森ビル株式会社

街角で人と人が出会って、都市はもっと面白くなる(第4回)

2009年10月23日

今月のゲスト:放送作家 小山薫堂さん

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放送作家という肩書きを超えて様々なフィールドで活躍し、自身の職業をサービス業だと話す小山薫堂さん。人を喜ばせるために、感動させるために、これから計画していることについて話を伺った。
その一つが、旗振り役を務める「マルシェ・ジャポン」。プロジェクトの一環として、アークヒルズ内にて毎週土曜日に行われる「ヒルズマルシェ」もスタート した。都市にマルシェを作るこの運動は、生産者と消費者が出会うコミュニケーションの場として機能し、都市の活性化につながると小山さんは言う。これから マルシェを使って目指す都市のビジョンとはどのようなものだろうか。

第4回 東京をもっと面白くするためのサービス

東京の街にはもっと公共性のある仕組み、サービスがあるといいなと思うんですが、例えば、パリにはレンタサイクルの仕組みがありますよね。ああいうものが東京にもあって、例えばそれを八百屋さんのおばちゃんが管理しているとか、そういう商店街の面白さが、もう少しそれぞれの街で出てくると、東京はもっと魅力的になるのかなと思います。
商店街が一致団結して何かをやる、お祭りのようなことが、常にどこかで行われているというような。僕は以前、東京都の方に「東京祭りというのをやりましょう」と提案したのです。それは、例えばオリンピックの候補地に立候補するように、各商店街、あるいはその地域が、自分たちのお祭りを考えて企画書を東京都に出すんですよ。そうして「1月にこれをここでやるのは面白いから採用」といって、採用されたら補助金を出してあげる。1月の東京祭りはここで、2月はまた別の場所で、といった風に開催地を変えて。そういうふうな企画をやると、年に12回新しいお祭りが生まれて、面白いんじゃないかと僕は思うんですけれどね。

東京での人と人との距離が生む、自分の可能性とは

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HILLS CAST収録風景

東京の魅力の1つは、地方だとどこに行っても顔見知りばかりじゃないですか。でも東京はなかなか顔見知りに会わない。そこで自分ではない自分を演じることができる街、それが東京の魅力だと思うのです。
地方都市だと、いつもの自分でなければいけない、いつもの自分のように振舞っていなければいけない、というのがある。でも東京だと、例えばちょっとおしゃれをして、会社では見せない表情で街を歩けるとか。
自分の可能性をもっと外に出せるし、自分自身でそれに気づくことができる。それが面白いと思いますね。東京には、そういうバックボーンがあるような気がするんですけれどね。

プロフール

1964年熊本県生まれ。放送作家。N35 Inc.代表、株式会社オレンジ・アンド・パートナーズ代表。金谷ホテル顧問。日本大学芸術学部放送学科卒業。「カノッサの屈辱」「料理の鉄人」など話題作を多く企画し、現在「THE世界遺産」(TBS)、「スペシャルギフト」(日本テレビ)他に携わる。初の映画脚本に挑戦した『おくりびと』で、第81回アカデミー賞の外国語映画部門賞受賞。コラムや小説の執筆、ラジオパーソナリティ、企業のプランニングなど、幅広いフィールドで活躍。著書に「随筆 一食入魂」(ぴあ)、「考えないヒント」(幻冬舎)、日本語訳を担当したフランス絵本「まってる。」(千倉書房)など。12/12公開予定の映画原作本「スノープリンス 禁じられた恋のメロディ」(角川つばさ文庫)が発売中。