森ビル株式会社

「人に伝えること」に挑戦するアーティストが仕掛ける一夜(第4回)

2013年01月25日

今月のゲスト:アーティスト 日比野克彦さん

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一晩中、アートにまつわる様々な催しが行われ、多数のアーティストや一般市民が参加する日本最大級のアートの饗宴「六本木アートナイト」。開催5回目を迎える今年、アーティスティックディレクターに日比野克彦さんが就任しました。80年代から領域横断的な活動が注目を浴びてきた日比野さんが、今回のイベントにかける意気込みとは。アートを通して「人に伝えること」に挑戦し続けてきた日比野さんならではの思いに、「六本木アートナイト2013」への期待が一層高まります。

東北と繋がる「六本木アートナイト2013」
アートと時間のトリップ感を体感してほしい

1枚の紙切れなのに、そこに描かれている線や色があるからゆえに、自分のなかで衝撃が走る。1つの塊なのに、そこに施されている造形によって、違う時間帯に自分を誘っていってくれることがある。アートの一番の魅力は、価値観が変わっていく、価値を変換させるということだと思います。
時間にも似たようなことがありますよね。必ず日が暮れて夜になって次の日がまたやってくる。「今日が明日になる」その間の夜という時間は、何かしている時はあっという間だし、眠れない夜はすごく長く感じる時もあるし、不思議なトリップ感を感じることがあります。
「六本木アートナイト 2013」のテーマは、『今日が明日になるのを目撃せよ。』みんなが夢を語り合って、時間があっちに行ったりこっちに行ったりしているような、そんな時間がアートナイト。朝5時何分かには、気象庁も予告するように夜明けがやってくるのだけれど、その時間が移ろいでいく、価値が変わっていく瞬間を目撃したり体験したりしてほしいですね。

陸前高田の炭で灯台に灯りが灯る

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「六本木アートナイト2013」のメッセージのひとつとして、今年も東日本との繋がりという点をとても重要に考えています。アートナイトの会場には、灯台を作ります。その灯りのもとは、みんなで東北に行ってとってきたもの。陸前高田の人と、立ち枯れした木を切って薪にして、皮をむいて炭焼き小屋にいれて炭にしました。それを六本木に持ってきて、灯台に灯りをともす。
「六本木にいるけれど、東北のことを思う。そして今日が明日になっていく」ということを、「六本木アートナイト2013」の大きなメッセージとして体感してもらう予定です。

『六本木アートナイト2013』

日時:2013年3月23日(土)10:00 ~ 24日(日)18:00
コアタイム:日没(17:55)から日の出(5:39)まで
場所:六本木ヒルズ、森美術館、東京ミッドタウン、サントリー美術館、21_21 DESIGN SIGHT、国立新美術館、六本木商店街、その他六本木地区の協力施設や公共スペース

プロフール

アーティスト。1958年、岐阜市生まれ。東京藝術大学大学院修了。1980年代に領域横断的、時代を映す作風で注目される。作品制作の他、身体を媒体に表現し、自己の可能性を追求し続ける。各地域の参加者と共同制作を行い社会で芸術が機能する仕組みを創出。ぎふ清流国体•ぎふ清流大会総合プロデューサーを務める。日本サッカー協会理事。東京藝術大学美術学部先端藝術表現科教授。