森ビル株式会社

小泉今日子が原宿から伝えるメッセージ(第2回)

2010年08月06日

今月のゲスト:女優 小泉今日子さん

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女優や歌手としてだけでなく、読売新聞の読書委員を務めるなど、近年ますます活動の幅を広げ活躍する小泉今日子さん。2010年7月には、原宿の様々な風景を切り取り、エッセイと共に綴った『原宿百景』が出版されました。中学時代に初めての遊び場として通うようになってから、移りゆく原宿の街と共に歩んできた小泉さん。
『原宿百景』を出版したことは、自分が感じてきたことを次の世代へ伝えたい、という責任感があるからだそう。小泉さんが、様々な思いの詰まった都市のエピソードを話してくれました。

第2回 原宿は残るべきものが、残っていく街
思い入れの深い原宿の風景に改めて感謝して

原宿には、10代の頃4年間くらい住んでいたこともあって、とても思い入れがあるのですが、また別の「遊び場」となる街が見つかった、という感じで年齢と共に少し離れていたんです。だから、『原宿百景』の連載のお話をいただいたときには、青春時代に「遊び場」として過ごした原宿を、今一度見つめ直したり、感謝しに行ける、良い企画だなと思ったんです。
街って生き物のように、どんどん変わっていってしまいますよね。私が少女時代に遊んでいた場所や通っていたお店も、なくなってしまったところもたくさんあります。ただ、原宿は面白いところで、他の街ならば同じ年月を重ねたらとっくに様子が変わっていそうな小さな路地でも、残っているものはきちんと残っているんです。そういうところも、ちゃんと写真に収めたり、言葉にしておきたいなと思って連載を始めました。

普通の女の子として過ごした自分の原点

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私はこの仕事を始めたのが早かったので、普通の女の子として遊べていたのは、中学時代に原宿で遊んでいた頃までなんです。だからその時のことを原点として持っていないと、人としてブレてしまうなという気持ちもあって、余計思い入れが強くなっているのだと思います。
原宿に住んでいた頃は、家で過ごす時間もあまりとれないくらい忙しい時期だったので、たまの休みにはいちいち電車や車に乗ることもなく、散歩しながら気分転換に買い物に行けるような場所に住みたいなと思っていました。
原宿は土地勘もありましたし、裏道に入ればすごく静かな住宅街があって、そこで暮らしている人達のための商店街が残っていて、とても気に入っていました。

プロフール

神奈川県生まれ。1982年「私の16才」で歌手デビュー。以後、「なんてったってアイドル」「学園天国」「あなたに会えてよかった」など数々のヒットを放つ。1983年の映画デビュー以来数々の主演出演を果たし、近年は映画「空中庭園」「やじきた道中てれすこ」「グーグーだって猫である」「トウキョウソナタ」他に出演、舞台「シブヤから遠く離れて」「労働者M」「恋する妊婦」他に出演するなど女優としての活動も盛んに行なっている。また、2004年より読売新聞の読書委員をつとめるなど、活動は多岐に渡る。2010年7月には、雑誌「SWITCH」の連載をまとめたエッセイ&ガイドブック『原宿百景』を出版。