森ビル株式会社

音楽を、東京を、越境するプロデューサーとして(第4回)

2009年12月25日

今月のゲスト:プロデューサー 小林武史さん

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自らを「越境するプロデューサー」と称する小林武史さん。「Mr.Children」「レミオロメン」をはじめとした音楽プロデュースにとどまらず、 「ap bank」を立ち上げ「ap bank fes」を開催、そして環境と消費を考える場として立ち上げた「kurkku project」では、2009年表参道ヒルズに「kurkku3」をオープンさせた。そして小林さんは2010年1月公開の映画『BANDAGE バンデイジ』で、映画監督デビューする。音楽、食、映画と、様々な枠組みを越境していく小林さんのアイディアはどこから生まれてくるのだろうか。

第4回 これからも「越境するプロデューサー」として

メロディをつむぎ出したり、映画や小説のプロットを考えるといった、自分の意識の底にある泉や湖みたいなところに潜っていって何かを引っ張り出してくるという個人の作業と、多くの人間と呼応しながら、響かせたり、勘を研ぎ澄ませたりしながらやるチームプレーというのは、当然全く違う要素として2つありますよね。
チームプレーは大好きなんですよ。僕の生業は音楽プロデューサーなんで、今年はMr. Childrenのドームツアーをずっとやっているんだけど、そういう作業と「kurkku」でやるような作業は基本的には同じだと思います。
いずれにしても、僕は集まって何かをやっていくということをやめられないと思うし、これからもやっていくんだと思っています。

それぞれの分野の要素を再構成していく

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表参道ヒルズにオープンした「kurkku 3」

若いころに比べると、いろいろなものを取り込むために意識的に時間を割くということは減っているような気がします。本筋の音楽から他のところに飛び込んだとき、出会ったことのない人と物が出会って化学反応が起きたり、コラージュが生まれてくるんです。そこからいろいろなもの吸収して、次のアイディアを引っ張り出しているようなところがありますね。
僕の中では、音楽にしても、映画にしても、食にしても、それぞれの分野で要素は随分出尽くしているなという感覚があるんですよね。出尽くしているというのは悪い意味じゃなくて、そこから1回根源的な要素を分けてみて再構成するようなことをよくやっています。
これからは今やっていることをもっともっと掘っていきたい。そして今あるアイディアも相当大きな入れ物じゃないと入らないものだったりするので、その土台をちゃんと作っていきたいですね。

プロフール

1959年生まれ。音楽プロデューサー、キーボーディスト。Mr.Childrenをはじめ、日本を代表する数多くのアーティストのレコーディング、プロデュースを手がける。1991年OORONG-SHA設立。アーティストのマネジメント、レコーディング及びライブステージのプロデュースを行う。映画「スワロウテイル」(1996)をはじめ、映画音楽も多数手がける。2003年には櫻井和寿と「ap bank」を立ち上げ、環境NPOに対する融資のほか、初の環境野外フェス“ap bank fes”を開催。2005年に“kurkku(クルック)”を神宮前に立ち上げた。2008年には、映画音楽を中心に・ライブ・報道番組・環境ドキュメタリーのテーマ曲を自らが厳選し収録した「WORKS」シリーズ第1弾を発売。