森ビル株式会社

サントリーホールが見つめた、東京と音楽の25年とその未来(第4回)

2011年12月22日

今月のゲスト:チェリスト 堤 剛さん

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東京初のコンサート専用ホールとして誕生したのが1986年。今年、サントリーホールは25周年を迎えました。
アークヒルズの一画で地元の音楽ファンと共に育ち、着実に世界へその音色と名前を響かせてきたこのホールは、今では音楽ファンから「世界で5本の指に入るホール」とも称されるまでに成長しています。
ホール設立当初から計画に携わり、2007年からは館長を務めている堤 剛さん。チェリストとして世界で演奏活動を行い、2010年には演奏活動60周年を迎えました。音楽と共に歩んできた堤さんに、サントリーホールの魅力と、見据えているホールの未来についてのお話しを伺いました。

サントリーホール25周年と、未来の話
オープニングシリーズで得た素晴らしい経験

サントリーホールのオープニングを記念したコンサートには、世界中から素晴らしい音楽家がたくさん集まって、素晴らしい演奏をしてくださいました。
なかでも、私がチェリストとしてバイオリンのアイザック・スターン先生、同じくバイオリニストのハイメ・ラレードさんやチェリストのヨーヨー・マさんたちと共に室内楽を演奏できたことは、私にとって本当に素晴らしい体験でした。練習の時にスターン先生が時々サジェスチョンをしてくださったのですが、その一言一言が千金の重みとなって心にずっと残っています。

世界へと交流の場を広げていきたい

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2011年チェンバーミュージック・ガーデン「フェスティバル・ソロイスツ」公演(サントリーホール提供)

サントリーホールの根底には、地域の皆様と一緒に育っていきたいという想いがあります。それと同時にこれからは、もっともっと外にも広げていきたいと思っているんです。
例えば、アジアの国々からスタートして、アメリカの〈カーネギーホール〉やウィーンの〈ムジークフェライン〉へ交流の場を広げていく。
皆で手を携えて一緒に何かをやっていくことは、究極的には世界平和に貢献することになるんじゃないかなと思っています。

プロフール

チェリスト。東京都生まれ。幼少から父にチェロの手ほどきを受けて育つ。1963年、ミュンヘン国際コンクールで第2位、ブダペストでのカザルス国際コンクールで第1位入賞を果たし、以後国内外での本格的な活動を開始。世界各地で定期的にリサイタルを行い、 “堤剛プロデュース”と題するリサイタルシリーズも毎年開催。2001年より霧島国際音楽祭音楽監督。1988年秋より2006年春までインディアナ大学の教授を務め、2004年4月より桐朋学園大学学長の任にある。2007年9月、サントリーホール館長に就任。2009年秋の紫綬褒章を受章。演奏活動60周年を迎えた2010年には、記念盤「アンコール」(マイスターミュージック)がリリースされた。日本芸術院会員。