森ビル株式会社

無心で頑張ることが夢を叶える(第4回)

2009年09月25日

今月のゲスト:歌手 堀内孝雄さん

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28年ぶりに全国規模のツアーをスタートし、再始動した「アリス」。堀内孝雄さんは再始動について、60代になるということがメンバーの背中を押したと 語った。若いころの苦労があったからこそ、歌手になるという夢を叶えられたという堀内さん。「アリス」としてデビューしてから40年近くたった今、熱く語 る若い世代への厳しい言葉のなかには、堀内さんの優しさが溢れていた。

第4回 堀内さんが若い世代に伝えたいメッセージ

「夢が叶う」なんて言葉がありますけれど、僕は本当に歌で仕事をさせていただいてね、家族まで持たせていただいて、友達もそんなに多くはないですけれど、できたりして。何か本当に満更苦労をするというか…まぁもちろん、その苦労を苦労として受け止めてないですし、いろいろなことにチャレンジできたから、今があるんだなと思っているんですけれど。だから、夢はもうかなったんです。「夢って、これから先のことでしょ」とかって言われるんですけれど、もうないんですよね。
自分は本当に歌手になることが夢だったので。せっかく自分の好きなことだし、数人だけれどすごく評価してくれる人もいますし。だったら、それで頑張っていくしかないと思っています。自分の心の中にいる神様に、「何とかあと10年」と言ったら、また欲張りみたいで、「75歳まで」みたいな感じでね。大変でしょうけれど、やりがいがあるかなと思いますね。

現実を打破したところから、夢が語られる

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ALICE 2009

これは批判になるかもしれませんけれど、今の若い人たちは何かにすぐ飽きちゃうんですよね。現実と夢と、その狭間があるんですけれど、つらい現実があまりにも続きすぎると、周りのせいにしちゃうんですよね。「思っているのと違いますから」って、結構クールに。
そこで僕は「そうじゃないんだ、君たちのお父さんやお母さんも、嫌なことだけれど食べるために頑張ったということを忘れないでほしい、そこから必ず夢が語られる」と言う。必ずそうだと思うんですよね。入り口が夢であっても、現実を打破しないと、やっぱり夢に戻れない。だから今本当に悩んでいらっしゃる方は申しわけないですけれど、つらいとか苦しいとかというのは、夢を自分のものにするには当たり前のことなんですよ。それが何かちょっとしたことで実を結んだりすると自信にもつながりますし、今度は人のせいにしたくなくなるんですよね。だから、理想を語るというのは非常に大事なことですけれど、夢を叶えるためには、今現実ある毎日の小さなことを「コツコツと」という。やっぱり、それしかね。

プロフール

歌手/1949年、大阪生まれ。1971年に谷村新司、矢沢透と「アリス」を結成。デビュー曲「走っておいで恋人よ」を発表。10年間に渡る活動の中で谷村新司とのツインヴォーカルを聞かせ、作曲家としても活躍した。1975年には平行してソロ活動を開始し、1978年「君のひとみは10000ボルト」、 1980年「南回帰線」とそれぞれ大ヒット。1981年に活動を休止していた「アリス」だが、2009年7月のツアーを皮切りに再始動した。