森ビル株式会社

プラネタリウムに宇宙と都市の魅力を込めて(第4回)

2011年01月21日

今月のゲスト:プラネタリウム・クリエーター 大平貴之さん

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大平貴之さんの職業は、”プラネタリウム・クリエーター“。少年時代からプラネタリウムの自作を始め、1998年に150万個の星を映し出すプラネタリウムシステム≪メガスター≫を開発。≪メガスター≫のバージョンアップを続けながら、これまで世界中にいくつもの星空を作り続けてきました。
2月13日まで六本木ヒルズ森アーツセンターで開催されている「スカイ プラネタリウム」も、大平さんが手掛けた作品のひとつです。宇宙のスケールや星座のロマン、地球上の都市の鮮やかさなど、プラネタリウムを通して大平さんが伝え続けている星空の秘密や都市の魅力について、話を聞きました。

第4回 都市と自然、両方の魅力を星空に込める
夜景を楽しむプラネタリウムで、都市を表現する

「スカイ プラネタリウム」のための打ち合わせで、森ビルの方が「森ビルは東京の都市模型を持っているんです」と、東京の都市模型を見せてくれました。そこですぐに、「夜景を作ろう!」と思いついたんです。この模型自体に映像を当てて夜景のように光輝かせれば、夜景と星空を一緒に楽しむことができる、とワクワクして前のめりになりながら作ったのが「スカイ プラネタリウム」の導入部にある夜景のゾーンです。
今回の会場となっている森アーツセンターギャラリーのある六本木ヒルズ52階からは、素晴らしい夜景が望めます。夜景がきれいなのは、僕達の生活の営みが凝縮されているから。夜景を作ることで、都市を表現したくなったんです。

自然界の星空と都会の夜景の共存

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六本木ヒルズ森タワー屋上「スター☆デッキ」

「星空は美しい」と言うと、人工的な夜景を否定しているようなニュアンスにも取られるかもしれませんが、僕は人間がやっていることも十分素晴らしいと思っています。自然界の作りだした夜景の美しさと夜の都市の美しさ、一見相反しているようなメッセージは、今後表現していきたいテーマのひとつです。
例えば、プラネタリウムで人工的な星空を見た後に外に出て、東京の本物の夜空を眺める。双眼鏡や望遠鏡を使うと、見えないと思っている天体もどんどん見えてくるので、「都会にもちゃんと星空があるんだ」という驚きを感じることができると思います。

プロフール

1970年、神奈川県生まれ。プラネタリウム・クリエーター。東京大学特任教員、和歌山大学客員教授。小学生の頃からプラネタリウムの自作に取り組み、大学時代に、アマチュアでは例のないレンズ投影式プラネタリウム「アストロライナー」の開発に成功。1998年にこれまでの数百倍にあたる150万個の星を映し出す「MEGASTAR(メガスター)」を発表する。2004年には日本科学未来館と共同開発した、投影星数560万個のMEGASTAR-II cosmos がギネスワールドレコーズに認定される。愛知万博をはじめとした各地での移動公演の他、アーティストとのコラボレーションなどを積極的に行い、プラネタリウムの新機軸を確立。 文部科学大臣表彰ほか受賞多数。