森ビル株式会社

「人間好き」の別所哲也さんが見つけた都市を楽しむ術(第2回)

2010年05月07日

今月のゲスト:俳優 別所哲也さん

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俳優としての活躍に留まらず、ラジオのナビゲーター、国際短編映画祭の主宰など、多岐に渡って活動を続ける別所哲也さん。その原動力は、自分自身の「寂しがり屋」な性格にあると言います。別所さんが教えてくれた、都市での生活を楽しむ術からは「人と人との繋がりから生まれるもの」を大切にする彼の姿勢が垣間見えました。

第2回 俳優人生の出発点、一生舞台に立っていたい
俳優という仕事の無限の魅力

俳優を続けていく上で、無駄な活動は1つもありません。俳優の仕事は、与えられたキャラクターや物語を通じて、自分の考えや、価値観、哲学、生き様、日々の生活の仕方まで全て露わになってしまう、合わせ鏡のような物だと思っています。
例えば、ラジオのお仕事や映画祭の運営で人と出会って分かち合ったことも、表現の座標軸を自分で自由に作ることができて、俳優として作品に立ち向かう時の考え方やキャラクターの目盛りになるんです。
最終的にお客様が見て何か感じることで完結する。それも、見てくれるお客様の数だけ違う答えが出る。無限の魅力ある、やめられない世界です。

「人間好き」の自分にとっての舞台

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ミュージカルの代表作「レ・ミゼラブル」
ジャン・バルジャン役
東宝(株)演劇部

お芝居の世界に足を踏み入れることになったきっかけは大学時代の英語劇。僕の俳優人生は、舞台から出発しました。「映画やテレビは焼き菓子のような存在で、舞台は生菓子のような存在」と形容する人がいるように、公演の度に同じ動作をして同じセリフを言っても、舞台にはその日の空気感や湿度や温度を伴って現れるので、二度と同じ公演はありません。劇場に見に来て下さっているお客様と同じ空間や時間をシェアする感覚が、刹那的でありとても魅力的。
あと、俳優という仕事を続けているのには、僕が「人間好き」だからということもあるかもしれません。自分を曝け出してでも表現したいと思うし、そこから何かを受け止めてくれる人とキャッチボールがしたい。「自分から何かを発信したら、繋がり合いが生まれるんじゃないか」と、どこかで思っていることが原動力のひとつです。次に挑戦したいことも、繋がり合いの中から生まれるんじゃないか、と思っています。僕は一生舞台に立っている、舞台役者で有り続けたいんです。

プロフール

1965年静岡県生まれ。慶應義塾大学法学部卒。90年、日米合作映画「クライシス2050」でハリウッドデビュー。米国映画俳優組合(SAG)会員となる。以降、映画・TV・舞台等で幅広く活躍中。本年4月、「レ・ミゼラブル」「ミス・サイゴン」などのミュージカル出演の功績により、第1回岩谷時子奨励賞授賞。99年より、日本発の国際短篇映画祭「ショートショート フィルムフェスティバル」を主宰。本年より、内閣官房知的財産戦略本部コンテンツ強化専門調査会委員に就任。2009年より、「J-WAVE TOKYO MORNING RADIO」(月曜~木曜 6:00~9:00)のナビゲーターを務める。