森ビル株式会社

「ロック」の看板を下げ、ふるさと・福島に思うこと(第3回)

2011年08月19日

今月のゲスト:クリエイティブディレクター 箭内道彦さん

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「風とロック」を解散し、2011年7月に新会社を立ち上げたクリエイティブディレクター、箭内道彦さん。福島県出身の箭内さんは、震災からこれまで、福島を支える様々な活動を続けてきました。自身が参加するバンド「猪苗代湖ズ」では全収益を福島県災害対策本部に寄付する『I love you & I need you ふくしま』という曲をリリース。9月14日〜19日には、福島県の6カ所を巡る野外イベント「LIVE福島 風とロックSUPER野馬追」を計画中です。
「明日死んでも構わない」というロックンロールの精神を貫いてきた箭内さんが、会社の看板から「ロック」を下げ、「長生きしたくなった」というまでには、どんな心境があり、今何を考えているのか。新会社「すき」「あいたい」「ヤバい」設立に込められた想いまで、お話を伺いました。

第3回 永遠に、広告を本拠地に置いて
自分の活動の全てが広告に繋がっている

僕がやっていることは、全て広告だと思っているんです。福島のことを言うのも広告活動だし、テレビ番組のMCとしてゲストに話を聞くのも、そのゲストの魅力を伝えるという意味では広告。今は、広告に対する純度が高まり続けている状態です。
だから、「福島を支援する専門家」としてみんなに認識されるようになることには違和感があって、広告の世界のことも何とかしたいとずっと思っています。広告をやっている同世代はもちろん、上の世代の人、下の世代の人まで、僕の広告の作り方や広告の世界での活動を見て「チェッ」と思ってほしい。「あんなに楽しくやってやがる」「あのやり方だったら、俺の方がもっとこういう風にできる」って思ってもらって、広告の世界がどんどん盛り上がっていってほしいと思っています。

広告の世界で身に付いたこと

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恐縮ですけれど、「箭内さんって、糸井重里さんみたいな感じ?」と言われることがあります。糸井さんと僕が決定的に違うのは、僕が永遠に本拠地を広告に置いていきたいと思っているところです。
福島を支える活動に関しても、「県知事選挙にでも出るつもりじゃないの?」と言われることがあるんですけれど、それは全くない。やり始めたら、「もっとこうしなきゃ」ということがどんどん見えてくる。反論や批判がくると、それに対してもっと別のアクションをしたくなる。今まで、広告の世界でキャンペーンを構築したり、戦略を立てたり、コミュニケーションを考えてきた体質が関係しているかもしれません。何か、止まらなくなってきています。

プロフール

1964年、福島県生まれ。東京藝術大学美術学部デザイン科卒業。博報堂を経て、2003年「風とロック」を設立。1996年より、タワーレコード「NO MUSIC, NO LIFE.」ポスターの制作を手がける。最近制作のTVCMには、リクルート「ゼクシィ」、東京メトロ「TOKYO HEART」「TOKYO WONDERGROUND」、サントリー「ほろよい」、また、怒髪天 増子直純氏出演の桃屋「辛そうで辛くない少し辛いラー油」、BRAHMANの楽曲起用が話題を呼んだCHIFURE「SAVE WOMAN」ほか。2011年6月末で、「風とロック」「ロックンロール食堂」を解散。7月より、新会社「すき」「あいたい」「ヤバい」を新たに設立した。