森ビル株式会社

都市の中心で、生と死の間の幽体を探す(第3回)

2011年02月18日

今月のゲスト:美術家・彫刻家 小谷元彦さん

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2010年11月27日〜2011年2月27日まで、森美術館で開催されている『小谷元彦展:幽体の知覚』。
美術家・彫刻家の小谷元彦さんは、彫刻や映像のインスタレーションから写真作品まで様々なメディアを横断して作品を作り続け、今後の日本の現代美術界を担う作家として国内外で注目されています。小谷さんは今回の展覧会を「レトロスペクティブではなくファーストステージの終了」と位置づけし、すでに次の作品の制作活動を始めていると言います。小谷さんが、今回の展覧会で得たものや感じたものとは何だったのでしょうか。展覧会の会期中に、お話を伺いました。

第3回 作品を作って、大衆の面前に晒すということ
『小谷元彦展:幽体の知覚』会期中の気持ち

森美術館は、展覧会を作っていく上で作家にストレスがかからないようにサポートもしっかりしてもらえますし、スタッフ全員に「良い展覧会にしよう」という思いを感じて、すごく良いなと思います。
作家としては自分の展覧会の会期中というのは、やはりあまり落ち着かないものです。特に僕は自己評価が低いタイプで、自分の展覧会の会期中に見にいくとずっと色々なところをチェックばかりしてしまいます。それでも、自分の展覧会を大勢の人が身に来てくれていることはすごくうれしいですね。

大勢の人に見てほしいという気持ちとは裏腹に

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森美術館「小谷元彦展:幽体の知覚」展示風景
2010/11/27〜2011/02/27
撮影:木奥恵三/写真提供:森美術館

良くも悪くも、人に見てもらわないといけない仕事です。でもそれだけでは困りますし、一方向では片づけられなくて、多くの人に足を運んでほいいという気持ちとは裏腹になんだか恥ずかしいから見てほしくないという気持ちもあって、会期中はなんともいえない思いで過ごしています。自分が作品を作って晒しているということは、結局はそういう思いを抱え続けていくことなのかもしれません。

プロフール

1972年、京都府生まれ。1997年、東京藝術大学大学院美術研究科修了。ヴェネツィア・ビエンナーレ日本館(2003年)をはじめ、リヨン現代美術ビエンナーレ(2000年)、イスタンブール・ビエンナーレ(2001年)、光州ビエンナーレ(2002年)など数多くの国際展に出品。これまでの主な個展に、「ファントム・リム」(Pハウス、1997年)、「モディフィケーション」(キリンプラザ大阪、2004年)、「小谷元彦/Hollow」(メゾンエルメス、2009-2010年)、主なグループ展には、「日本ゼロ年」(水戸芸術館現代美術ギャラリー、1999年)、「現代美術の皮膚」(国立国際美術館、2007年)、「ネオテニー・ジャパン」(鹿児島県霧島アートの森/札幌芸術の森美術館/上野の森美術館、2007-2008年)などがある。