森ビル株式会社

プラネタリウムに宇宙と都市の魅力を込めて(第3回)

2011年01月14日

今月のゲスト:プラネタリウム・クリエーター 大平貴之さん

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大平貴之さんの職業は、”プラネタリウム・クリエーター“。少年時代からプラネタリウムの自作を始め、1998年に150万個の星を映し出すプラネタリウムシステム≪メガスター≫を開発。≪メガスター≫のバージョンアップを続けながら、これまで世界中にいくつもの星空を作り続けてきました。
2月13日まで六本木ヒルズ森アーツセンターで開催されている「スカイ プラネタリウム」も、大平さんが手掛けた作品のひとつです。宇宙のスケールや星座のロマン、地球上の都市の鮮やかさなど、プラネタリウムを通して大平さんが伝え続けている星空の秘密や都市の魅力について、話を聞きました。

第3回 プラネタリウムの輝きに欠かせない化学反応
理科少年が作品と社会との化学反応に出会うまで

僕が初めてプラネタリウムを作ったのは、小学校高学年くらいの時。「科学館にある本物の立派なプラネタリウムを自分で作ってみたい」と思って、少しでも近いものを自分の手で作り上げようと奮闘していました。プラネタリウムだけではなくて、ロケットを作って打ち上げたリ、写真の現像をやってみたり、鉱物採集をしたり、様々な理科の分野に興味を持って追及していく、いわゆる“理科少年”でした。
プラネタリウムが他のテーマと少し違ったのは、作る過程を自分1人で楽しむだけではなくて、お客さんに見せて完成する要素が強いということ。作った作品を世の中に認知してもらって、社会との化学反応が起きるということは、今の自分にとってもすごく大切なことです。

たくさんの人のアイデアや夢で育ったプラネタリウム

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六本木ヒルズ「スカイ プラネタリウム」

「全て自分で考えています!」と言いたいところですが、実はアイデアの源は外からやって来ることが多いです。イベントを重ねる中で何かを発見したり、誰かのアイデアが耳に入ったとき、「実現できそうだな」と思ったことに関しては、できるだけ全て試すようにしています。
イベントを主催される方々やお客さんなど、色々な人のアイデアや夢が起こす化学反応によって≪メガスター≫が育ち、今回の「スカイ プラネタリウム」にも結びついているんです。

プロフール

1970年、神奈川県生まれ。プラネタリウム・クリエーター。東京大学特任教員、和歌山大学客員教授。小学生の頃からプラネタリウムの自作に取り組み、大学時代に、アマチュアでは例のないレンズ投影式プラネタリウム「アストロライナー」の開発に成功。1998年にこれまでの数百倍にあたる150万個の星を映し出す「MEGASTAR(メガスター)」を発表する。2004年には日本科学未来館と共同開発した、投影星数560万個のMEGASTAR-II cosmos がギネスワールドレコーズに認定される。愛知万博をはじめとした各地での移動公演の他、アーティストとのコラボレーションなどを積極的に行い、プラネタリウムの新機軸を確立。 文部科学大臣表彰ほか受賞多数。