森ビル株式会社

人を、社会を幸せにする、笑顔のデザイン(第3回)

2011年06月17日

今月のゲスト:アートディレクター 水谷孝次さん

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人々の「笑顔」を伝えるデザインを手掛ける、アートディレクターの水谷孝次さん。大手企業の広告制作を手掛けていた水谷さんは、99年に<Merry Project>を開始。それから10年以上、「笑顔は世界共通のコミュニケーション」を合言葉に世界中で人々の笑顔の写真とメッセージを集め、傘やポスターにして各地に拡散する活動を続けてきました。震災が起きてからは、「今こそ笑顔の力が必要だ」という想いを胸に被災地を訪れ、希望を持って強く生きる人々の笑顔を集める活動を行っています。
水谷さんが信じる「Merry」(楽しい・幸せ・夢いっぱい)な笑顔の力が、これからどのように街に広がっていくのか、お話を伺いました。

第3回 アカデミックでエンターテイメントな六本木が好き
六本木ヒルズのハードルについていけるように

ラフォーレミュージアムでの『Merry at Laforet 2000』の後も、六本木ヒルズを中心に何度か大きい展覧会をやらせていただきました。僕は六本木ヒルズが好きなんですよ。アカデミックであり、なおかつエンターテイメントな場所である六本木ヒルズは、Merryなアートやデザインに相応しい場所だと思っています。
入口にはルイーズ・ブルジョワの蜘蛛があって、森美術館を中心に街中いたるところにアートがあって、僕にとっては最高のMerryな場所なんです。文化の拠点であり知性や品性の高い場所ですから、実はなかなかイベントを開催するハードルも高い。本当に良い物をきちんとプレゼンテーションしないと実現できない場所なんです。だから、これからも六本木ヒルズと何か一緒にできるように頑張っていきたいですね。

現代アートは、感性を研ぎ澄ませるシャワー

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普段あまりオフの時間はないのですが、オフの時間ができたとしても六本木周辺にいることが多いですね。仕事以外では、美術館に行くことが僕の唯一の楽しみ。例えば、美術館でマルセル・デュシャンの『泉』を見ることで疲れが取れるという、少し変わった人間なんです。
現代アートというものは、人々に良いシャワーを与えてくれるものだと思っています。感性が研ぎ澄まされて、現代アートのシャワーを浴びて、また感性が研ぎ澄まされる、という良い循環を生むものだと思っています。だから上層階にある森美術館から現代アートのシャワーが下に降りてくる六本木ヒルズというのは、とても良いコンセプトでできているなと思っているんです。

プロフール

アートディレクター。1951年、名古屋市生まれ。日本デザインセンターを経て、83年水谷事務所設立。80年代、数々の大手企業の広告を手がけ、 1982年 東京ADC賞をはじめ、JADGA新人賞、N.Y.ADC国際賞・金賞・銀賞、ワルシャワ国際ポスタービエンナーレ展金賞・銅賞・特別賞、ブルーノ国際グラフィックデザイントリエンナーレ銅賞・特別賞、コロラド国際ポスター招待展最高賞、世界ポスタートリエンナーレトヤマ銅賞ほか、国内外のグラフィックデザイン界において数々の賞を受賞。99年より「MERRY PROJECT」を開始。05年愛知万博「愛・地球広場」、08年北京オリンピック、10年上海万博などに招聘。現在、東日本大震災支援プロジェクト「MERRY SMILE ACTION」を展開中。「みんなの笑顔は未来への希望」というメッセージをコンセプトに、被災地に笑顔を増やすため、東北地方で希望を持って生きる人々の笑顔を取材している。これまで世界26カ国で撮影した30,000人以上の笑顔はウェブサイトで閲覧することができる。近著に『デザインは奇跡を起こす』『東日本大震災を乗り越えて・ともに生きる』(PHP研究所)。