森ビル株式会社

「ロック」の看板を下げ、ふるさと・福島に思うこと(第4回)

2011年08月26日

今月のゲスト:クリエイティブディレクター 箭内道彦さん

1108_img.jpg

「風とロック」を解散し、2011年7月に新会社を立ち上げたクリエイティブディレクター、箭内道彦さん。福島県出身の箭内さんは、震災からこれまで、福島を支える様々な活動を続けてきました。自身が参加するバンド「猪苗代湖ズ」では全収益を福島県災害対策本部に寄付する『I love you & I need you ふくしま』という曲をリリース。9月14日〜19日には、福島県の6カ所を巡る野外イベント「LIVE福島 風とロックSUPER野馬追」を計画中です。
「明日死んでも構わない」というロックンロールの精神を貫いてきた箭内さんが、会社の看板から「ロック」を下げ、「長生きしたくなった」というまでには、どんな心境があり、今何を考えているのか。新会社「すき」「あいたい」「ヤバい」設立に込められた想いまで、お話を伺いました。

第4回 ロックンロールじゃない自分と出会って
震災後、自分のなかで地殻変動が起きた

震災の直後に、福島の人を元気づけるために僕は何を約束したら良いんだろうということを考えました。そこで、自分は「今だけじゃなくて、これからずっと支えます」ということを福島の人に約束しようと決めたんです。
そのために必要なのは、長生きだと思って、それまで「明日死んでも構わない」と思ってロックンロールに憧れて生きてきた僕が、変わりました。47歳独身で結婚歴もなくて、絶対結婚したくないと思っていたのに、今はちょっと「してみたいな」という気持ちになってる。僕にとっては地殻変動のような変化です。「結婚しても良いと思ってる」「ふるさとが好き」って、全然ロックじゃないですよね(笑)。

これからの、若い人の励まし方

1108_4_1.jpg

先日、雑誌のインタビューで20代の頃の自分について語らなくちゃいけないことあって、嫌だったんですよ。「昔の話、別にしたくない」って、すごく盛り下がってしまった。
若い人を励まさなくちゃいけない、同じくらい辛い若い人を何とかしなくちゃとは思うけれど、それを「俺、こんなだめな若者だったよ」と言って励ますんじゃなくて、これからは「『こんな大人だったらなってもいい』と思ってくれたらうれしいな」という励まし方に変わっていくんじゃないでしょうか。

プロフール

1964年、福島県生まれ。東京藝術大学美術学部デザイン科卒業。博報堂を経て、2003年「風とロック」を設立。1996年より、タワーレコード「NO MUSIC, NO LIFE.」ポスターの制作を手がける。最近制作のTVCMには、リクルート「ゼクシィ」、東京メトロ「TOKYO HEART」「TOKYO WONDERGROUND」、サントリー「ほろよい」、また、怒髪天 増子直純氏出演の桃屋「辛そうで辛くない少し辛いラー油」、BRAHMANの楽曲起用が話題を呼んだCHIFURE「SAVE WOMAN」ほか。2011年6月末で、「風とロック」「ロックンロール食堂」を解散。7月より、新会社「すき」「あいたい」「ヤバい」を新たに設立した。