森ビル株式会社

小泉今日子が原宿から伝えるメッセージ(第1回)

2010年08月01日

今月のゲスト:女優 小泉今日子さん

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女優や歌手としてだけでなく、読売新聞の読書委員を務めるなど、近年ますます活動の幅を広げ活躍する小泉今日子さん。2010年7月には、原宿の様々な風景を切り取り、エッセイと共に綴った『原宿百景』が出版されました。中学時代に初めての遊び場として通うようになってから、移りゆく原宿の街と共に歩んできた小泉さん。
『原宿百景』を出版したことは、自分が感じてきたことを次の世代へ伝えたい、という責任感があるからだそう。小泉さんが、様々な思いの詰まった都市のエピソードを話してくれました。

第1回 先輩達から受け取ったものを、後輩達に伝えたい
原宿は、自分達の初めての遊び場だった

雑誌『SWITCH』で2007年から連載していた『原宿百景』というシリーズをまとめたフォトエッセイを今年の7月に出版しました。原宿の風景と、それに纏わるエッセイや対談で構成されています。
私の少女時代には、原宿はとても特別な街だったんですよ。生まれ育ったのが神奈川県の厚木市なので、電車で気軽に行けましたし、私もよく遊びに行っては、竹下通りを歩いて洋服を探したり、鮮やかな色のソーダを飲んで舌が真っ青に染まってしまったり、竹の子族やロックンローラーを見ていたりだとか。当時中学生くらいの少年少女たちにとって原宿に遊びに行くのは特別な気分になるものでした。初めて親とは離れた、自分と友達だけの遊び場が原宿だったんです。

『原宿百景』出版に隠された、原宿への責任感

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『原宿百景』では、本当に色々な人にお話しを聞くことができました。例えば、70年代から原宿を知っている人と、90年代から知っている人では、全然違う思い入れがあります。それを聞いているのが、すごく楽しかったんです。だから、ただの街の本というよりは、時代の変化や街の変化も感じてもらって、原宿に対して親しい感覚を持って読んでもらえたらいいなと思っています。
私は今、社会の中でも中堅の世代。上の世代と下の世代を繋げていく役割があるんじゃないかなと思ってるんです。何か役に立てるんだったら20歳前後の後輩達の話を聞いてあげたいし、自分が先輩達にしてもらったことをきちんと返したいと思っています。
この『原宿百景』を作るときに感じた、原宿に対しての責任感のようなものも、「後輩達に伝えたい」という思いから来ているのかもしれませんね。

プロフール

神奈川県生まれ。1982年「私の16才」で歌手デビュー。以後、「なんてったってアイドル」「学園天国」「あなたに会えてよかった」など数々のヒットを放つ。1983年の映画デビュー以来数々の主演出演を果たし、近年は映画「空中庭園」「やじきた道中てれすこ」「グーグーだって猫である」「トウキョウソナタ」他に出演、舞台「シブヤから遠く離れて」「労働者M」「恋する妊婦」他に出演するなど女優としての活動も盛んに行なっている。また、2004年より読売新聞の読書委員をつとめるなど、活動は多岐に渡る。2010年7月には、雑誌「SWITCH」の連載をまとめたエッセイ&ガイドブック『原宿百景』を出版。