森ビル株式会社

都市の中心で、生と死の間の幽体を探す(第4回)

2011年02月25日

今月のゲスト:美術家・彫刻家 小谷元彦さん

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2010年11月27日〜2011年2月27日まで、森美術館で開催されている『小谷元彦展:幽体の知覚』。
美術家・彫刻家の小谷元彦さんは、彫刻や映像のインスタレーションから写真作品まで様々なメディアを横断して作品を作り続け、今後の日本の現代美術界を担う作家として国内外で注目されています。小谷さんは今回の展覧会を「レトロスペクティブではなくファーストステージの終了」と位置づけし、すでに次の作品の制作活動を始めていると言います。小谷さんが、今回の展覧会で得たものや感じたものとは何だったのでしょうか。展覧会の会期中に、お話を伺いました。

第4回 制作活動を行う都市について
都心部での生活が思考を柔軟にする

東京の好きなところは、不便しないという点でしょうか。材料ひとつとってもそうで、制作活動をする上でのインフラが整っています。素材を集める時も、非常に微に入り細に至るまで手に入る、ミリ単位のすごく細かいものまで全部整っている場所が東京であるというイメージです。
僕はもともと制作活動をしている人間も周りに多くいるような京都の中心地に住んでいました。近所のコンビニに行くときにも人とたくさんすれ違うような環境の方が頭が良く動いているので、都心部で生活をすることで僕の思考状況は柔軟になるようです。

海外での展示は、これからが再スタート

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森美術館「小谷元彦展:幽体の知覚」展示風景
2010/11/27〜2011/02/27
撮影:木奥恵三/写真提供:森美術館

これまでにも何度か海外で展示をする機会がありましたが、日本ではコントロールしやすい部分でも、海外では自分の作品をインストールする時に入れ替えの度が高いというか、様々なコントロールが難しくなります。海外に向かうにはこれからもう一度再スタートをして、という印象を持っています。

プロフール

1972年、京都府生まれ。1997年、東京藝術大学大学院美術研究科修了。ヴェネツィア・ビエンナーレ日本館(2003年)をはじめ、リヨン現代美術ビエンナーレ(2000年)、イスタンブール・ビエンナーレ(2001年)、光州ビエンナーレ(2002年)など数多くの国際展に出品。これまでの主な個展に、「ファントム・リム」(Pハウス、1997年)、「モディフィケーション」(キリンプラザ大阪、2004年)、「小谷元彦/Hollow」(メゾンエルメス、2009-2010年)、主なグループ展には、「日本ゼロ年」(水戸芸術館現代美術ギャラリー、1999年)、「現代美術の皮膚」(国立国際美術館、2007年)、「ネオテニー・ジャパン」(鹿児島県霧島アートの森/札幌芸術の森美術館/上野の森美術館、2007-2008年)などがある。