森ビル株式会社

音楽を、東京を、越境するプロデューサーとして(第3回)

2009年12月18日

今月のゲスト:プロデューサー 小林武史さん

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自らを「越境するプロデューサー」と称する小林武史さん。「Mr.Children」「レミオロメン」をはじめとした音楽プロデュースにとどまらず、 「ap bank」を立ち上げ「ap bank fes」を開催、そして環境と消費を考える場として立ち上げた「kurkku project」では、2009年表参道ヒルズに「kurkku3」をオープンさせた。そして小林さんは2010年1月公開の映画『BANDAGE バンデイジ』で、映画監督デビューする。音楽、食、映画と、様々な枠組みを越境していく小林さんのアイディアはどこから生まれてくるのだろうか。

第3回 2010年1月公開映画『BANDAGE バンデイジ』で監督デビュー

2010年1月公開の『BANDAGE バンデイジ』という映画で監督をやらせていただきました。撮影したのは去年になるんですけれど、劇映画監督デビューです。
もともとは、1995年『スワロウテイル』という映画をつくって以来の友達であり腐れ縁みたいな存在の、映画界では超高名な岩井俊二監督と共にプロデュースする映画としてスタートしたんですが、音楽映画なので、途中の構想段階で音楽を担当していた僕がそのまま監督をやった方がいいというようなことになったんです。
昔だと、映画監督っていうのはあまりにも楽しい、気持ちいいから「映画監督やって身を滅ぼす」みたいな話も、ちらほら聞いたことがあったんです。でもやってみたら、何のことはない。僕が今までやってきた音楽プロデュースの生業の延長だったんですよ。もちろん、そうじゃない側面もたくさんあるんですけれども、根幹は同じだったんですよね。

音楽で表現してきたことを基にジャッジする

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『BANDAGE バンデイジ』
© 2010「BANDAGE」製作委員会
2010年1月16日(土)全国東宝系ロードショー

映画は、演技の細かな事柄にしても1つ1つに対してジャッジしていかなければいけないということが、面白かったですね。
僕は小さい頃に『サウンド・オブ・ミュージック』という映画を何回も映画館に見に行って、サウンドトラックをすり減るほど聞いて、音楽を吸収してきた世代です。『サウンド・オブ・ミュージック』なんて、主人公のジュリー・アンドリュースが、ドキドキしたり、怖がったり、でも勇気を持ってみたいな、演技のたびに音楽がその感情のグラデーションを奏でていたでしょう。
音楽ってそういうことができるから、すべて表せるんですよね。だから、今回の映画の演技のことにしても、基本的には僕にとっては一緒のものだったんですよね。

プロフール

1959年生まれ。音楽プロデューサー、キーボーディスト。Mr.Childrenをはじめ、日本を代表する数多くのアーティストのレコーディング、プロデュースを手がける。1991年OORONG-SHA設立。アーティストのマネジメント、レコーディング及びライブステージのプロデュースを行う。映画「スワロウテイル」(1996)をはじめ、映画音楽も多数手がける。2003年には櫻井和寿と「ap bank」を立ち上げ、環境NPOに対する融資のほか、初の環境野外フェス“ap bank fes”を開催。2005年に“kurkku(クルック)”を神宮前に立ち上げた。2008年には、映画音楽を中心に・ライブ・報道番組・環境ドキュメタリーのテーマ曲を自らが厳選し収録した「WORKS」シリーズ第1弾を発売。