森ビル株式会社

走ることで新しい自分と、東京と出会う(第2回)

2009年08月07日

今月のゲスト: 有森裕子さん

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元プロマラソンランナーの有森裕子さん。現役を引退してからは、NPO法人を立ち上げ、カンボジアの子どもたちとスポーツを通して交流したり、アスリート のマネジメント会社を立ち上げるなど、積極的にスポーツを通した活動を続けている。最近『有森裕子のマラソンブック フルマラソンで4時間を切る!』を発売し、改めてマラソンに向き合ったという有森さんが見つめてきた、スポーツの力や、変化する東京の人々とは。

第2回 東京でふと見つける緑に癒されて

私よく人にも言うんですけれど、東京の風景に関しては、「これだけ緑の多い都会もないんじゃない?」って思っているんです。例えば皇居ひとつとっても、どこかの公園ひとつとっても、これだけの都会にしてはかなり緑のある街だと思うのです。都会でありながら、深呼吸ができるような緑の憩いの場所もあるんだなというのは、アメリカから東京に帰ってきて改めて気づきましたけれどね。
「東京って空気がきれいじゃないでしょう」とかって、ネガティブに言われがちですが、「いやいや、そんなことはないよ」という風景が結構あるんだなというのは本当にいつも思っています。だから、自然と近代的なものが一体化しているようなところは好きですね。ただただビルの谷間というところではなくて、おしゃれなんだけれど、そこにちゃんと自然が混在しているという場所。やっぱり人ごみばっかりというところは好きじゃなくて、緑もあって、歩けて、ある程度の空間があるというような場所を自分で選んで行きますね。

ボーっとしているときが自分らしい

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コロラド ボルダーでのトレーニング風景

東京はやはり、日本のなかでの世界への発信拠点の場所というか、東京から世界につながるというイメージはあります。
私は普段コロラドに住んでいて、アメリカと日本を行ったり来たりなんですけれど、東京となるとやはり仕事をするところ、ビジネスというのがメーンに考えられるようなところがありますね。でも両方に居場所があるからこそ、お互いのよさがすごくわかる。東京にないコロラドのいい部分があって、逆にコロラドにない東京のいいところがあるという、それは両方に感じながら生活しています。
普段暮らしているなかでは、ボーッとしているときが、わりと自分らしいかな(笑)。もともと喫茶店に行くのが好きなので、喫茶店とかでボーッとしている自分は、かなり自分らしいと思います。あとはやはり人と出会うことが好きで、何気なく行った先で人と出会って話をして、そこから何かまた考えたり、発見したりということをときどきやっていますね。

プロフール

1966年岡山県生まれ。日本体育大学を卒業後、(株)リクルートに入社。女子マラソンで、バルセロナオリンピックでは銀メダル、アトランタオリンピックでは銅メダルを獲得。『東京マラソン2007』で、プロマラソンランナーを引退する。1998年NPO「ハート・オブ・ゴールド」設立、代表就任。 2002年アスリートのマネジメント会社「ライツ」設立、取締役就任。現在、国際陸連(IAAF)女性委員、国連人口基金親善大使、他。米国在住。