森ビル株式会社

街角で人と人が出会って、都市はもっと面白くなる(第3回)

2009年10月16日

今月のゲスト:放送作家 小山薫堂さん

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放送作家という肩書きを超えて様々なフィールドで活躍し、自身の職業をサービス業だと話す小山薫堂さん。人を喜ばせるために、感動させるために、これから計画していることについて話を伺った。
その一つが、旗振り役を務める「マルシェ・ジャポン」。プロジェクトの一環として、アークヒルズ内にて毎週土曜日に行われる「ヒルズマルシェ」もスタート した。都市にマルシェを作るこの運動は、生産者と消費者が出会うコミュニケーションの場として機能し、都市の活性化につながると小山さんは言う。これから マルシェを使って目指す都市のビジョンとはどのようなものだろうか。

第3回 「マルシェ・ジャポン」「ヒルズマルシェ」の役割とは

「マルシェ・ジャポン」は食べ物からスタートします。僕はいつも、食べ物には、感情移入が最良の調味料だと思うんですよね。お袋の味というのが、いい例だと思うのですが、恐らく同じ肉じゃがが並んでいたとしても、自分の母親が作った肉じゃがの方がおいしいと感じるはずなんですね。
これは作り手に感情移入しているためであって、こういうマルシェがあることによって、物を買うときに、ただ安いから買うということではなくて、その野菜に感情移入して買う。そうすると必然的に、食べるときもよりおいしく感じる。そのおいしさを演出できるというところに魅力を感じまして。ぜひとも何かお手伝いがしたいと思ったんです。

「ヒルズマルシェ」が都市を豊かにする理由

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ヒルズマルシェ

アークヒルズで開催するという意味については、アークヒルズ近辺にお住まいの方というのは非常に生活レベルも高くて、情報感度も高い。そういう人が選ぶ野菜というのはハードルが高い分、生産者にとって目標になると思うんですよね。「よし、そういうところで消費される物を、もっと作ってやろう」という生産者への刺激になるのではないかなと思っています。
それともう1つは、やはり東京の都心ですから、非常にコミュニケーションが希薄なところがあるので、マルシェがあることによってその辺の住民の人が集まって、横のコミュニケーションが生まれる。あるいは、生産者とのコミュニケーションが生まれる。
人と触れ合う喜びをみんなが知ることによって、都市の機能というのが、より豊かなものになるのではないかなと思っています。

プロフール

1964年熊本県生まれ。放送作家。N35 Inc.代表、株式会社オレンジ・アンド・パートナーズ代表。金谷ホテル顧問。日本大学芸術学部放送学科卒業。「カノッサの屈辱」「料理の鉄人」など話題作を多く企画し、現在「THE世界遺産」(TBS)、「スペシャルギフト」(日本テレビ)他に携わる。初の映画脚本に挑戦した『おくりびと』で、第81回アカデミー賞の外国語映画部門賞受賞。コラムや小説の執筆、ラジオパーソナリティ、企業のプランニングなど、幅広いフィールドで活躍。著書に「随筆 一食入魂」(ぴあ)、「考えないヒント」(幻冬舎)、日本語訳を担当したフランス絵本「まってる。」(千倉書房)など。12/12公開予定の映画原作本「スノープリンス 禁じられた恋のメロディ」(角川つばさ文庫)が発売中。