森ビル株式会社

篠山紀信さんが考える面白い都市と美人の基準(第2回)

2009年08月07日

今月のゲスト:写真家 篠山紀信さん

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篠山紀信さん自身が選んだ、現代を象徴する注目の美人6人を写真に収めた展覧会『KISHIN : BIJIN』が表参道ヒルズで開催される。これまで美しい女性や変わりゆく都市の風景をファインダーを通して見つめ続けてきた篠山さんが、自身が考える美 人の基準や東京の面白さを語ってくれた。常にアンテナを張り、新しいことに挑戦しようとするその姿勢が、長く時代の第一線で活躍する秘訣なのかもしれな い。

第2回 アグレッシブに果敢に生きている現代女性は美しい

僕の展覧会の『KISHIN : BIJIN(キシン:ビジン)』は、『BIJIN of THE YEAR』というような感じにしたいと思っているんですよ。今回は『BIJIN of THE YEAR 2009』だけれど、来年は『2010』というのをやりたいですね。
ほかの雑誌だとかがあると、「読者がこういう人だから、こういうふうな感じに撮る」といういろいろな制約がありますけれども、これは僕の個展ですから、僕が撮りたいものをとるというだけなんです。
僕の美人の基準は、今という時代に非常にアグレッシブに、果敢に生きている現代の女性であるということですね。そういった、撮りたいものを見つけるのは、才能という神様が降りてきてやるとしか思えないですね(笑)。自分が、「こういうの撮りたいな」という力が、本当に自然にムクムクとわいてくるんですよ。その辺はね、「どうして?」って言われると、「まあ、才能でしょう」とか言うしかないんだけれども。まあ天才ですね、だから。アッハッハ(笑)。

撮る方も撮られる方も、お互いの力をぶつけ合う撮影

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篠山紀信写真展「KISHIN : BIJIN」/原紗央莉さん

あと美人の基準のもうひとつは、何か僕を刺激してくれる人ですよね。撮っていても、僕が相手の言いなりになって撮るわけでもないし、逆に僕が相手を自由に動かして言うこと聞かせて撮るんじゃなくて、お互いがフィフティ・フィフティの力をぶつけ合って、それでものをつくれるという、そういう人ね。
時代が生んだ面白い人や美しい人を確実に撮っていくというのは、写真家としては面白い仕事ですよね。
写真家というのは、なかなかすっきりした仕事です。小説家とかは、家でジーッとものを書いていたら、もう切りがないじゃないですか。だけれど写真家は、言ってみれば大道芸人みたいなもの。悪い意味で言っているんじゃなくて、どこかに行って、「えっ、ここで芸するの?よし、芸しちゃおう、撮っちゃおう」って、撮ったら終わりですからね。
逆に言えば、ただ動くことが苦になったら、もうだめでしょうね。

プロフール

写真家/1940年、東京都生まれ。日本大学芸術学部写真学科卒業。在学中より新進写真家として頭角を現し、第1回APA賞等、数々の賞を受賞。広告制作会社「ライトパブリシティ」を経て、1968年よりフリー。
近年はデジタルカメラによる写真と映像の表現「digi+KISHIN」を、ウェブサイト「shinoyama.net」上やDVDで発表。作品集に『NUDE』『激写シリーズ』他。近年の写真集に『Santa Fe/宮沢りえ』『三島由紀夫の家』『人間関係』等。