森ビル株式会社

天才美術家・会田誠、その天才たる所以を知る(第4回)

2012年12月21日

今月のゲスト:美術家 会田誠さん

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森美術館で、2012年11月17日〜2013年3月31日まで開催されている『会田誠展:天才でごめんなさい』。会田誠の個展が美術館で開催されるのは今回が初めて。その上、展示作品数は、過去の作品だけでなく新作も含め、100点を上回ります。「お化け屋敷を周るように、気楽に入って、ギョッとして帰ってほしい」と話す会田さん。実は現在展示中の新作は、会期が始まってもなお未完。美術館閉館後の徹夜での制作活動に奔走している最中だそうです。どのような思いを込められて新作が仕上げられていくのか、貴重な機会にお話しを伺うことができました。

気軽な気持ちで訪れて、ギョッとしてほしい
カップルは展覧会を自分たちの愛の試金石に

『会田誠展:天才でごめんなさい』には、ぜひ気楽な気持ちで来てほしいですね。僕は特に難しい作品をつくっているつもりはないので、「立派なお芸術が、そこにある」と気負うことはありません。
展望台の<東京シティビュー>と間違えて美術館に入ってしまう人もいそうですよね。実は、それも僕が今回展覧会を森美術館で行うにあたって楽しみなところ。間違って来てしまった人にギョッとしてもらえたらいいなと思います。反面、美術館側にクレームがいくのは申し訳ないとも思っているのですが(笑)。カップルにとっては良い試金石になるのではないでしょうか。僕の展覧会ごときで何かいざこざが起きるようなカップルは、早々に別れた方が良いと思います。自分たちの愛を確かめるために展覧会を使っていただいても結構です。

「18禁部屋」はどうして生まれたのか

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会田 誠《滝の絵》2007-10年
国立国際美術館蔵、大阪
Courtesy: Mizuma Art Gallery

今回の展覧会では過激な作品を置いた通称「18禁部屋」を設けています。展覧会の準備のかなり早い段階でキュレーターから、そういった類の作品を出すために「18禁部屋」を設けるか、あるいはまったくそういった作品を出さないか、という提案をされました。
恐らく、僕に個展のオファーをする時点で既に「18禁部屋」を作る覚悟を決められていたのではないかと思います。美術館が僕の展覧会をやろうとすると、まずはその問題にぶつかるわけです。「18禁部屋」にあるような作品は、日本でも海外でも美術館では展示ができないことが多いです。ギャラリーはOKでも、美術館はNG。僕自身もそれをわかって作っています。

『会田誠展:天才でごめんなさい』

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「会田誠展:天才でごめんなさい」展示風景
撮影:渡邉 修 Courtesy: Mizuma Art Gallery

会期:2012年11月17日(土)〜2013年3月31日(日)
会場:森美術館(六本木ヒルズ森タワー53階)
主催:森美術館、企画:片岡真実(森美術館チーフ・キュレーター)
協力:ミヅマアートギャラリー、シャンパーニュ ニコラ・フィアット、ボンベイ・サファイア

プロフール

1965年新潟県生まれ。1991年東京藝術大学大学院美術研究科修了。美少女、戦争画、サラリーマンなど、社会や歴史、現代と近代以前、西洋と東洋の境界を自由に往来し、奇想天外な対比や痛烈な批評性を提示する作風で、幅広い世代から圧倒的な支持を得ている。国内外の展覧会に多数参加。
主な展覧会に「六本木クロッシング:日本美術の新しい展望2004」(森美術館、2004年)、「ビリーフ」(シンガポールビエンナーレ、2006年)、「アートで候 会田誠・山口晃展」(上野の森美術館、2007年)、「バイバイキティ!!! 天国と地獄の狭間で―日本現代アートの今―」(ジャパン・ソサエティ、ニューヨーク、2011年)、「ベスト・タイム、ワースト・タイム 現代美術の終末と再生」(第1回キエフ国際現代美術ビエンナーレ、ウクライナ、2012年)など。また昭和40年生まれのアーティストで結成された「昭和40年会」、美術家の妻・岡田裕子主宰のオルタナティブ人形劇団「劇団☆死期」、小説やマンガの執筆など活動は多岐にわたる。