森ビル株式会社

伝説のボクサーが、今子供達に伝えたいこと(第4回)

2011年07月22日

今月のゲスト:ファイティング原田ジム会長/日本プロボクシング協会終身名誉会長 ファイティング原田さん

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「最も偉大な日本人ボクサー」として、ボクシングの歴史に名を刻むファイティング原田さん。日本人初の2階級制覇を達成し、アメリカのボクシング殿堂に選ばれた唯一の日本人です。現在は、自らの名前を冠した「ファイティング原田ジム」を主宰し、後進の指導に当たっています。
四半世紀、ボクシング一筋。自身の現役時代からは、練習の方法も選手のモチベーションも変わりました。それでも変わらないボクシングの素晴らしさに魅せられて、日々子供達と向き合う原田さんにお話を伺いました。

第4回 世界チャンピオンになるということ
最後まで自分自身に勝つ

チャンピオンになるためには、誰よりも自分自身に勝たなければいけません。例えば、友人に「一杯飲みに行こう、面白いぞ」と誘われるとします。その人にとってそれはとても面白いかもしれない。でも僕らチャンピオンを目指す人間にとっては違います。
最後まで自分自身に勝てる人間しか、チャンピオンにはなれません。チャンピオンになって変わってしまう人もいますが、僕は自分で自分を変えたくないと思っています。世界チャンピオンになって偉そうにしているやつを見ると、「お前、このやろう」と思いますよ。「こんにちは」「おはようございます」と、挨拶をきちんとして、普段は笑顔でいる。僕はそれをずっと忘れないようにしています。

ファイトマネーよりも大切なこと

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僕らは「金はあとからついてくるんだ」と教わってきました。でも今の若い人達は意識が変わってきていて、試合の前には「今度の試合、ファイトマネーいくらですか?」と聞いてきますね。僕は「そんなこと聞くのは、10年20年早いぞ」と答えるんですけれど、その言葉の意味にすぐには気付いていないかもしれません。毎回毎回のファイトマネーのためじゃなく、勝ち進んでいってチャンピオンになれば金も入ってきますから、それまで頑張ってほしいと思っているんです。

プロフール

1943年、東京都生まれ。1960年、笹崎ジムからプロデビュー。1962年、史上最年少(19歳)で世界フライ級王者となる。1965年、世界バンダム級王者となり、日本史上初の2階級制覇を達成。以後4度防衛する。1989年、全日本プロボクシング協会会長に就任。翌年平成2年には、日本人で初めて米国殿堂入りを果たした。1970年1月、ファメションとの再戦にKO負けした試合を最後に引退。62戦55勝(23KO)7敗。日本人には一度も負けていない。現ファイティング原田ジム会長ならびに日本プロボクシング協会終身名誉会長。