森ビル株式会社

本と愉しくやっていくために、今話しておきたいこと(第2回)

2011年11月11日

今月のゲスト:ブックディレクター 幅 允孝さん

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ブックディレクターの幅 允孝さんが、本にまつわるあらゆることを仕事にする会社・BACHを立ち上げてから6年が経ち、その間電子書籍などの登場によって本を取り巻く環境は大きく変化してきました。11月23日にアカデミーヒルズで行われる『六本木アートカレッジ』で、「本とは愉しくやっていきたい」というトークレクチャーを開催する幅さん。
ヒルズキャストでは、トークレクチャーを控えた幅さんに一足先にお話しを伺いました。これから本と愉しく付き合っていくにはどうしたらいいのか。「本とは愉しくやっていきたい」というテーマにたどり着くまでに何を考えたのか。そのお話には、情報に溢れる都市で楽しく暮らしていくためのヒントが詰まっています。

紙の本とどうやって付き合っていけばいいのか
21個の講座を音楽フェスのように楽しむ

11月23日の「六本木アートカレッジ」で、僕がお話しをさせていただく回には「本とは愉しくやっていきたい」というタイトルを付けました。電子書籍が出てきて、これまで僕らが「本」と呼んでいたものの形がどんどん変わってきていますよね。
僕は本屋に近い仕事をしながら、「本が人の生活に実際的にもたらすことができるのは何なのか」ということを日々考えているので、それをお話しさせていただこうと思っています。今は、「ネットは見ても、新聞も読まないテレビも見ない」という人もいれば、「テレビは見るけれど深夜枠しか見ない」という人まで、情報の仕入れ方・情報の摂取の仕方が多種多様ですよね。
情報の仕入れ先として古株である紙の本が、これからどういう存在であり得るのかということもお話ししたいです。11月23日は、音楽フェスのように楽しめそうですね。21個もある講座がいくつか重なっているから、「この時間はこっちに行こう、次はあっちに行こう」と迷うのも面白そうだなと思います。

情報は、摂取の仕方次第でもっと繋がっていく

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HILLACAST収録風景

僕は「ワカサギ釣り的な世の中」と言っているんですけれど、今は何か欲しい情報があったら、そこに穴開けてスポンと糸を垂らして、ピュッとワカサギを釣り上げるみたいにして情報を釣り上げて、おしまい。ずっとそれだけだと穴同士は関係を結ばないんだけれど、その氷の下の海が繋がっているイメージを持っていると日々楽しいと思うんです。
自分が今まで無視して、スルーしてきたものでも楽しいことはたくさんあるかもしれない、と思ってもらえることが、検索型じゃない小売の本屋さんとしての可能性でもあると思います。その人が、知らないものを「楽しんでもいいな」と思えるような環境をどうやって作っていくか、ということに興味があるんです。

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プロフール

BACH(バッハ)代表。ブックディレクター。人と本がもうすこし上手く出会えるよう、様々な場所で本の提案をしている。羽田空港「Tokyo's Tokyo」や東北大学工学部「book+cafeBOOOK」などのショップでの選書を始め、千里リハビリテーション病院のライブラリー制作など、その活動範囲は本の居場所と共に多岐にわたる。著作に『幅書店の88冊』(マガジンハウス)がある。