森ビル株式会社

母親になり、あらためて知ったクラシック音楽の素晴らしさ(第1回)

2009年11月01日

今月のゲスト:ヴァイオリニスト 高嶋ちさ子さん

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ヴァイオリニストであり、二児の母でもある高嶋ちさ子さん。子育てとヴァイオリンを両立させながら、フジテレビの軽部真一アナウンサーとの共同プロデュースの「めざましクラシックス」、親子のための「バギーコンサート」、「高嶋ちさ子 12人のヴァイオリニスト」など、“クラシックをもっと身近に”をテーマにした年間100本以上のコンサートを全国各地で開催している。常にコンサートの企画を考えているという高嶋さんが私生活で今一番楽しんでいるのは、公園に子供と遊びに行くこと。出産を機に心境に変化があったという高嶋さんにお話を伺った。

第1回 “クラシックをもっと身近に”をテーマに様々なコンサートを企画

今は主に3つのコンサートシリーズをやっています。そのうちの1つ、軸となっているものが「めざましクラシックス」。フジテレビの軽部真一アナウンサーと一緒にやっているシリーズで、今年の12月で150回、12年目に入りました。
それからチェロを加えたトリオ編成で演奏するコンサートも年間で相当な数を回っていて、「高嶋ちさ子 12人のヴァイオリニスト」というプロジェクトも2006年から始まりました。大体、年間100回ぐらいのコンサートをやっていることになりますね。
あと、チャレンジ精神がわいてきて今までにない何かをやりたいなと思って、最近考えついたのが「バギーコンサート」です。子供連れのお母さんたちが来て、親子で楽しむことのできるこのコンサートは、11月23日から始まります。これは、これから私が5年10年かけて育てていきたい企画です。
今考えているのは、演奏するステージの周りの半周を全部、子供が遊んでも騒いでも踊ってもいいスペースにするんです。そして、その後ろが客席になっていて、そこにお母さんたちが座るという形。下手したら、私がヴァイオリン弾いているところを子供に棒で突かれたりするのかなと思って、すごく怖い半面、楽しみですね。

お母さんにも、子供にも、クラシックを楽しんでもらうには

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親子で楽しむ『バギーコンサート』

大体クラシックのコンサートって「未就学児童はお断り」なんです。でも、隠して入ってきちゃうお母さんも結構いるんですよね。私にも子供が二人いるので、今は隠してでも連れて来たいという親の気持ちがすごくわかる。
子供に情操教育として生の音楽を聞かせたいという気持ちと、お母さんたちも息抜きとして生の音楽を聞きに行きたいという両方の気持ちがあるみたいで、ママ友にも「やってくれ」とよく言われていたんです。私も自分の子供を楽屋に連れていくんですが、他の出演者の皆さんからしたら他人の子だから、泣いたりしてうるさくて迷惑かけて申し訳ないなと、普段から思っていました。
でも子供のためのコンサートをやれば、たくさん子供がいるなかで1人泣いたって何とも思わないし、出演者も心構えがあるから紛れるんじゃないかなと思って。自分のためというのもあるんですよね。

プロフール

6歳からヴァイオリンを始め、桐朋学園大学を経て、イェール大学音楽学部大学院修士課程アーティスト・ディプロマコースを卒業。
94年マイケル・ティルソン・トーマス率いるマイアミのオーケストラ、ニュー・ワールド・シンフォニーに入団。97年からは本拠地を日本に移し、全国各地で数多くの観客を集め新たなクラシックファンを獲得している。06年には、新プロジェクト「高嶋ちさ子 12人のヴァイオリニスト」を立ち上げ、多いに注目を集める。08年は5月に新イタリア合奏団とのツアー、12月にはベルリン・フィル・ヴァイオリンアンサンブルとのツアーを全国で展開した。
現在、演奏活動を中心としながらも、コンサートプロデュース、テレビ・ラジオ番組、執筆活動等、活動の場は更に拡がりを見せている。