森ビル株式会社

母親になり、あらためて知ったクラシック音楽の素晴らしさ(第2回)

2009年11月06日

今月のゲスト:ヴァイオリニスト 高嶋ちさ子さん

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ヴァイオリニストであり、二児の母でもある高嶋ちさ子さん。子育てとヴァイオリンを両立させながら、フジテレビの軽部真一アナウンサーとの共同プロデュー スの「めざましクラシックス」、親子のための「バギーコンサート」「高嶋ちさ子 12人のヴァイオリニスト」など、“クラシックをもっと身近に”をテー マにした年間100本以上のコンサートを全国各地で開催している。常にコンサートの企画を考えているという高嶋さんが私生活で今一番楽しんでいるのは、公 園に子供と遊びに行くこと。出産を機に心境に変化があったという高嶋さんにお話を伺った。

第2回 私だからできる、クラシック音楽との関わり方

2006年に始めた「12人のヴァイオリニスト」というコンサートシリーズ。ちょうど「女子十二楽坊」が流行っていたころに、これは真似したいなと思って始めました。一般の音大生からオーディションをして、200人近くいたヴァイオリニストの中から15人を選んで、ヴァイオリンのアンサンブルを作りました。
初めは、女の子だけということで相当怖い面もあるんじゃないかと思っていたんです。女子校とかって怖いって言うじゃないですか。でも実際始めてみたらみんなすごく仲が良い。これはゆとり教育のいいところなんだろうかと思っているんですけれど、悪くいえば、競争心がない。良くいえば、みんな仲よく手をつないでゴールしようという感じ。最初はそれがすごく嫌だったんですけれど、お互いがお互いを押し上げていく力を持っているので、最近はこれはこれでいいのかなと思っています。競い合うところは音楽面じゃなくて、美容面なんですよ。楽屋ではみんな、まつげをどれだけ長くするかに命かけている、みたいな感じ。何やってるんだと思いますが、それがすごく面白いんですよ。

企画力が、自分の付加価値であると気付いて

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12人のヴァイオリニスト

同時進行でいくつもの企画を進めているのですが「どうしてだろう?」って考えると、いろいろな要因があるのですが、面白いことがしたいというのと、みんなに喜んでもらいたいという気持ちはもちろん1つあります。
あとそれ以外に、正統派のクラシックの世界でやっていくには、自分はちょっと違うんじゃないかなというのが昔からあったんです。王道のクラシックをやっているのは、国際コンクールで優勝して、たくさんのすばらしい先生について賞歴があってという人たち。
日本は特に、クラシックのレベルがすごく高いので、その人たちに混じって自分が戦っていけるかと考えたときに、ちょっと疑問だったりするんですね。そう考えて自分で自己分析をして、高嶋ちさ子の付加価値をつけるには何があるのかなと思ったら、やっぱり企画力しかないなって。じゃあどんな企画をしようかって、日々考えているんです。新幹線に乗っているときも、お風呂入っているときも、いつも考えていますね。そうして、どんどん端から実現できるようにしていっているんです。

プロフール

6歳からヴァイオリンを始め、桐朋学園大学を経て、イェール大学音楽学部大学院修士課程アーティスト・ディプロマコースを卒業。
94年マイケル・ティルソン・トーマス率いるマイアミのオーケストラ、ニュー・ワールド・シンフォニーに入団。97年からは本拠地を日本に移し、全国各地で数多くの観客を集め新たなクラシックファンを獲得している。06年には、新プロジェクト「高嶋ちさ子 12人のヴァイオリニスト」を立ち上げ、多いに注目を集める。08年は5月に新イタリア合奏団とのツアー、12月にはベルリン・フィル・ヴァイオリンアンサンブルとのツアーを全国で展開した。
現在、演奏活動を中心としながらも、コンサートプロデュース、テレビ・ラジオ番組、執筆活動等、活動の場は更に拡がりを見せている。