森ビル株式会社

プラネタリウムに宇宙と都市の魅力を込めて(第1回)

2011年01月04日

今月のゲスト:プラネタリウム・クリエーター 大平貴之さん

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大平貴之さんの職業は、”プラネタリウム・クリエーター“。少年時代からプラネタリウムの自作を始め、1998年に150万個の星を映し出すプラネタリウムシステム≪メガスター≫を開発。≪メガスター≫のバージョンアップを続けながら、これまで世界中にいくつもの星空を作り続けてきました。
2月13日まで六本木ヒルズ森アーツセンターで開催されている「スカイ プラネタリウム」も、大平さんが手掛けた作品のひとつです。宇宙のスケールや星座のロマン、地球上の都市の鮮やかさなど、プラネタリウムを通して大平さんが伝え続けている星空の秘密や都市の魅力について、話を聞きました。

第1回 「スカイ プラネタリウム」実現までのストーリー
ギャラリーで開催する、プラネタリウムの新しい形

2010年11月26日から2011年2月13日まで、六本木ヒルズ森アーツセンターギャラリーで開催されている「スカイ プラネタリウム」。2006年に、同じく六本木ヒルズで≪プラネタリウム・アフリカーナ≫※というイベントを開催したときに、森ビルの方と「星空の中を歩いて行けるようなプラネタリウムができたら良いね」とお話していたのがこのアイデアのスタートなんです。常日頃、僕も「座席に座って皆が同じ決められた番組を見る」というプラネタリウムの典型的なパターン以外に、もっと自由に星を見てもう方法はないかな、と考えていて、これまでにも美術館などではギャラリー的なプラネタリウムを何回か行ったことがありました。
今回、森ビルの方からお話をいただいて、六本木ヒルズの森アーツセンターならいくつか連なるギャラリーを渡り歩きながらのストーリー展開ができると思いついて、「ぜひ、やりましょう」とお返事させていただきました。お客さんが自分のペースで歩きながら心行くまでプログラムを楽しむことができる。この新しいプラネタリウムの形は、とても面白いんじゃないかと思っています。

※「プラネタリウム・アフリカーナ」
2006年8月1日から31日まで、六本木ヒルズ東京シティービューで開催された。天井高約11メートルの展望台空間(渋谷・新宿方面)に、投影星数が約五百万個のプラネタリウム「メガスターII」を設置。「アフリカ」をテーマに、赤道直下の夜空を軸に、アフリカをイメージさせる環境音や香りを用いた演出など、五感を刺激する仕掛けがされた。

オールラウンドに楽しめるプラネタリウムの魅力

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六本木ヒルズ「スカイ プラネタリウム」

これまでプラネタリウムというと、子供のための勉強の場所というイメージがあったのではないでしょうか。でも僕は昔から、プラネタリウムは大人も楽しめる世界でもっと潜在的な需要があると考えていました。
大人が楽しめるということは子供も楽しめると思っているので、オールラウンドな世代の人々が楽しむことのできる環境を作りたかった。最近は「スカイ プラネタリウム」を始め、僕の作ったメガスターを使用する場所には、大人のカップルが多く訪れていただいていますし、大人でも子供でも訪れれば何年後、何十年後でも思い出すような空間を、これからも作っていきたいですね。

プロフール

1970年、神奈川県生まれ。プラネタリウム・クリエーター。東京大学特任教員、和歌山大学客員教授。小学生の頃からプラネタリウムの自作に取り組み、大学時代に、アマチュアでは例のないレンズ投影式プラネタリウム「アストロライナー」の開発に成功。1998年にこれまでの数百倍にあたる150万個の星を映し出す「MEGASTAR(メガスター)」を発表する。2004年には日本科学未来館と共同開発した、投影星数560万個のMEGASTAR-II cosmos がギネスワールドレコーズに認定される。愛知万博をはじめとした各地での移動公演の他、アーティストとのコラボレーションなどを積極的に行い、プラネタリウムの新機軸を確立。 文部科学大臣表彰ほか受賞多数。