森ビル株式会社

東北が大好きなオラが、今できること(第2回)

2011年05月06日

今月のゲスト:山形弁研究家 ダニエル・カールさん

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東北に惚れ込んだダニエル・カールさんが、山形弁研究家、マルチタレントとして日本のテレビで活躍するようになって十数年。東北関東大震災が起きてからは、個人で様々なかたちの被災地支援を行っているそうです。震災直後から続けているのはツイッタ―での情報発信。道路が復活してから個人で行っている物資支援。現地では地元の人々の声を聞いて物資のニーズを探り、日本に住んでいる外国人の友人の声を聞いては、正しい情報発信の大切さを実感していると言います。在日外国人として、東北を愛するものとして、今何ができるのか日々考えながら行動を続けるダニエル・カールさんにお話を聞きました。

第2回 自分だからこそできることを考えて
すぐにでも駆けつけようとした自分を引きとめた言葉

東日本大震災が起きてすぐ、「ヒッチハイクしてでも、スコップを持って東北さ向かうか!」という気持ちになっていたのですが、女房にストップをかけられました。「今すぐ被災地に向かっても、迷惑になってしまうかもしれない。ダニエルだからこそできることが他に何かあるはずだ」と言われて冷静さを取り戻し、何ができるかについて考えたんです。
災害のスケールの大きさに無力感も感じましたが、もともと英語の先生や翻訳家である自分だからこそできることをひとつ見つけました。「地震情報を英語に翻訳してツイッターで配信する」というアイデアを思いついたんです。そしてツイッタ―を使って、1日に200~250回のニュースを一つ一つ英訳して配信しました。この10年間で、東北地方に住む外国人の数もかなり増えています。ライフラインについてのニュースを始めとした東北6県の様々な情報を集めました。

今はふざけている場合ではないと皆が気付いた

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今回の災害でツイッタ―やユーチューブ、フェイスブックやチャットルームなどのニューメディアが、情報を配信にすごく役立ちましたね。阪神大震災の時にも、同じように情報が必要とされたと思うのですが、その時はまだそのようなツールがなかった。情報を得られることでパニック状態を抑えるという意味でも、今回は大きく役立ったと言えるのではないでしょうか。
ツイッタ―で流れてくる情報には正しいものだけでなく誤報もたくさんありますが、僕が見た限りでは、日本の方々のツイートにはでたらめが少なかったと言えるでしょう。やっぱり「今はそんなことをしている場合ではない。遊んでいる場合ではないんだ」と、皆さんが自然にわかったんですね。「正しい情報を、できるだけ絞ってツイートせねばならない」という意識が感じられたように思います。
ツイッターには、「正しいことを書けば、それが広まる。ただ嘘を書けば、それも広まる(=garbage in, garbage out」というGIGOというコンセプトがあります。今回は、皆さんがGIGOについて自然に意識をして、良心的に利用している様子が素晴らしいなと思いました。

プロフール

1960年、米国カリフォルニア州生まれ。山形弁研究家、マルチタレント。高校時代、交換留学生として奈良県智弁学園に1年間在日。大学生時代、大阪の関西外国語大学に4ヶ月学び、その後、京都の二尊院に2ヶ月ホームスティ、佐渡島で4ヶ月文弥人形づかいの弟子入りをした。大学卒業後、日本に戻り文部省英語指導主事助手として山形県に赴任し、3年間英語教育に従事。その後上京し、セールスマンを経て、翻訳・通訳会社を設立。十数年前からテレビ・ラジオ等の仕事を兼務して現在に至る。3年間の山形での生活で鍛えた山形弁を武器に、ドラマ出演、司会、年間100回を超える講演会活動などを続けている。