森ビル株式会社

限界への挑戦を繰り返して築き上げたもの(第5回)

2010年10月29日

今月のゲスト:長野五輪スピードスケート金メダリスト 清水宏保さん

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長野オリンピックスピードスケートで金メダルと銅メダル、ソルトレークオリンピックでも銀メダルを獲得した清水宏保さん。日本ではマイナーだったスピード スケートという競技を自らの勝利を持ってメジャーの舞台へと引き上げ、2010年3月に引退を宣言してからも、後輩への指導や後援会やイベントへの出席を 通じてスピードスケートの素晴らしさを発信し続けています。高身長が有利とされる競技において、小柄な体型や重度の喘息患者であるという一見不利な条件を 抱えた清水さんが、金メダリストになることができた理由とは?

第5回 プロ生活で経験した感覚を活かして
水とサプリメントにこだわるわけ

現役を引退してから、水とサプリメントの商品を作りました。作ろうと思ったきっかけは、自分が現役のときに飲んでいた「ミネラルウォーター」。「ミネラルウォーター」という表示があるものはすべて天然水だと思っていたのですが、人工的にろ過した水が多いということを知ったからです。
自分の体に合っていると感じたのは、前3年ほど住んでいた山梨の水。山梨の天然水が飲めるように商品化に挑戦しました。売上の何割かを喘息の啓発活動を応援することに使えたらいいなと思っています。サプリメントやビタミン剤を作ったのも、同じような理由から。科学的に作られたものは尿として体外に排出されやすく、体が吸収しづらい。逆に天然のものは、体に融合しやすく吸収率が良い。自分が現役のときに舌や体で実際に味わったものを、自分なりにアレンジして表現したいと思っています。

スポーツ選手現役引退後のサイクルを作りたい

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HILLS CAST収録風景

スポーツ選手が現役時代に味わったこと、その貴重な経験は一般の市場でも活かせるはずなんです。競技を続けてきたうえで芽生えた感覚を、競技を離れた社会の中でもうまく活かせるようにすれば、必ず需要はあるでしょう。
例えば、鍼灸師やマッサージの勉強をすると指導者としてのスキルも上がります。指導とケアの両面をフォローできれば競技者にとっても最高の指導者となりますし、子供達や高齢者の方への予防医学やケアの提供もできるようになる。
現役を引退した選手の強みを生かし、社会に貢献できるサイクルは実現可能だと思っています。やってみなければわからないことが多く簡単ではないと思いますが、挑戦していきたい課題です。

プロフール

1974年、北海道生まれ。1998年9月NEC入社。CSR推進本部社会貢献室在籍。幼稚園からスケートを始める。91年浅間選抜500メートルで日本高校新記録を出し、全日本スプリントで総合4位に入り脚光を集める。以来長年に渡り、世界のスピードスケート短距離界の第一人者として活躍。
長野オリンピック500メートルでは金メダル、1000メートルで銅メダル、ソルトレークオリンピック・銀メダルを獲得。世界距離別選手権500mでは、 1998年~2001年4連覇。2001年大会で34秒32の世界新記録を樹立した。2010年3月5日に現役引退を表明。現在は喘息の啓蒙活動、講演会・イベントへの出演、執筆活動等、文化人として幅広く活躍中。