森ビル株式会社

都市型映画祭開催で見える、東京のキャラクター(第3回)

2009年10月16日

今月のゲスト:東京国際映画祭 チェアマン 依田 巽さん

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東京国際映画祭のチェアマンに依田巽さんが就任されてから2年。10月17日〜25日まで六本木ヒルズで行われる今年の映画祭は、テーマに「エコロジー」 を掲げ、グリーンカーペットの他、様々な新しい試みも行われる。長年、音楽業界に携わり、日本のコンテンツ産業を支えてきた依田さんは、世界のなかの日本 をどう見ているのだろうか。テーマに「エコロジー」を掲げたことや、東京国際映画祭が六本木で行われることにも、そのヒントが隠されていた。

第3回 東京国際映画祭のチェアマンを務めて改めて見えてきたこと

東京国際映画祭のチェアマンに就任して、一番に感じたことは、東京には映画祭のオープニングセレモニーやクロージングセレモニーがきちんとできるサイズの施設が不足していることです。
東京は、あるいは日本はといっていいのでしょうか、文化的な施設があるようで少ないんですね。海外の主要な街には100年ぐらいの歴史を持った、古い立派な石造りのシアターがあって、そういうところで色々な催し物ができるのですけれど、東京にはそういう場所がない。お台場や、東京国際フォーラムもありますが、多目的には使いづらいんです。色々な論議はありますけれど、東京をもっとインターナショナルにするには、きちんとした施設、インフラ投資は絶対に必要だと思っています。そうして、海外からもっと多くのお客様を呼び込んで、そこで新しいビジネスが根づいていく。観光ビジネスも含めて、そういう形になるのがいいのではと思っています。

コンテンツビジネスが都市に集中していることの意味

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TIFFCOMマーケット会場

映画はもちろん、ドラマ、アニメ、漫画、音楽といった、エンターテイメントのコンテンツが海外に出ていくチャンスをもっと作るべきだということでスタートした、「JAPAN国際コンテンツフェスティバル」。愛称「コ・フェスタ」と呼んでいますけれど、9月24日開幕の東京ゲームショウから10月28日閉幕の「日本賞」教育コンテンツ国際コンクールまで、色々なコンテンツが発信され、全国各地で行われています。
基本的には18のオフィシャルイベントが行われ、そのうち最大級で最も人気を集めるのが東京国際映画祭ということになります。東京国際映画祭は、世界から集まった素晴らしい映画が観られるだけでなく、コンテンツの売り買いをするマーケット「TIFFCOM2009」も併設していまして、これもやはり六本木ヒルズで行われるのです。
国際映画祭とこのマーケットが両輪となって、同じ場所で行われるということは非常に意味があることです。都市型の国際映画祭、都市型のマーケットが、都市の中心であり、カルチャー、ファッション、食などのトレンド発信地でもある六本木1カ所で行われるということは、非常にインパクトが強いと思います。

プロフール

1940年長野県生まれ。明治大学経営学部卒業。69年山水電気(株) 入社。88年3月(株) トーマス・ヨダ・リミテッド(現・ティーワイリミテッド)設立。 同年8月現・エイベックス・グループ・ホールディングス(株) 顧問就任。同社代表取締役会長兼社長就任(2004年8月退任)。04年12月よりギャガ・コミュニケーションズ(現・ギャガ(株))代表取締役会長を務め、09年7月には同社代表取締役会長兼社長CEO就任。現在 (株)ティーワイリミテッド代表取締役会長、(株)ドリーミュージック代表取締役会長、(株)ティーワイエンタテインメント代表取締役会長ほか、ティ・ジョイ取締役、楽天取締役なども務める。2008年3月東京国際映画祭(TIFF&TIFFCOM)チェアマン就任。