています。


(3) アカデミーヒルズ
  ライブラリーやアーク都市塾(社会人向けスクール)において、キャリアアップや自己実現を目指す30代の若い世代や女性の会員が目立ってきています。

<ライブラリー会員概要>

●オフィスメンバー(24時間利用可能/オフィスメンバー専用スペース等)
・会員数: 約200名(男性9:女性1)
・年 齢: 20代(5%弱)、30代(20%強)、40代(40%弱)、50代(25%)、60代以上(10%弱)
・傾 向: 最近の傾向として、女性が増えている。平日利用が多く、ピークは平日の午後

●コミュニティメンバー(利用時間 8:00~23:00)
・会員数: 約2000名(男性1:女性1)
・年 齢: 20代(25%)、30代(40%強)、40代(20%)、50代(10%弱)、60代以上(5%弱)
・傾 向: 新規会員は半数が30歳代。 土日利用が多く、ピークは土日祝の夕方18時頃。平日ピークは会社帰りの20時頃。

<アーク都市塾>

1988年にスタートした「アーク都市塾」は、社会人向けのプロフェッショナル・スクールとして、常に時代を先取りしたカリキュラムで"学び"の場を提供してまいりました。
人気セミナー「アカデミーヒルズセミナー」では、2004年度においては、安藤忠雄氏、竹中平蔵氏、三木谷浩史氏(楽天株式会社代表取締役会長兼社長)、藤巻幸夫氏(福助株式会社代表取締役社長)、リシャール・コラス氏(シャネル株式会社代表取締役社長)など各界のトップリーダーをお招きし、多いときには700名もの参加者がありました。
※肩書きは講演当時のもの

<アーテリジェントスクール>
女性に人気の、1回3千円の1dayスクール。毎月130~140講座開催。
カラダ作り、ビジネス、メイクアップ等の人気講座に加えて、六本木ヒルズ商業施設とコラボレーションしたセミナーなども好評です。

・参加者数:毎月約2,500名(男性3:女性7)
・年 齢 :31.8歳(20代後半~30代前半) 働くビジネスウーマンが主

<フォーラム>
最新鋭のスペース、機能をお貸しするフォーラム(貸し会場)事業では、世界的IT企業のセミナーや新製品発表会などのご利用が多く、開業から2年間で4,000件、延べ70万人以上の方にご利用いただきました。


(4) 六本木ヒルズクラブ
 

六本木ヒルズクラブでは、現在約3,000名強(男性約2,400名:女性約600名)の会員を抱えています。従来の会員制クラブの概念を超えて、30代、40代が全体の約4割を占めるなど比較的若い世代の方が多いことが特徴です。クラブが主催するイベント(月5~6回)も毎回ほぼ満席で、こうしたイベントを通じた出会いなどから、年齢、性別を問わず、異業種間においての交流が盛んとなり『クラブ内クラブ』が増えつつあります。


グランド ハイアット 東京
 

グランド ハイアット 東京では、知名度の向上や、予約システムの定着化、安定した法人予約等の要因により、2004年度の平均稼働率94.5%、平均客室単価36,564円と好調な水準を維持しています。
開業当初は、SARSの影響などで海外からのゲスト数が予想を下回りましたが、六本木ヒルズのオープニング効果 で国内の観光客数が非常に多く、好調な稼働でスタートしました。
その後、ゲスト層は海外からが6割~7割を占めるようになり、当初の予測と一致してまいりました。これは、平日のゲストの多くが、海外からのビジネス客層で占められ、逆に週末は婚礼などの国内ゲストが多いことによるバランスであり、現在も客層のバランス、平日と週末の客層の変動については大きな変化はなく、好調な稼働とあわせてADR(平均室料)も保っています。


VIRGIN TOHO CINEMAS 六本木ヒルズ
 

VIRGIN TOHO CINEMAS 六本木ヒルズでは、多数のジャパンプレミアを実施し、来日セレブが、舞台挨拶等で日本のファンとの交流を楽しみました。また、六本木発信作品である「DEEP BLUE」が、単館系作品としては歴代5位の記録的大ヒットとなりました。
2003年から始めた赤ちゃんを持つお母さんを対象とした「ママズ クラブ シアター」は、リピーターも増えつづける大人気の企画となり、毎週木曜日に継続して実施し、新規顧客開拓につながっています。また、PCや携帯から気軽にチケットを購入することができるインターネットチケット販売が定着しつつあり、最大で6割~7割のお客様がインターネットでのチケット購入するなど、顧客の定着化が見られます。



<ジャパンプレミア>
2004年 「ポーラーエクスプレス」 トム・ハンクス
  「アイ、ロボット」 ウィル・スミス
  「Lovers」 金城 武
  「DAT」 デニス・クエイド、ジェイク・ギレンホール他
2005年 「オーシャンズ12」 ジョージ・クルーニー、ブラッドピット、マット・デイモン
「キングダム・オブ・ヘブン」 オーランド・ブルーム、リドリー・スコット監督

商業施設
 

2004年度は開業効果も一段落したことや、また、猛暑、暖冬など天候不順が年間を通して続くなど、商業施設としてはマイナス要因が重なりましたが、近隣住民や六本木ヒルズ内の就業者を中心にリピーターが定着した結果、売上や来街者数も堅調に推移し、売上約420億円で終了いたしました。
客層としては、依然として海外および全国からの集客も多い一方で、都内城南地区に在住のお客様がリピーターとして定着してきております。コミュニティパスポート会員の総数は約30万人に達しており、近隣を中心としたお客様の定着化、顧客化も進んでいるといえます。