森ビル株式会社

人を、社会を幸せにする、笑顔のデザイン(第4回)

2011年06月24日

今月のゲスト:アートディレクター 水谷孝次さん

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人々の「笑顔」を伝えるデザインを手掛ける、アートディレクターの水谷孝次さん。大手企業の広告制作を手掛けていた水谷さんは、99年に<Merry Project>を開始。それから10年以上、「笑顔は世界共通のコミュニケーション」を合言葉に世界中で人々の笑顔の写真とメッセージを集め、傘やポスターにして各地に拡散する活動を続けてきました。震災が起きてからは、「今こそ笑顔の力が必要だ」という想いを胸に被災地を訪れ、希望を持って強く生きる人々の笑顔を集める活動を行っています。
水谷さんが信じる「Merry」(楽しい・幸せ・夢いっぱい)な笑顔の力が、これからどのように街に広がっていくのか、お話を伺いました。

第4回 愛を込めて笑顔をデザインし続ける
気持ちのない仕事に対して怒りがこみ上がる

『Merry Project』を始める前、広告を作っていた頃はマネーがいっぱいでした。ラブは少ししかなかった。今は逆で、マネーは全くと言っていいほどないけれど、ラブはいっぱいあります。
マネーとラブのバランスというのはとても難しいのですが、今の僕は人生で一番Merryな時期だと思っています。事務所のメンバーにもいつも言っているのですが、やはり気持ちのない仕事をしている人はすぐにわかる。下手な人に対して怒ることは絶対にないのですが、気持ちが薄い、愛のない人に対しては激怒します。「もっと愛を込めて、気持ちを込めて仕事しろよ」って怒りがこみ上げる、僕が一番嫌いなことですね。

世界の抱える問題を笑顔で解決したい

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僕は「継続は力なり」と思っています。具体的には、今やっている活動をあと30年は続けたい。人に「続けて」と言われても、続かないものです。イベントをやっていると必ず大きな壁が目の前に立ちはだかって逃げ出したい時もあるけれど、それでもやり遂げなければいけないと思うのは、人が好きで社会が好きで、この活動をしている時が自分にとって一番「Merry」だからです。
僕はこれからの東京も日本も、笑顔いっぱいの愛に満ちた街・国にしていきたい。地球規模で考えた世界の抱えている問題を、「笑顔のデザイン」で解決していくのが僕の夢です。震災の後に被災地で活動していることもその夢に繋がっています。

プロフール

アートディレクター。1951年、名古屋市生まれ。日本デザインセンターを経て、83年水谷事務所設立。80年代、数々の大手企業の広告を手がけ、 1982年 東京ADC賞をはじめ、JADGA新人賞、N.Y.ADC国際賞・金賞・銀賞、ワルシャワ国際ポスタービエンナーレ展金賞・銅賞・特別賞、ブルーノ国際グラフィックデザイントリエンナーレ銅賞・特別賞、コロラド国際ポスター招待展最高賞、世界ポスタートリエンナーレトヤマ銅賞ほか、国内外のグラフィックデザイン界において数々の賞を受賞。99年より「MERRY PROJECT」を開始。05年愛知万博「愛・地球広場」、08年北京オリンピック、10年上海万博などに招聘。現在、東日本大震災支援プロジェクト「MERRY SMILE ACTION」を展開中。「みんなの笑顔は未来への希望」というメッセージをコンセプトに、被災地に笑顔を増やすため、東北地方で希望を持って生きる人々の笑顔を取材している。これまで世界26カ国で撮影した30,000人以上の笑顔はウェブサイトで閲覧することができる。近著に『デザインは奇跡を起こす』『東日本大震災を乗り越えて・ともに生きる』(PHP研究所)。